17年農地 23年連続 価格下落 先行き不安で需要減
2018年04月07日
全国農業会議所は2017年の10アール当たりの農地価格をまとめた。農村地域の全国平均は、田が前年比1・2%減の120万7000円、畑が1・1%減の89万1000円。田畑ともに23年連続で前年を下回り、下落に歯止めがかからない。農業への先行き不安や高齢化などで、農地の需要が落ち込んでいることが影響した形だ。
調査は1956年に開始。全国の農業委員会を対象に、50年当時の市町村区域を単位として、収量や条件が平均的な農地の価格やその変動理由について聞き取り、農村地域と都市地域に分けて農地価格を公表している。
田は94年(200万2000円)をピークに下がり続けており、4割減少。畑も94年(137万8000円)のピークから35%下落した。
地域別に下落率を見ると、田は東北(1・9%減)、畑は沖縄県(2%減)が最大だった。
価格下落の理由を尋ねたところ、農業への先行き不安や賃借の増加などによる「農地の買い手の減少」という回答が田で32%、畑で44%に上り、いずれも最大となった。
都市地域の農地価格は、田が前年比1・3%減の336万4000円、畑は1・1%減の322万2000円。田畑いずれも25年連続の下落となった。同会議所は、農地の買い手の減少や買い控えが要因とみる。田畑ともに92年がピークで、田は同年の1121万3000円から7割減少。畑も92年の1122万1000円を7割下回った。
価格の下落率を地域別で見ると、田畑ともに四国(ともに2・6%減)が最大だった。
調査は1956年に開始。全国の農業委員会を対象に、50年当時の市町村区域を単位として、収量や条件が平均的な農地の価格やその変動理由について聞き取り、農村地域と都市地域に分けて農地価格を公表している。
田は94年(200万2000円)をピークに下がり続けており、4割減少。畑も94年(137万8000円)のピークから35%下落した。
地域別に下落率を見ると、田は東北(1・9%減)、畑は沖縄県(2%減)が最大だった。
価格下落の理由を尋ねたところ、農業への先行き不安や賃借の増加などによる「農地の買い手の減少」という回答が田で32%、畑で44%に上り、いずれも最大となった。
都市地域の農地価格は、田が前年比1・3%減の336万4000円、畑は1・1%減の322万2000円。田畑いずれも25年連続の下落となった。同会議所は、農地の買い手の減少や買い控えが要因とみる。田畑ともに92年がピークで、田は同年の1121万3000円から7割減少。畑も92年の1122万1000円を7割下回った。
価格の下落率を地域別で見ると、田畑ともに四国(ともに2・6%減)が最大だった。
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大山黒牛カレー 鳥取県境港市
鳥取県境港市の日本食品工業が、第11回全国和牛能力共進会第7区肉牛群1位に輝いた県内農家と共同で開発したレトルトカレー。入賞農家の肉を使い、化学調味料は不使用。「レトルトカレーの常識ではあり得ない」(同社)という、5時間煮込むこだわりで、価格も自称“日本一”だ。
東京のフランス料理店「ラ・ファソン古賀」の古賀義英シェフが監修。国産タマネギをあめ色になるまで炒め、スネ肉などと長時間煮詰めてブイヨンを作った。ルウに県産小麦「大山こむぎ」、具材にバラ肉の塊を使った。200グラム入り2160円。同社通販サイトの他、米子市の農家直営焼き肉店「強小亭」でも販売する。問い合わせは同社、(電)0859(44)7601。
2018年04月06日
夏場の需給に黄信号 都府県3%減 弱体化対策が急務 18年度生乳生産見通し
都府県の酪農生産基盤の弱体化に歯止めがかからない。Jミルクの2018年度生乳生産見通しでは、都府県は前年度に比べて3%(約10万トン)減となる。夏場の生乳需給に“黄信号”がともる。官民挙げた都府県緊急対策が急務となってきた。(論説委員・伊本克宜)
Jミルクは、今年度の地区別生乳生産量を全国で725万トン、前年度対比99・5%とほぼ同量と見込む。だが問題は地区別の格差が広がっていることだ。2歳以上の後継牛の確保が進む北海道は398万トン、同101・6%と増産基調が続く。半面で都府県は328万トン、同97・1%と減産幅が大きくなっている。
北海道は数年前に生乳全体量の5割を超したが、その比率は約55%とさらに高まる見通し。大きな課題は、都府県の減産分を北海道がカバーできなくなっている点だ。
牛乳・乳製品には「健康志向、機能性なども加わりこれまでにない強い需要がある」(宮原道夫日本乳業協会会長)。ヨーグルトやチーズに加え、飲用牛乳の需要も堅調だ。
Jミルクの西尾啓治会長(雪印メグミルク社長)は「都府県の状況は依然厳しい。特に夏場の需給に混乱が生じないようにしなけれなならない」と強調する。一時、バター不足など乳製品向け加工原料乳の需給が問題となった。都府県の地盤沈下は国内酪農危機の次の局面、輸入代替が効かない飲用牛乳の逼迫に結び付きかねない。
特に業界が懸念しているのは、生乳生産が落ちる一方で、学校給食牛乳が再開し需要が高まる9月の対応だ。夏場の天候いかんで、乳業メーカーによる牛乳の出荷調整の動きが出てもおかしくないとの見方が強い。北海道からの生乳移出量は1カ月で約6万トンと限られる。自民党内でも、昨年末の畜産物政策価格論議で「都府県酪農支援へ緊急プロジェクトチームを設けて検討したらどうか」などの意見も出た。
畜産クラスターなど各種事業はあるが、北海道をはじめ大型酪農を想定したものが多い。都府県の家族酪農を後押しした基盤強化で増産に結び付く対策の拡充が欠かせない。
4月からは、これまでの加工原料乳不足払い法を廃止し、改正畜産経営安定法が施行された。生乳取引の多様化を促すもので、貿易自由化の進展とともに生乳需給の見通しが一段と不透明となってきた。こうした中で、都府県酪農てこ入れの特別対策実施が喫緊の課題となっている。
2018年04月03日
[現場は今 生産調整見直し 5] 基盤強化 安定供給へ法人連携 大豆「本作化」に経営軸足
稲作農家の高齢化や米に偏った品目構成など、水田地帯が直面する課題は多い。生産調整見直しを機に、これまでの構造を見直し、産地の再建に乗り出す地域が増えてきた。
2017年産の主食用作付面積が1万9300ヘクタールとなり、前年から2・5%減った山口県。戦略作物への転換が進んだこともあるが離農が進み、未作付け地が増えた。巻き返しに向けて、18年産は増産に力を入れる。
県地域農業戦略推進協議会は、18年産米の生産目安を17年実績比6・8%増の10万4056トンと設定した。それでも17年産で政府が示した同県の生産数量目標を2・3%下回る。同協議会は「需要に応えられず取引先が他に流れれば、将来の販路がなくなる」と減産基調を放置しておくと、水田地帯を維持できなくなる危機感を抱く。
単純に増産を呼び掛けるのではなく事前契約、特に複数年契約などで販路を保証し、農家が安心して生産できるよう仕向ける。集落ごとの座談会では、品種別の需要情報を伝え、気候や地形も勘案して品種ごとの増産を誘導する。
JA全農やまぐちは「中・外食用の業務用米の不足で、取引先は長期の安定契約を望んでいる。誰がどの米をどれだけ求めているか農家に可視化したい」(農産部)と考える。
増産の中核を担うのは法人だが、限られた構成人数では負担も大きい。生産を安定させるため、県内では法人間で協力する動きが出てきた。
JA南すおうは17年4月、17法人との共同出資で、アグリ南すおう(株)を設立。経営面積は合計で434ヘクタールに及ぶ。同社が機械を所有して人も雇い、各法人に融通して支える。
同社の槇本正男代表は「生産基盤を確保するには各法人の負担をどれだけ減らすかが重要。組織の力を合わせて対応したい」と展望する。
大豆を「転作」から「本作」に──。熊本県では、米の直接支払交付金(10アール7500円)の廃止などを受け、水田経営の主軸を米から大豆に移す動きがある。
同県嘉島町で水田400ヘクタール以上を手掛ける九州最大規模の法人、かしま広域農場は、米と麦、大豆のブロックローテーションを展開。昨年の表作は水稲231・8ヘクタール、大豆185・1ヘクタールを作付けした。今年からは大豆の面積を増やし、水稲と同じにすることを決めた。
交付金を含めた同法人の所得は水稲だと10アール2万円程度。しかし、直接支払交付金がない18年産は大きく減る見通しだ。一方、大豆は10万円を上回ることから大豆の拡大を決めた。2年前の熊本地震によって水路が破損した水田にも大豆を作付けし、「本作」としての生産を加速させる。
工藤健一組合長は「法人をより安定させるには米が主力の経営を見直し、大豆の比重を増やす必要がある」と強調する。
2018年04月06日
かんきつ園改植代行 借りたらすぐ収穫規模拡大を後押し 三重県の農地バンク
果樹農地を借り受け、収益性の高い品種に植え替えて、未収益期間を経た後に、担い手に貸し出す「改植代行」を三重県の農地中間管理機構が始めた。未収益期間をなくすことで、新規就農者の確保や担い手の規模拡大を後押しする。3月には熊野市で、貸し出し事例の第1号が誕生した。「改植代行による貸し出しは全国の農地集積バンクで初の取り組み」(同県)。
2018年04月06日
[活写] 圃場整備アート?
新潟県魚沼市の堀之内地区にある圃場(ほじょう)整備中の農地に、とげに形が似た雪の塊が無数に並ぶ光景が現れた。
地元建設会社が昨年5月から水田など約24ヘクタールの区画を広げる工事を進め、冬の積雪で中断。深さ1メートルほどの根雪を早く溶かそうと、3月下旬からパワーショベルで掘り返して積み上げた雪が、この景色を生んだ。
5月下旬の田植えまでに半分の面積が完成し、農家に引き渡される見通し。JA北魚沼によると、工事後すぐの今年は、主に飼料用米を作付けする予定だ。同市出身でJA営農指導課の山内隆弥さん(34)は「初めて見た。アート作品のようだ」と話す。(富永健太郎)
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください
https://www.youtube.com/watch?v=aSzxDR2LWb0
2018年04月08日
農政の新着記事
島根県 第三者継承 後押し 農機や施設整備・改修費 3分の1を助成
島根県は2018年度、農家が子や孫以外の第三者に経営継承する際、機械や施設の整備、改修にかかる費用を助成する事業を新設した。助成率は3分の1。第三者継承は、後継者のいない農家の経営資産をそのまま引き継ぐことができ、就農希望者の初期投資も抑えられる。これまで子や孫への継承に同様の支援を設けていたが、担い手確保が大きな課題となる中で、利点の多い第三者継承も支援対象に広げた。
2018年04月08日
米中貿易摩擦 ヒートアップ 高関税で農業標的中国が“揺さぶり” 米国の業界団体 政権への不満募る
米国と中国の貿易戦争が現実味を帯びる中、米国の農業団体がトランプ政権への不満を強めている。農産物に限ると、米中貿易は米国側の大幅な黒字。報復合戦で米国産の関税が引き上げられれば、巨大な中国市場を他の輸出国に奪われる恐れが出てきたからだ。米国農業団体の動向と、米中貿易の現状を探った。
農村はトランプ大統領の強固な支持基盤。これまで良好な関係を築いてきたが、農産物輸出に具体的な打撃が及べば政治的な蜜月にひびが入るのは確実とみられる。中国は2日、米国産豚肉や青果物、ワインなどに最大25%の関税を上乗せした。4日には、大豆や牛肉などで同様に関税を上げる方針を表明。いずれも米国の制裁措置に対する報復措置の一環だ。中国政府は、政治的影響力の強い農産物を標的にすることで米国側の揺さぶりを図ったとみられる。
パーデュー米農務長官は同日、「農家が貿易摩擦の被害に遭わないようにする」とのトランプ大統領の発言に言及。農家への支援策をまとめる方針を示唆した。
大豆
“米中貿易戦争”で最も影響が大きいとみられるのが大豆だ。農産物の他、「航空関連」や「輸送機器」を含んだ米国の対中輸出総額は1156億ドル(2016年)。うち「穀類」が13%を占める。穀類の大半が大豆だ。農産物の中で大豆の輸出額は突出している。
アメリカ大豆協会は4日、「ホワイトハウスはエスカレートする中国との貿易戦争を収めよ」と強い口調の声明を発表した。大豆輸出の3分の2が中国に向かうだけに、業界に懸念が広がる。
米パデュー大学の研究チームは3月末、中国が仮に30%関税を上げると「中国向け輸出が7割減る」との試算をまとめた。研究者の一人、ワリー・タイナー教授は、今回中国側が表明した25%引き上げの場合も「ほぼ同様の大幅な減少が予測される」としている。
中国の報復リストが発表されると大豆の先物価格が下落した。大豆作付けを減らしトウモロコシや米など他作物に切り替える農家も増えそうだ。幅広い農産物にまで影響が広がる可能性がある。
畜産
畜産業界からも強い不満が出ている。「終わりのない報復措置は両国にとって良い道ではない」。全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は4日の声明でこう忠告した。
中国は03年、米国の牛海綿状脳症(BSE)発生を受け、米国産牛肉の輸入を禁止。現在はブラジルやウルグアイ、オーストラリア産が中心だ。
その中国が17年6月、14年ぶりに米国産の輸入を再開。トランプ政権の要請に応じて貿易不均衡を是正する「100日計画」を実行した結果で、米国の牛肉業界は巨大市場への進出へ踏み出したばかりだった。
それだけに関税が引き上げられることになれば、中国進出に水を差しかねない。トランプ大統領は6月にも制裁関税を発動するかを判断するとされ、同協会は「5月末までにこの問題を解決すべきだ」と要求する。
既に高関税措置を受けた豚肉業界は、措置撤廃を求める。全米豚肉生産者協議会(NPPC)は2日の声明で、「養豚農家の所得確保には輸出が極めて重要」「11万の労働者が恩恵を受けている」と、農村経済への打撃の強さを強調した。
青果
米ワシントン州は全米最大のリンゴ、サクランボの産地。港が近い立地を生かし、中国向け輸出を増やしてきた。「われわれの希望はサクランボ出荷が本格化する6月を前に、米中が折り合うことだ」と主要園芸団体の幹部が地元メディアに語っている。この幹部によると、同州は中国向けに1億2700万ドルのサクランボを輸出している。(特別編集委員・山田優、岡信吾)
2018年04月08日
TPP11 審議入り めど立たず 改ざん・日報国会混乱 熟議なく承認の恐れ
米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定(TPP11)の国会審議入りのめどが立っていない。学校法人「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざん問題に加え、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題が浮上し、国会が混乱しているためだ。ただ、安倍政権は今国会での承認にこだわる。日程ありきで承認を急げば、十分な審議時間を確保できず、議論が深まらない恐れがある。
TPP11承認案と関連法案は、今国会の重要議案に位置付けられ、委員会審議に先立ち本会議で趣旨説明が行われる。
だが、今国会では、TPP11について集中的に審議する特別委員会は設置しない。そのため、衆院では、条約に当たるTPP11承認案は外務委員会に、関連法案は内閣委員会に、それぞれ付託して審議が行われる見通しだ。
内閣委員会では予算関連法案の審議が遅れ、TPP11承認案の審議入りのめどがいまだに立たない。さらに、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽など、ここに来て政府の不祥事が次々と明らかになり、野党が反発。国会は波乱含みの展開が続く。政府、与党は5月の大型連休前に衆院通過のめどを付けたい考えだが、「全く先が読めない」(政府関係者)。
政府は、先導役の日本が今国会で承認できなければ、発効に向けた「各国の機運がしぼみかねない」(同)として、早期承認に全力を挙げる方針。内閣委員会では他にも、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案など与野党が対決する重要法案を審議する見通しだが、TPP11を先に処理する方向だ。
米国を含む12カ国による元のTPPは、2016年に衆参両院で特別委員会を設置し、計130時間以上審議した。政府、与党はTPP11の内容が元のTPPとほぼ同じことを理由に「議論を一からやり直す必要はない」として審議時間の大幅短縮を視野に入れる。
しかし、トランプ米大統領が鉄鋼の輸入制限を発動するなど世界の通商環境が一変。TPP11の是非についても、改めて徹底した国会審議と慎重な判断が求められる。
2018年04月08日
[現場は今 生産調整見直し 6] ブランド米 コシ一辺倒から脱却 「味か価格か」 需要見極め
米の販売競争が激しくなり、良食味米の産地が生き残り策を模索している。家庭向けの高級ブランド米に磨きをかけるとともに、多収性の業務用米を組み入れるなど販売の多角化戦略を進める。
国内トップブランド米の魚沼「コシヒカリ」を抱える新潟県魚沼地区で3月下旬、2018年産米の対策会議が開かれた。6JAや農家、行政関係者30人が集まり、食味を確保するための技術対策を議題に話し合った。日本穀物検定協会の17年産米食味ランキングで食味評価の最高位「特A」から初めて陥落したことを受けた。
会議では、関係者の厳しい表情が並んだ。食味評価を下げた要因を説明する専門家。その声に生産者は真剣に聞き入った。食味評価を下げた要因の一つとして作業の遅れが指摘された。魚沼地区の品種構成の9割超が「コシヒカリ」。そのため、経営の大規模化から、収穫などが集中、作業が追い付かなくなる。
会議では、田植えや収穫など適期作業の徹底を確認。トップブランド産地としての「油断があった」(魚沼地域の農家)との反省から、万全を期すことを共有した。
適期作業による品質向上へ、作期分散に動くJAも出てきた。JA十日町は、晩生の多収米「あきだわら」の導入を進め、18年産は前年比6割増の40ヘクタールを見込む。面積当たり収量が「コシヒカリ」より3割多く、「魚沼ブランドを生かしたコシより安めの米として需要がある」と志賀義雄営農生活部長。小売りや外食市場を意識する。
「コシヒカリ」発祥の地、福井県は18年産から県独自品種「いちほまれ」の本格販売に乗り出す。白さや粘り、甘味が特徴で、「コシヒカリ」を超える日本一のブランド米を目指す。
県産米には業務用に適した「ハナエチゼン」「あきさかり」などもある。ともに「特A」を獲得した良食味米だが、全国的な知名度はいまひとつ。産地全体のけん引を「いちほまれ」に委ねる。
生産面では農家を厳選し、タンパク質含有率が6・4%以下の1等米と厳しい品質基準を設ける。JA福井県経済連は「新顔銘柄米が増える中でも、選んでもらえる米にする」と力を込める。
味重視か、価格重視か。需要は二極化する。スーパーでは産地が高価格販売を狙って投入するブランド米がひしめく。東京都内のスーパーは「高級米は特売などで試しに買う人もいるが、高齢者など経済的にゆとりのある客層に絞られる」と課題を指摘する。
堅調な需要が見込まれるのがコンビニエンスストアの弁当など中食需要だ。農水省の16年産米の調査では、外食も含めた業務用需要が全体の約4割を占めるまでになった。値頃感のある銘柄が求められるが、相場が上向いたことで実需者は確保に苦戦している。日本炊飯協会は「価格のミスマッチが続けば、好調な中食需要もしぼむ」と危機感を強める。大手米卸も「米の需要を維持するには、市場ニーズに合った生産が求められる」と強調する。
2018年04月07日
17年農地 23年連続 価格下落 先行き不安で需要減
全国農業会議所は2017年の10アール当たりの農地価格をまとめた。農村地域の全国平均は、田が前年比1・2%減の120万7000円、畑が1・1%減の89万1000円。田畑ともに23年連続で前年を下回り、下落に歯止めがかからない。農業への先行き不安や高齢化などで、農地の需要が落ち込んでいることが影響した形だ。
調査は1956年に開始。全国の農業委員会を対象に、50年当時の市町村区域を単位として、収量や条件が平均的な農地の価格やその変動理由について聞き取り、農村地域と都市地域に分けて農地価格を公表している。
田は94年(200万2000円)をピークに下がり続けており、4割減少。畑も94年(137万8000円)のピークから35%下落した。
地域別に下落率を見ると、田は東北(1・9%減)、畑は沖縄県(2%減)が最大だった。
価格下落の理由を尋ねたところ、農業への先行き不安や賃借の増加などによる「農地の買い手の減少」という回答が田で32%、畑で44%に上り、いずれも最大となった。
都市地域の農地価格は、田が前年比1・3%減の336万4000円、畑は1・1%減の322万2000円。田畑いずれも25年連続の下落となった。同会議所は、農地の買い手の減少や買い控えが要因とみる。田畑ともに92年がピークで、田は同年の1121万3000円から7割減少。畑も92年の1122万1000円を7割下回った。
価格の下落率を地域別で見ると、田畑ともに四国(ともに2・6%減)が最大だった。
2018年04月07日
「後継牛バンク」 創設組合内循環で増頭支援 山口県酪
山口県酪農農業協同組合は、乳牛の初妊牛を生産者にリースする「後継牛バンク」を創設する。価格高騰で牛の更新・増頭が難しくなっている中、県酪が初妊牛を導入し、希望する生産者に4年間リースする。借り手はリース期間中に子牛(雌)を県酪に1頭販売することが条件となる。その子牛を県酪が育成して次の生産者にリースする。「組合内で初妊牛を循環させる仕組みは全国初」(県)。後継牛導入の負担軽減により、農家の規模拡大を後押しする。
2018年04月07日
かんきつ園改植代行 借りたらすぐ収穫規模拡大を後押し 三重県の農地バンク
果樹農地を借り受け、収益性の高い品種に植え替えて、未収益期間を経た後に、担い手に貸し出す「改植代行」を三重県の農地中間管理機構が始めた。未収益期間をなくすことで、新規就農者の確保や担い手の規模拡大を後押しする。3月には熊野市で、貸し出し事例の第1号が誕生した。「改植代行による貸し出しは全国の農地集積バンクで初の取り組み」(同県)。
2018年04月06日
摘果ミカン機能性成分 茶と混ぜ吸収よく 商品化めざす 長崎県など研究グループ
長崎県農林技術開発センターなどの研究グループは、摘果ミカン(青ミカン)に含まれる機能性成分のヘスペリジンを人が摂取しやすいよう加工することに成功した。通常は廃棄する摘果ミカンと茶葉を1対3で混ぜ、製茶時に20分間強くもむと水に溶けやすくなり、吸収性が高まることが分かった。栽培と製茶のマニュアルを作成、新商品「ミカン発酵茶」の試作品が完成した。健康茶として商品化を目指す。
ヘスペリジンは、高血圧や動脈硬化の抑制に効果があるとされるフラボノイド類。かんきつに特異的に含まれている。中晩かんより温州ミカンが安定して多く、直径3センチ未満の摘果ミカンに多いことが分かった。水に溶けず人が吸収しにくく、利用されてこなかった。
研究では、製茶時に、肉をミンチするカッターで摘果ミカンと茶葉を一緒に粉砕し、揉捻(じゅうねん)機で強くもむと、ヘスペリジンと茶のカテキンが反応、水に溶けやすい形に変化。1対3の割合は、茶農家とミカン農家の両方が収益を上げられる価格から決めた。
研究によると、人が飲むと血管が柔軟になり、血流と冷え性の改善に効果があったという。一定量のヘスペリジンを含むミカン発酵茶を、夕食時に4週間以上飲み続けると効果が期待できるとみている。商品化に併せ、機能性表示を目指す。
研究はJA全農ながさきも参加、農水省の補助事業を活用して行った。
2018年04月06日
「影響考えにくい」 専門家は注視呼び掛け 米中貿易摩擦で農水省
農水省は5日、米中間の貿易摩擦について、日本国内の農産品への需給や価格に、大きな影響が出るとは考えにくいとの見解を示した。中国が米国産の豚肉や果実などの関税を引き上げたことで、それらが日本に流入する懸念があるが、同省は、現行の関税措置などによって輸入急増は回避できるとみる。だが、中国は別途、米国産大豆などでも関税を引き上げる構えを見せており、専門家は引き続き影響を注視するよう指摘している。
同日の衆院農林水産委員会で、希望の党の後藤祐一氏の質問に礒崎陽輔農水副大臣が答えた。
中国政府は2日、トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に対する報復措置として、米国の128品目(うち農産品は94品目)に対して追加関税を課した。豚肉8品目の関税率は25%が上乗せされ37~45%に、青果物78品目や酒類などは15%が上乗せされ、オレンジで26%、ブドウで28%となる。
礒崎副大臣は、追加関税が課された米国の農産物について、当面は日本に大量に流入し、国内相場が崩れるといった「大きな影響を生じることは考えにくい」と言及した。
豚肉では日本は輸入品の約4割が米国産だが、中国が輸入する米国産は過半が豚足などくず肉で、日本が輸入する部位とは代替関係がないと説明。他の部位も中国が輸入するのは低価格帯だが、日本は差額関税制度で低価格部位だけが大量輸入されないようにしているとし、「中国向けの豚肉が大量に振り向けられる事態は今のところ考えにくい」と述べた。
果実では、オレンジは日本が輸入する約7割、ブドウは同約4割が米国産だが、温州ミカンとオレンジなど国産品と輸入品では品質、価格面で差別化されていると指摘。国産品が出回る時期は関税をかけており、「輸入急増を回避するための必要な国境措置を取っている」と述べた。
一方で米国が3日、中国の知的財産侵害に関する制裁関税を措置する案を示したことに対して、中国も4日、大豆や牛肉、小麦など農産品を含む106品目の米国産品に25%の関税を上乗せする案を発表。
両国とも発動時期は明確にせずにらみ合いの状況だが、特に大豆は米国から中国への主要な輸出品目だけに、関税が上乗せされた場合、日本に大量に流入しないかなど、先行きに警戒が必要な状況だ。
2018年04月06日
都市農地新法が可決 生産緑地拡大へ付帯決議 参院農水委
参院農林水産委員会は5日、農水省が提出した都市農地(生産緑地)を貸しやすくする法案を全会一致で可決した。6日にも参院を通過し、衆院に送られる見通し。法案で措置される仕組みを農家が活用するには、自治体によって農地が生産緑地として指定されていることが前提となる。このため指定が進むよう、政府に対応を求める付帯決議も採択した。
2018年04月06日