JR九州は9日、2016年4月の熊本地震で被災し肥後大津(熊本県大津町)―阿蘇間(同県阿蘇市)で運休が続く豊肥線の復旧工事の様子を報道陣に公開した。一部で駅施設や線路を敷く地盤の整備にメドが立つ一方、工事が始まっていない場所も多く、全線復旧は見通せていない。
公開されたのは、立野(同県南阿蘇村)―瀬田(大津町)間で大規模な斜面崩落があった現場や立野駅。同駅は石積みのホームの一部が崩れたが、コンクリートでの修復が終わった。同区間では線路を敷く前の土木工事が今年度中に完了する見通しだという。崩落で線路が流された現場には、幅33メートルにわたってブルーシートが敷かれていた。
全線復旧の道のりは遠い。肥後大津―阿蘇間で被害に遭った駅や橋、トンネルなどの施設は50カ所に上るが、復旧工事が始まったのは4割ほどにとどまる。JR九州の豊肥線復旧事務所の淵脇晃所長は「資材が運びづらいなど課題も多い。安全対策をした上で一日でも早い復旧を目指したい」と話した。