わずか3年しか販売されなかったが、それ以降の音楽を決定的に変えた楽器がある。Roland TR-808。日本では「ヤオヤ」と呼ばれ親しまれているリズムマシンだ。
さて、その808が4月9日から990円で買える。近所のユニクロに行って2枚買ってきた。
1年前に亡くなったローランド創業者、梯郁太郎氏はACE TONE時代からのリズムボックスをプログラマブルなリズムマシンTR-808として完成させる。2015年にはTR-808が音楽界に与えた影響をドキュメンタリーにした映画「808: The Movie」が公開された。Apple Musicでも提供されている。
もともとYMOやクラフトワークに注目していたアフリカ・バンバータは808の未来的ななサウンドに目をつけ、これとジェームズ・ブラウンやスライ&ザ・ファミリーストーンを組み合わせたエレクトロファンクを生み出した。この映画ではニューヨーク、マイアミ、シカゴ、マンチェスターと場所を変え、いろいろなサウンドに808を足し、808を改変していくことで新たな音楽を生み出していく様子が描かれている。登場人物全員が808で自分の人生が変わったとか「808はダンスビートのハートビート」とか愛を語る、そんな映画だ。
808は製造されていた3年間に1万2000台を売っただけで終わった。その理由を梯郁太郎氏はこう説明している。あのシズリングサウンドには壊れたトランジスターが出すノイズが必要だったので大量に不良品のトランジスターを買って作った。だけど、そのあと半導体会社はそんなに不良品を作らなかったのでもう戻れなくなったのだ。
808は3年間だけの奇跡だったが、ローランドもようやく808をエミュレートしたドラムマシンを出してきた。「Roland Boutique TR-08」なら5万円くらいで買える。
そういえば、808が発売された1980年にすぐに買って、バンドで使おうとしていた友人がいる。電子音楽には全く興味がなかったはずなのになんでと疑問に思ったのだった。あの808はまだ健在なのか、今度飲むときに聞いてみよう。そのときにはこの808 Tシャツを着ていくつもりだ。
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