田舎者の私はたまたま別件でイベントの近くにまで来ていたこともあり「近いし行ってみよう」くらいの感覚で行ってみた。
私は絵や漫画は全てネットに上げていたし、pixivなどでいろんなジャンルの絵や漫画を見ていた。
周りの人の「○日の○○に参加します!」「スペース貰えました!」などの呟きや当日のお品書きやサンプルを見ては「すごそうだなあ」と思っていた。
即売会も通販も含めて一度も買ったことは無かったし作ったことも無かった。
実際にイベントに行って驚いたのは、当たり前の事ではあるんだけど、普通の人達が凄い本を作っていたことだった。
pixivで見たあの感動する漫画を上げていた人も、ツイッターで流れてきたびっくりするくらい綺麗な絵を描いていた人も、普通の人だったのだ。
繰り返しになるがこれは当たり前の事で、同人誌を作っているのは宇宙人でも超人でもなく大半が一般の人であることは頭ではわかっていたが、
大げさに言うと「私と同じ人間なんだ」という驚きに近かった。そんな人たちが一か所に集まっているだけでもすごい場所だと思う同人イベント。
もう一つ驚いたことは、20~40ページ近い漫画を描き切って本にしている事だった。4種類も5種類もそれが並んでいたりすると意味が分からない。
なんでそんなに描けるのか、小説に至っては100ページを超えてくるものもあって、こんな凄いものがたくさん並んでいる現象にただただビックリしていた。
しかもそれが1000円前後、あるいは300円とか500円とかで売っている。これはヤバい。ワンコインで20ページ以上ある、しかも自分が好きなジャンル、キャラ、組み合わせの作品が読める。
お金の感覚が無くなるって聞いたことがあったけど、そりゃそうだ。一つ一つがワンコインで買えてしまってはサクサク買って気が付けば諭吉が飛んで行くのもすごく理解できる。
pixivで推しを検索して上から見ていくような感覚で買っていけばお金がすぐとんでいき、大量の本が手元に入っていく。
残念ながらその時持ち合わせもなく元々イベントに行く予定でも無かったので、悩みに悩んで5冊買った。全部読んだ。どれも最高だった。
不思議な空間で、とても楽しかった。私は所謂隠れオタクで、ネット上でも交流をする機会があまりなく、壁打ちと見る事ばかりになっていた。
友達と来ているであろう人達、買う時に知り合いなのか盛り上がっている姿、初めて生で見るコスプレの人達が仲良さそうに話していた。
なんだかみんな楽しそうだった。輝いて見えた。いいなあ同人イベント。すごいな同人イベント。
今度はちゃんと計画を立てて行きたいと思った。そして私もいつか出す側で出れたらなと思った。