大阪の大手ゲームバー系列店が一斉閉鎖。一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の指摘を受けて

「ゲームバー」と呼ばれる飲食店が一斉に閉鎖されることが発表された。今回閉鎖が発表されたのは、大阪を中心にゲームバーと展開する運営会社クロノスの系列店「1UPゲームバー」「大阪梅田バーカティーナ」「ゲームバーClan」の3店。いずれのお店も閉鎖理由として、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(以下、ACCS)からの指摘を挙げ、“ビルとの契約期間満了となる”2018年の7月29日にお店を閉めるとしている。前述のクロノスのほかの系列店「アミューズメント&ダーツバーEclat」などは閉鎖の告知をしておらず、あくまでゲームバーと呼ばれる飲食店を対象とした指摘だったことが予想される。

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ゲームバーとは、食事や飲酒をしながらゲームを楽しめるというサービスを提供するという飲食店。飲み食いしながら友人とゲームをプレイできることで人気を博しているサービスであるが、ゲームハードとソフトをお店に揃えて販促しているという問題点がある。実際に多くのゲームバーは時間による支払いを採用しており、食事ではなく場所をコンテンツとして提供している側面が強い。以前には、やや異なるケースであるが、ホテル客室でゲームを「無料レンタルアイテム」として無断上映した男性が著作権法違反(上映権の侵害)であるとし逮捕されていた

ゲームバーにおいて楽しめるゲームはアナログゲームからビデオゲームなど多岐にわたるが、「1UPゲームバー」では『スプラトゥーン』シリーズを中心に任天堂ハードを扱ったコンテンツが人気を誇っていた。画像などは出さないように配慮しているものの、イベントの告知などにより集客のプロモーションに使われることも少なくない。こうした商業利用について、許諾の有無について議論されることも多いが、任天堂は公式サポートページにて「当社では、当社製ゲーム機器およびゲームソフトの営利目的での利用(商業利用)について、許諾を行っておりません。」という姿勢を表明している。つまり、いかなる商業利用についても許諾をしていないということになる。ACCSもまた全国のゲームバーに警告文送付をしていることを過去に発表しており、問題視していたことがうかがえる。今回は大阪の人気店が一斉閉鎖ということで、特にその問題が顕著になったわけであるが、以前よりACCSの指摘は東京を中心に着々とおこなわれていたのだ。

*『ポケットモンスター』の名前を出す投稿についても持ち込みを強調している。

なお、2016年にメディアに取り上げられ、その違法性が指摘された「東京ゲームバー」はゲーム機の撤去を行い、「お客の持ち込み」を主体としたシステムに変更。現在も運営を続けている。「東京ゲームバー」はACCSや任天堂からの警告されたわけではなく、自主的な運営方針の変更としているので、今回のケースとはやや異なる。ただ、ゲームの撤去が必ずしも閉鎖を意味しているわけではなく、別の活路を見出だすというケースも存在している。今回の場合クロノスは、ビルとの契約期間満了に合わせて閉鎖すると告知しているように、形を変えて続けるよりも終わらせる方が手っ取り早いと考えたのだろう。

バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏もまた、2016年8月にゲームバーについての見解を表しており「家庭用ゲーム機などでゲームバーのような営業をやる場合は法に抵触する場合がほとんどですので注意が必要です。」と語る(TwitLonger)。ゲームバーを実現するにあたっては「持ち込み」を中心にさまざまな案を出しているものの、どのような手法を使っても完璧にホワイトに運営するのは難しいのではないかともこぼしていた。

ちなみに今回閉鎖が告知されたゲームバーは大阪の心斎橋・梅田を中心に展開されていた。同地域のほかの人気他店についてはいずれの告知も出しておらず、動きを見せているのはあくまでクロノスの系列店のみである。ただしほかのゲームバーにとっても、今回の件は対岸の火事ではないだろう。薄氷の上での経営が続くゲームバーの運営者は、今後どのように問題点と向き合っていくのだろうか。

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