普通の学生の自己分析をポジティブ思考で超戦略的に転換する方法

現役キャリアコンサルタントが教える就活支援最前線。
強味と弱味、どちらををたくさん思いつきますか?だけどこれって表裏の関係になっていて、環境しだいでどちらとも言えたりします。自己分析で自分の可能性を拡げる、今すぐ使えるポジティブ思考法。

こんにちは、キャリアコンサルタントの木村です。
大学のキャリアセンターで学生から「入りたい企業が見つからないがどうしたら良いか?」という相談を立て続けに受けました。
話を聞いていくと次のような理由があるようです。

・自分は人と争うようなタイプではないから、営業は向かない
・自分は上手に人と話すことが出来ないから、接客は避けたい
・自分は学生生活で派手なことをやってこなかったから、アピールできない

「向かない」「避けたい」「できない」などネガティブな感情が基準になって、「入りたい」というよりは「こんな自分でも入れる」企業を探そうとするために応募する企業が見つからないのかもしれません。
せっかくの自己分析が逆に自分の可能性を狭める結果になっていてとても残念です。

今回は何のための自己分析なのか、可能性を広げるための自己分析ってどう考えればいいのかについてお話ししたいと思います。

求められるアウトプットから逆算して振り返る

学生と社会人の違いを考えると、学生の間は知識やスキル、人間としての魅力を「インプット」する、そして社会人は学生時代に獲得した自分の力を「アウトプット」する場だとも言えます。

残念なことに、冒頭の学生たちの自己分析結果は、インプットしてきた力に着目せず、持っていない(と決めつけている)力を想像し「あれはしたくない、これは苦手」と判断していると推察できます。

もしご自分がそういう状態だと思ったら、逆に「企業が求める力は何だろう?」と正反対の方向から分析してみてはいかがでしょうか。

たとえば「この企業は営業に活かせるコミュニケーション能力を必要としている」という企業研究から、「自分のコミュニケーションを発揮できたエピソードの中で一番伝わるものは何だろう?」と自己分析するのです。
こうすれば企業に就職をするための具体的な戦略を練ることにもなります。この時、企業名にあまりこだわることはありません。たくさんの能力要素で分析すれば、それだけ自分の持ち札が増え、企業選択の可能性が拡がります。

「できること」よりも「やるべきこと」に合わせる

仕事との向き合い方を3つに分類すると、

Will:やりたい仕事(興味のある仕事)
Can:できる仕事
Must:やらなければいけない仕事(会社から期待される役割)

になります。

どれも適職に出会うには大切な要素ですが、このうちWillとCanは自分の内部環境に依存する部分が大きく、Mustは外部環境の影響を大きく受けます。
就活は結局、企業という他人とのコミュニケーションになるのですから、重要になってくるのはMustになります。
新人がやりたい仕事をやらせてもらえる機会は少ないですし、できる仕事も現実的には少ないはずです。そうなると会社員になる以上、Mustが優先されることを覚悟しておく必要があるでしょう。

そこで「やらなければいけない仕事にどう立ち向かい、どうやり遂げていくか」を考えてみます。

例えば「人と争うようなタイプではないから、営業は向かない」と考えるのではなく、自分の長所を活かした営業方法は?と考えます。また「上手に人と話すことが出来ないから接客は避けたい」のではなく、緊張しないで顧客と話せるようになるために、どのような努力が出来るか、と考えてみてはいかがでしょうか。

可能性とは自分が蓄えてきた力をどう応用できるかの「幅の表現」

入社後の自分を支えるのが、学生時代にインプットしてきた力です。
自己分析は、その「インプットしてきた力をどのように活かせるか?」を表現するために行います。

ESの「学生時代もっとも頑張って取り組んだこと」という設問から企業は、学生がどういう経験を通し、どのような力をインプットしてきたか?を確かめています。
ですから、インプットの過程は、学業でもサークル活動でもアルバイトでも構わないのです。肝心なのは、その力を仕事(Must)に活かす覚悟があるかどうか?です。

やってこなかったことを後悔しても仕方ありません。今ある資源をいかに活用して未来につなげるか。可能性はつくり出すものです。自分の未知の可能性を信じ、実りのある自己表現をしてください。

The following two tabs change content below.

木村 美和子

1級キャリアコンサルティング技能士。学生から社会人まで幅広いキャリア支援で活動中。 複数の大学で教鞭を取り、内定を取るためのテクニックだけでなく、 その企業で自分らしく働くための「戦略作り」までサポートしています。