【ニューヨーク=中山修志】米下院のエネルギー・商業委員会は9日、米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が11日の公聴会に先立って提出した証言の草稿を公表した。ザッカーバーグ氏はこの中で、8700万人の個人情報の流出と、ロシアによる米大統領選妨害への関与について「我々の責任について幅広い視野を持たず、大きな間違いだった」と改めて責任を認めた。
ザッカーバーグ氏は草稿の中で、2016年の大統領選において「最大1億2600万人が、ロシアからの偽ニュースの影響を受けた可能性がある」との認識を示した。また、「全てを変えるには時間はかかるが、事態を改善することを約束する」と述べた。
個人情報の流出については、13年にケンブリッジ大学の研究者が開発した性格診断クイズのアプリが原因だったと指摘されている。ザッカーバーグ氏によると、フェイスブックは15年に外部のジャーナリストの指摘により情報流出のリスクを認識。この研究者にアプリの停止とデータ削除を依頼した。
ただ、研究者から個人情報を得ていた英調査会社の「ケンブリッジ・アナリティカ」がデータを削除していなかった可能性があるという。同社はフェイスブックに対し「既にデータは削除済みだ」と主張し、フェイスブックが依頼した企業の調査に応じる意向を示しているという。
ザッカーバーグ氏は今後の対応として、「セキュリティーのための投資を大幅に増額し、現在1万5千人を配置しているセキュリティーとコンテンツ改善の要員を2万人以上に増やす」としている。また、政治関連の広告について広告主の審査を厳格化し、透明性を高めるという。
ザッカーバーグ氏は米国時間の10日と11日に米上院・下院で行われる公聴会に出席する。8700万人に及ぶ個人情報流出の経緯や、米大統領選に影響を与えたとされる偽ニュースとの関連について証言する。議員らはネット上での個人情報の取り扱いを問題視しており、情報管理や広告利用への規制が強まる可能性がある。