【ミニ情報】野村証券営業マンが「過当取引」、70代顧客が提訴 短期間で資産の大半消失、損失の3割は「手数料」


野村CM■野村證券北九州支店の営業マンが、手数料稼ぎを目的に顧客に不当な売買を繰り返させる「過当取引」を行い、短期間で多額の損失が発生したとして、70代の顧客の男性が今年2月、野村証券を提訴したことがわかった。
■訴状等によると、野村証券北九州支店の営業マンは、顧客の母親からの遺産相続手続きを主導する傍ら、株取引を勧誘。相続を受けた後の15年7月、「株価が下がっても儲けさせてあげます」「自分に任せてもらえれば大丈夫です」と述べ信用取引を開始させた。しかし、実際は大幅な赤字で、16年6月頃までの損失額は4700万円超に膨らみ、顧客の相続財産約5000万円の大半が消失した。顧客の男性は後任の営業マンから損失額を初めて知らされ、鬱状態に陥った。
■男性の取引履歴を見ると、男性顧客が野村の営業マンの言うがままに取引をしていた実態が浮かび上がってくる。営業マンの勧めで初めて携帯電話を持った70代の男性が知るとは思えない銘柄ばかりが売買されているのだ。特に頻繁だったのがPCIホールディングス、日本コンピュータ・ダイナミクス、ネオジャパン、インフォテリア、BEENOS、AppBank等である。こうした銘柄の信用取引等で出した損失に加え、取引手数料が15年7月頃から約10カ月で1300万円超徴収されている。手数料を多く得るために好んで値動きの激しい新興株を勧めていたと思われる。
■損失発覚後、顧客の家族が不審に思い問題の営業マンを自宅に呼び出したところ、口頭で「やりすぎました」と謝罪したという。しかし野村証券は、顧客が申し立てた「証券・金融商品あっせん相談センター」のあっせんで「担当者が申立人から得た約定は全て正規の約定と認識」しているとして金銭和解を拒否している。顧客は訴状の中で、野村証券の行為を〈実質的一任売買で原告の利益の犠牲の下に手数料稼ぎを行う詐欺的・背任的行為〉と指弾している。
■バブル時代や2000年代初頭ならば、証券会社が手数料や特定銘柄の買い支えなどを目的として、顧客の承諾なしに顧客口座で売買を行ういわゆる「ダマ転」などが横行していた。昨今はコンプライアンス意識が浸透しこうした問題行為はある程度根絶されたはずだが、野村ではバブル時代から四半世紀経った今も、同様のトラブルが発生しているのである。
■当サイトの取材に対し、野村証券は「当社は金融商品取引法に則って、過当勧誘及び過当取引を防止する社内ルールを設けております」と回答した。しかし、野村証券は昨年4月、09年から11年にかけて静岡県内の男性顧客に対し過当取引を行ったとして、損害賠償を命じる判決を静岡地裁から受けている。野村のいう“社内ルール”は機能していない恐れがある。この点、かつて当サイトが報じた東京支店の営業マンによる詐欺事件でも、野村は営業マン個人の携帯で顧客とやり取りすることを禁じていると述べていたが、そのルールは順守されていなかった。

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