僕は幼少期、アニメ好きであると同時にドラマ好きでもあった。
それが今の作風に影響しているのだろうが。
名作中の名作『北の国から』『金八先生』はもとより、原田知世に夢中になった『セーラー服と機関銃』や『翔んだカップル』シリーズ、昼間に再放送していた『特捜最前線』、子供向けの『あばれはっちゃく』からちょっと背伸びした『毎度お騒がせします』そして『パパはニュースキャスター』『ママはアイドル』まで、とにかく何でも観ていた。
その中でも自分の大きな礎になっているのが、大映テレビの仕事だ。
斜陽となった映画産業の中で特に苦戦を強いられた大映が、起死回生を図ってTV部門を立ち上げ、看板メンバーだった増村保造や宇津井健などを送り込んだのが「大映テレビ」だ。
その後大映本体は倒産するが、大映テレビは直前に分社化され消滅を免れる。
1970年代に『赤いシリーズ』などで既にヒットを連発していたのだが、特徴的なのが所謂「大映ドラマ」のスタイルを確立した80年代だ。
当時からも言われていたが、やたら大仰で臭い芝居、センセーショナルな設定に破天荒なストーリー展開、カタルシスを得るためならなんでもやる強引な演出など、ちょっと観ただけで「あ、大映ドラマだ」と解るくらい、独特の作風を生み出していった。
しかし、それが視聴者には解りやすく、感情移入もしやすくて、受けに受けた。
増村自ら脚本に入った『スチュワーデス物語』を皮切りに、『不良少女とよばれて』『スクール☆ウォーズ』『少女に何が起ったか』『乳姉妹』『スタア誕生』『ヤヌスの鏡』『ポニーテールはふり向かない』『花嫁衣裳は誰が着る』『この子誰の子?』『アリエスの乙女たち』とまぁ、枚挙に暇がない。
もうむさぼるように観た。
OPがまた素晴らしかった。芥川隆行・来宮良子の重厚なナレーション、なぜか洋楽カバーが多かった楽曲、本編のダイジェストに更に煽りを加えたタイトルバック、それだけでもうワクワクが止まらなかった。
今も『おんな風林火山』は映像化したいと切に思っている。時が熟したら取りに行く。
『WUG』は、ベースに大映ドラマの作劇法を敷いた。
話としてシンプルで起伏が付き、解りやすいと思ったからだ。
それと少女達のサクセスストーリーが多かったというのもある。
今も作劇論、芝居論の参考として、大いに利用させてもらっている。
リアルだけでは芝居じゃないのですよ。
「フィクション」であることを殊更に強調する先にあるリアリティという意味では、ジョン・カサヴェテスに通じるものがあるかも知れない。
「作り物」が何を語れるか、語るべきか。それは僕らクリエイターの永遠のテーマだ。
もっともっと学んでいかなければ。