起業・ジョインしたタイミング、きっかけは?
2月23日、CodeIQは「農業IoT/チャットbot/ビッグデータ――スタートアップのCTOが語るITエンジニアのキャリア」と題したイベントを開催した。
トレタ創業からCTOを務める増井雄一郎氏をモデレーターに、hachidori創業時のメンバー坂口峻平氏、笑農和CEO下村豪徳氏、PaykeのCTO花城昂平氏、BitStarのCTO山下雄太氏が登壇し、パネルディスカッション形式で語り合った。
増井:まずは自己紹介をお願いします。
坂口:hachidoriの坂口です。WEBブラウザ上で、LINE/Facebook用のチャットボットを作成できるサービス「hachidori」を開発・運用しています。
ちなみに社名は、私たちのサービスが自動で返してくれるチャットボットなので、オウムのように人間の言葉を返してくれるハチドリ (蜂鳥)に由来しています。
▲hachidori株式会社 坂口峻平氏
1992年京都生まれ、奈良育ち。2013年に奈良工業高等専門学校を卒業後、大手SIerに就職。在職中に、現hachidori代表の伴と出会い、スタートアップ企業の初期メンバーとしての参画を決意。転職後、WEBブラウザ上で、LINE/Facebook用のチャットボットを作成できるサービスである「hachidori」の初期設計、インフラ、サーバーサイドプログラミングを担当。
下村:笑農和(えのわ)のCEO下村です。IoTで農業を変革するサービスを開発する富山の会社で、最近いろいろなメディアに取り上げていただいています。
一番最近作ったサービスは、水田の水位調整をするスマート水田サービス「paditch(パディッチ)」です。
▲株式会社笑農和 代表取締役 下村豪徳氏
富山県の農家生まれ。システム会社に入社後、主に組立加工向けの生産管理、購買業務のシステム開発にSEとして従事。メインフレームでの業務システム運用、インターネットを介したSCMの構築などの経験を経て2013年に株式会社笑農和 設立。日本農業情報システム協会の理事も務める。農業を変革するために日々奮闘中。現在は様々なメディアに出演し、注目を集めている。
花城:PaykeのCTO花城です。商品のバーコードを読み取って、多言語で商品情報を案内するサービス「Payke」を開発しています。
バーコードやGPSでとったユーザー属性や位置情報もとれるので、その情報を分析してメーカーに提供したり、タブレット型の端末も提供しているのでスキャン情報に応じた広告のターゲット配信もしています。
▲株式会社Payke CTO 花城 昂平氏
沖縄県出身。大学在学中からサービス開発を初め、卒業後は会社経営にも参画。 メインはサーバーサイドだが、フロント~バックエンドまで豊富な経験と安定したスキルを持つマルチエンジニア。Paykeサービスの開発に初期からかかわりサーバー構築からシステム開発、UI・UX設計まで幅広く担当。 2015年10月PaykeのCTOとして参画。
山下:BitStarCTOの山下です。YouTuberをはじめとするインフルエンサー・プラットフォーム「BitStar」など、インフルエンサー向けのマーケティング事業を展開しています。
企業とYouTuberをつなぐタイアップ広告事業では、取引先企業250社超え年間成長率4倍という実績を挙げています。マスとデジタルを融合したソリューションを提供するテクノロジードリブンな会社です。
▲株式会社 BitStar CTO 山下雄太氏
慶應NY高を卒業後、慶應義塾大学理工学部電子工学科に進学。在学中より、楽天株式会社、株式会社ナノ・メディア、株式会社マクロミルの各社において、インターンながら各社の大規模開発案件をリード。その後、ラクスル株式会社の創業に携わる。大学卒業後、グリー株式会社に入社し、SNSや海外のプラットフォームの立ち上げに従事。また並行して国内外の新卒採用も関わり、同社のグローバルを担う人材採用にも貢献。2013年からラクスルにCTOとして参画し同社のサービスを牽引。2016年よりBitStarにCTOとして参画。
増井:飲食店向けの予約/顧客台帳管理サービスを開発しているトレタのCTO増井です。まずは皆さんが、なぜCEO/CTOになったのか、その経緯から伺っていきたいと思います。
ちなみに、この中で創業時からいるという方はいますか?
――坂口氏と下村氏が手を上げる。
増井:自分で起業した下村さんと、創業時からエンジニアとして参加されてる坂口さん、お二人だけですね。花城さんと山下さんは、どんなタイミングでジョインされたんですか?
花城:私は創業から1年弱くらい経った頃、プロトタイプの開発を始めるタイミングでジョインしました。社員としては一人目のエンジニアでした。
山下:BitStarのビジネスが切り替わり、本格始動するタイミングでした。エンジニアとしては二人目の入社です。
増井:ちなみに、(ビジネスが切り替わる)その前は何をされてたんですか?
山下:ビジネス系の動画のメディアを扱うサービスですね。その後、YouTuberと企業のマッチングサービスに切り替わりました。
増井:創業からエンジニアとして参加している坂口さんは、なぜ創業者と一緒にやろうと思ったのですか?
坂口:前職で共通の友人を通じてCEOの伴を紹介してもらったのですが、会ったら意気投合して一緒に起業することになりました。
増井:下村さんはCEOで自分でも開発されていたそうですが、農業ももともとやっていたんでしょうか。
下村:はい、実家が農業をやっています。私はエンジニア出身の創業者なので、最初はガリガリコードを書いてました。
増井:二人目のエンジニアはいつ入ったんですか?
下村:二人目はうちのサービスがハードウェアを作っているので、機械工学科を出ている農家出身の人を採りました。ソフトウェアエンジニアは4人目からですね。
増井:皆さんは今のスタートアップで、会社は何社目ですか?
山下:3社目です。1社目がグリー、2社目がラクスルでした。
増井:ということは、ずっとスタートアップかベンチャー寄りの会社なんですね。
山下:はい、学生の時は楽天でアルバイトをしていました。
花城:私は過去に2年くらいプログラマとして勤めていましたが、会社を経営していたこともあるので、今で3社目になります。
下村:私は3社目ですが、正確には2社目の会社は1社目が分社化して名前が変わったので、実質2社目ですね。
坂口:私も2社目です。1社目は大手SIerで働いていました。
使ってる技術スタックやプログラミング言語は?
増井:SIer出身が多いと予想していたんですが、意外とスタートアップ系出身の人が多いんですね。皆さんの会社をこんなふうにまとめさせていただきました。
増井:僕は創業CTOなんですが実は2社目なんですね。僕はネットに作りたいものリストを公開しているんですが、それを友人が見て「まったく同じことを作りたがっている知り合いがいるから紹介するよ」って言ってくれて。代表の中村と出会い、一緒に創業したのが1社目です。その後、また中村と新しいことがやりたくなって起業したのが今のトレタで、2社目になります。
開発部の今年の目標として、エンジニアの数を倍以上にしたいという目標を立ててます。皆さんもおそらく今エンジニアを採用したいと思うので、エンジニアが知りたいであろうと思う情報をいろいろ聞いていきたいと思います。
まずは、皆さんの使ってる技術スタックやプログラミング言語を簡単に聞かせてもらってもいいでしょうか。
坂口:プログラミング言語はRuby on Railsを使っています。
下村:うちはフロントはPHPが中心です。組込みやネットワーク周りのエンジニアが特に必要で、数年先にはAI領域にも入っていく予定です。
花城:インフラはMicrosoft Azure、サーバーサイドはPHP、ログ収集はElasticsearch、モバイルアプリはWebの技術で開発できるCordovaを使っています。toBチームとtoCチームの2つに分かれていますが、柔軟な開発体制にして誰でもさわれるような開発体制にしています。
山下:Ruby on Railsを使っています。AngularやReactのような新しい技術も徐々に増やしています。
経営者・技術トップとして、どんな人と働きたい?
増井:採りたいエンジニアの技術スペックって、だいたいどこの企業でも同じだと思うんです。でも技術自体はどんどん進化するし、変わっていく。一方で、人や社風はそんなに簡単には変えられないですよね。
特に、技術のトップがどんな人と働きたいと思うかは、すごく大事なことだと思います。そこで、皆さんがどんな人と働きたいと思っているのか、それぞれ聞かせてください。
下村:うちはソフトウェアだけではなく、農業のハードウェアも作っているので、現場に行くこともあります。すると、想像もしてなかったことが多々起きるんですね。そこにめげずに問題解決ができる人や、むしろそうした課題解決をモチベーションにできる人と働きたいですね。
農家の方々の平均年齢って、67歳くらいなんです。離農する人も多い。人手不足に加えて、技術承継の問題があるのですが、そこをAIやIoTで解決していきたいと思っています。
例えば異常気象をAIやIoTで予測したり、ドローンやスマートフォンを活用して遠隔で水田を管理したりなど。特に水管理が大変で、用水路の水位を管理して物理的に板を抜く作業などもあります。やれることはたくさんあるので、一緒にいろんなサービスを考えながら提供していける人を求めています。
花城:似たような話になりますが、ゼロからイチを作るモチベーションを持った人。使っている技術にこだわりはありません。
山下:コミュニケーションスキルと地頭の両面を見ています。チームで開発する中で円滑なコミュニケーションをしてくれる人は重要ですし、対企業向けのサービスなので、ビジネスプロセスを理解してくれる人や使う人の立場に立ってサービスを作れる人を求めています。
あとやはりスタートアップなので、仕事は仕事として割り切るよりも、自ら考えて動ける行動力のある人と働きたいです。
増井:皆さん公私混同型のワークスタイルといいますか、プライベートな時間はあまりないタイプですか?
坂口:社長が海外育ちなので、土日はしっかり休むけど平日は働くという社風ですね。
下村:仕事とプライベートは分けてます。子供のイベントには全て出ると決めてます(笑)。
山下:僕は土日はなるべく休むようにしているんですが、若い人たちは休日に会社で技術書以外の本を読んだりしています。エンタメの会社で技術以外の知識も必要なので。
増井:僕も休みはきちんと取るようにしていますね。。
うちの会社に入ったらこんないいことがあるよ自慢
増井:採用したい側は、来てほしい人にいろんなことを求めます。一方で、応募者側は「この会社に入ったらどんないいことがあるんだろう」という視点で考えると思うんですね。「うちに来たらこんな面白いことができますよ」と、アピールできることはありますか?
例えば、アーキテクチャが好きなエンジニアに、週末にアーキテクチャを考える輪読会をやったりしているなど、皆さんのセールスポイントを教えてください。
坂口:まだ人が少ないので、やりたいことがだいたいできます(笑)。
山下:社内でハッカソンやったりして好きなものを作っています。書籍を好きなものを買っていい書籍購入補助制度もありますね。
下村:農業関連の仕事なので、自然に触れることができますね。どこでもパソコン出して、ガリガリとプログラムを書かなくてはいけないこともありますけど(笑)。あとは若い人たちの教育に投資していきたいと考えています。一緒に何かを作っていくことで、地域活性にもつながるし、彼らの資質を成長させたいなと。
花城:開発拠点が沖縄にあるので、沖縄のビーチが楽しめます(笑)。また、うちのサービスはユーザー行動の購買データがとれるので、沖縄で開発していながら、世界中の買い物の様子を知ることができます。
増井:定期的に沖縄に行けるんですか?
花城:そうですね。先日も全員が沖縄に来て、ビーチパーティとかして楽しみました。
増井:エンジニアが勉強できる機会を手厚く用意する企業は多いと思いますが、僕はもう一つ会社から与えられるものとして、「一緒に働く人」という視点もあると考えています。
大きな企業では、同じ開発チームや担当営業の人とくらいしか話す機会がないことが多いですよね。一方で、小さな会社はだいたい営業や経理・経営企画の人・社長なども同じフロアにいて全員と顔を合わせていることが多いと思います。「うちの会社にはこんな面白い人や名物社員がいるよ」という話もぜひ聞かせてください。
花城:ベトナム人のエンジニアが二人いるんですが、日本語も堪能で面白い。ベトナムの話をたくさん聞かせてくれて視野が広がるというか、いろんなことを新鮮な体験ができます。
山下:有名なYouTuberに会えますよ。芸能プロダクションにいた人もいるので、芸能関係の話を聞けるのも面白いです。
増井:僕は今年YouTuberになろうと思ってるので、そのときはいろいろ教えてください。エンジニアのYouTuberはまだいないみたいなんで(笑)。
hachidoriさんは、社内に面白いボットはいないんですか?僕は以前ツッコミたいフレーズが出てきたときにツッコんでくれる社内Bot「takahashiさん」を作って、職場をなごませるどころか、凍りつかせたことがあります。もう引退させましたが(笑)。
坂口:そうですね。僕は普段あまりニュースを読まないので、ニュース記事を配信してくれるBotを作って読んでます。
技術やサービスに対するビジョンと今後の抱負
増井:スタートアップで働きたいと思う人は、その会社のテクノロジーに共感するタイプとビジョンに共感するタイプの2つがあると思うんです。
そういった観点で、例えばうちはScalaやElixirのような新しい技術を使っている、大規模データが扱えるとか、ビジョンとしてどこを目指す、このサービスで世の中の何を変えたいと考えているといったメッセージを最後にいただけますか。
山下:世の中で活躍する人のインフラを作るというサービスのビジョンを掲げて、YouTuberをはじめとするインフルエンサーの方と仕事をしています。今後はテレビや新聞、雑誌などのマスメディアとの連携もやっていきたいですね。CTOとしては、個人が意思表示できる働きやすい環境を作っていきたいと思います。
花城:商品情報を多言語で提供するサービスやっているが、とどまることなくサービスを拡大していきたいと考えています。例えば、メーカーがこだわりをもって作っているけど、パッケージだけでは伝わらない情報を伝えるような仕掛けとか。
下村:スマート農業やIT農業が当たり前になる世界を創っていきたいですね。働いている人が笑顔になる、農業って面白いよねっていうコミュニティを作っていきたいです。
坂口:壮大な話になりますが、日本の人口が減っていくなかで、人が人であるからこそできる仕事にこれからは集中すべきであると思っているんです。単純作業などは自動化にして日本を変えていきたいと思います。
増井:トレタの理念は「食の仕事を、おもしろく」することなんですね。国内の飲食店は50万店くらいあるのですが、ほとんどの店舗運営がまだ手作業など人力で行われていることもあり、従事している人が疲弊しているという現状があります。
テクノロジーの力でそういった労働環境を改善するなど、飲食業界が抱える課題を解決していくことで、食の仕事はもっと面白くなるし、飲食業界の未来は明るくなるんじゃないかなと思っています。廻り回って、飲食店を利用する僕たちの幸せにも繋がっていくんじゃないかと考えています。
エンジニアとしてスタートアップ企業に参加してみたいと思う方は、ぜひ今回の様々な話を参考にしていただけたらと思います。今日はありがとうございました。