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 それを聞いたら「この範囲だったらできるな」「これは難しいぞ」と分かるじゃないですか。決してすべてが順調に行っているわけではないんですけれど、その中で自分なりのコンセンサス、確信を持てた。ここからは不安は無くなりましたね。

 でも一遍、もうぼろくそに言われました。

(写真:村田 和聡)
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いつ頃、だれに言われたのですか。

 もう3年ぐらい前。外部の企業の人にです。JALにとってはこんなこと(全面刷新)は50年間やってこなくてノウハウが無い。だから外部の方に助けていただいた。外部の方も集めて会議をいつもやっていた。

 ある時「こんなことをしていたら費用がいくら掛かるか、期間がいつまでかかるか私たちは責任を持てません」と言われた。「あなたたちは頭がおかしい」ぐらいのことを言われて。

 私は「面白いな、このおやっさん」と思って「分かりました、本音で言ってください。本当にどこが問題と考えているんですか」と聞いた。それでお話を聞いたら、「うん、なるほど、その通りや」と思った。

どんなことを言われたのですか。

 「口でだけは皆さん偉そうなことを言っていますけど、本当に靴に足を合わせる気は無いでしょう」と。「結局、あれをやりたい、これをやりたいと言う。どこかで腹を括って割り切るのか、(刷新を)あきらめるのか2つに1つ。それは会社がお決めになることですから、植木さんが決めればいいんじゃないですか」と迫られました。それはその通りだと。

 とにかく外部の知見をちゃんととらえて、それで中の体制をしっかりと、これ以上無いという体制を整えて臨みました。

 ただ、大切なことは、その上で外部に任せちゃいかんということです。申し訳ないけど彼らには責任は取れない。外部の知見をアドバイスとして必死になって聞くけど、最後に決めるのは社長である私。これが無かったら他人任せで、失敗したら他人の責任にするだけなんですよ。

 「よし、俺もそう思うからそうしよう」ということ。だから最後の2年ぐらいは本当に自信を持って進めていました。