これまでSpaceFlierで書いていたレタッチノートという、構図からレタッチを経て1枚の写真を仕上げていく工程を綴ったシリーズ。構図について総合的に理論を解説した書籍などもありますが、1枚の写真を組み立てていく工程を深く掘り下げたものは意外と少ないのではないか?という気がしてひとつのブログにしてみました。
今回はそんな思いではじめたImaging Worldの最初の記事。冒頭の1枚の構図をどんなロジックで組み立てたのかということを語ってみたいと思います。
セオリーは忘れる
さて、はじめましょう。
ページ冒頭の1枚はレタッチを施した完成した写真。一方で上の写真はその素材となった写真です。都合上すでに構図が決まってしまった写真ですが、皆さんは写真の構図を決定ときどんなことに注意して決めるでしょう?
よく言われる・目にする三分割や三角、またはS字だったり螺旋構図といったセオリー、そしてそれらをファインダー内でやりくりして決めているという方が多いのではないでしょうか?
しかし構造を観察せずしてセオリーに当てはめることはあまり意味がありません。一旦セオリーは忘れて目の前にある被写体をじっくりと観察してみましょう。
構造を観察する
被写体を観察するとはどういうことか。その答が補助線を入れた上の図です。
カメラを構え、ファインダーで確認し、シャッターを切る。その一連の動作をする前に私はこのように被写体を観察し、要素を分解しています。緑の線が光の当たる面、紫の線が陰になる面、オレンジの線が面の境界や流れを表しています。
大ざっぱに画面内での構成要素としてはこのようになります。
手前側の草は遠近感を強調したり撮影者のポジションを意識させるためのオブジェクト、いわゆる副題にあたりますが、そこから主題となる滝へ向かう線を光と陰で強調しながら画面を構成していくことファインダーを覗く前に決めました。
意図をハッキリさせた上でセオリーにあてはめる
そういった狙いを持ちながらファインダーを覗き、セオリーに収めていくとこういう結果になります。ハイ、すっきり!
レタッチについてはまた改めて。