写真家・荒木経惟氏のモデルを長年務めてきたKaoRiさんが書いた告発文が話題となっています。
先に言っておきますと、長くグラビア雑誌を作ってきた自分としてはアラーキーの写真はやはり好きではなく、あのおっさんを撃ち落とせる何か素材があるやもしれぬとKaoRiさんの文章を一字一句丁寧に時間をかけて読みました。
結論としては、なんか加勢できねえ...。
そこに書いてあることは、少しでも「業界」にいたことのある人なら理解できる空気感でした。つまり間違いではないだろうという感想。もう私の裸の写真を使わないで下さいと彼女が言った言葉に対して荒木氏は、
「勝手に編集者がやった」
と、言ったと。言うだろうなあ。きっと言ったんだろうなあ...と、想像できます。
それが良い・悪いという判断を下すことは私がするべきことではないですが、こういった曖昧な業界であったこと間違いないだろうとはっきりと言えます。
KaoRiさんが精神的に辛く、そして金銭的にもとても苦しい思いをしたことはよく伝わってきました。
惜しむらくは、彼女はどうして、ずっとフリーランス(ですよね?)だったのでしょうか。自分を守ってくれる存在である事務所に所属しようとは考えなかったのでしょうか。
さて、この問題、実はめちゃくちゃタイムリーな話なんですよ。
実は、現在の「ハダカ業界」には急速に新しい波が訪れています。Meetoo運動が関係しているのかは定かではありませんが、そのちょっと前くらいから「女性の権利を守ろう」という動きがじわりじわりとAV業界の首を締め付け始めています。
奇しくもKaoRiさんが文中で書いているように、すでに日本の「ハダカの現場」では、欧米さながらに女優(モデル)さんたちと分厚い契約書を交わすような段階に入ってきているのです。
2000年代までに行われていた「無契約」「流れで」「何となく」という時代はとうに終わっているのですが、これについてはまた別の機会に記述することにしましょう。
今回のアラーキーの事件は、その2000年代までに行われていたことの膿が今になって噴出した結果と言えるかもしれません。
まず、問題になってくるのは、写真に対する対価が「原稿料」として支払われていたのか、「買い取り」としての購入だったかの違いが大きく関係していると思います。
私が所属していたグラビア誌の「URECCO」は、当時からその辺りには神経質なくらい気を遣って取り組んでいました。
写真を撮るカメラマンには著作権(KaoRiさんが「撮った人のものになる」と記述しているのはこのこと)、撮られた人には肖像権、それを出版する版元には出版権が帰属するものと早くから考え、それぞれに撮りおろしの際にきちんとしたギャランティーを支払い、その素材を「二次使用」する場合には、まずは使っても良いかのお伺いを立て、OKであれば今度は「二次使用分」のギャラを支払っていました。おそらくあの時代にここまでやっていた出版社は少ないでしょうし、後に私が実話ナックルズやBLACKザ・タブーに異動した際も、この考え方を徹底していました。...というか、身に付いていたと言った方が正確でしょうか。
これらの経験を踏まえて考えた時、アラーキー氏はきっと「買い取り」で出版社と契約していたのではないかと想像します。
彼がKaoRiさんに「編集者が勝手にやった」と言ったのは嘘ではなくて、出来上がった写真に対してまとめていくらで買い上げ、二次使用で何を作ろうが出版社側の自由である...といった契約だったのではと推測できます。つまりそこに「モデル代」という概念が存在しなく、編集プロダクションに一冊丸ごと作らせて「いくら」のような世界だったのではないでしょうか。
ですから荒木氏からすればモデル代は「俺が撮ること」だったでしょうし、フリーランスのモデルといえば聞こえはいいですが、KaoRiさんは「脱いでくれる素人」程度に都合よく考えられていたであろうことも邪推できます。
余談ですが、アラーキー・ファンとしては、「ならばアラーキーに対しての出版社の扱いがひどいではないか!」と思うかもしれませんが、私にようにグラビア誌あがりの編集者から言わせると、荒木氏が撮る写真は最もエロ本としては使えません。買ってくれた男性読者をヌかせる為には、彼の「何も撮っていない」写真はエロ本として成立しがたい。だから「アート」ということで売りださねばならない事情があったはずです。出版社側も荒木氏の写真をそう位置付けていたからこそ、先生、先生! とおだてる反面、印税やギャランティーではなく「買い取り」として扱ったという後ろめたい思いがあるのではないでしょうか。
KaoRiさんが今、告発文を書いて、結果として何を求めているのかは私には分かりません。しかし、彼と出版社との契約如何では何も勝ち取れない可能性が高いように思います。
あの時、自分が裸になったのは何のためだったのか。
なぜ私は大勢の人の前で陰部を広げてしまったのか。
後々になって、全身に滝のような汗をかき、過去の自分がやった行動を悔いる女性も多いと思います。
そこに乗っかり、あなたを救おうという「にわか偽善者」も現れると思います。
これは荒木経惟氏だけの問題ではなく、今後いろんなカメラマンや監督や会社が告発される、その前触れだと私は思っています。
どちらが良い、悪いの問題ではないでしょう。
それで納得して、スッキリすることが最重要なのかもしれません。
いずれにせよ私は、飯を食わせてもらった「ハダカ業界」を悪く言うつもりはありませんし、今は女優側も事務所側も制作側も新しい流れに付いていこうとしている最中です。
今後もこの問題は注視していくつもりですが、「言ったもん勝ち」になるのは看過できません。違うと思った時は「あんた、でも、こうだったじゃん」とツッコミだけは入れていきたいと思っています。
そしてそれと同じく「泣き寝入り」も許せません。(岡本タブー郎・連載『ざわざわさせてやんよ!』第七回)
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