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高畑勲監督「いつだって最後の作品になり得る」 壮絶制作現場に2年半密着

 今夜、WOWOWで放送されるドキュメンタリー番組『ノンフィクションW』は、アニメーション監督・高畑勲(78)の14年ぶりの新作『かぐや姫の物語』(公開中)の制作現場に密着。「いつだって最後の作品になり得る。『ホーホケキョ となりの山田くん』が終わったときに、もう作らなくたっていいんじゃないと思った」と語る高畑監督が、今作で目指したものは何か。これまでのジブリでは作れなかったジブリ映画が生まれる瞬間を追う。

 高畑監督は、日本アニメの金字塔的映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』、テレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』『赤毛のアン』、スタジオジブリの映画『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『ホーホケキョ となりの山田くん』などを手がけ、作品ごとに新しい試みを行なってきた。宮崎駿監督や作曲家の久石譲といった才能を見出し、日本のアニメーションのすべてを作り上げたとも言われる。

 今回、初めて制作現場への長期取材を許可した高畑監督。2011年5月5日、東日本大震災から間もない頃から取材は始まった。東京都小金井市のスタジオジブリから少し離れて新設されたジブリ第7スタジオには、『かぐや姫の物語』のためアニメーション界の精鋭が結集し、新しい表現を模索しようとしていた。

 「いまこっちは大問題をやっているんです。線で描く絵はいろんな絵があり得るのにセルアニメというのは一つの表現に凝り固まっているわけじゃないですか。もうちょっとそれを壊したい」(高畑監督)

 しかし、高畑監督のビジョンはスタッフたちになかなか共有されず、現場は混乱する。当初、高畑と宮崎駿両監督によるジブリ2作品の同日公開が発表されていたが、宮崎監督の『風立ちぬ』が予定通り7月に公開されたのに対し、『かぐや姫の物語』は11月に延期された。理由は、制作が遅れに遅れたためだ。

 自分で絵を描かない高畑監督はスタッフに語りかけ、指示を書き込み、膨大なコミュニケーションを通して自らのイメージを伝え、映画は完成に向け前進する。水彩画タッチ、鉛筆画タッチで描かれた背景とキャラクターが一体になって、絵全体が動いて見える。普通のアニメと明らかに違う表現は、高畑監督自身も「明らかに今日のひとつの到達点」と断言する。

 また、同映画では、声の演技を先に録音するプレスコ方式が採られた。かぐや姫役の朝倉あき、これが映画出演における遺作となった故・地井武男宮本信子ら役者たちを高畑監督が緻密に演出してゆく様子も捉える。

 ノンフィクションW『高畑勲、「かぐや姫の物語」をつくる。 ジブリ第7スタジオ、933日の伝説』は、WOWOWプライムで前編6日(後10:00)、後編13日(後10:00)放送。関連番組として、『「かぐや姫の物語」公開記念!高畑勲の世界』を7日(後5:30)に放送。



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