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低遅延通信が可能なフレーム構成
NRのフレームは、LTEと同様で10ミリ秒の無線フレームと1ミリ秒のサブフレームで構成されます。
サブキャリア間隔が15kHzの場合は、1サブフレームは1スロットから構成され、1スロット当たり14シンボルが送信されます。これはLTEと同じシンボル数です。サブキャリア間隔が30kHz、60kHz、120kHzとなると、スロット内のシンボル数を14で固定したまま、1サブフレーム中のスロット数がそれぞれ2、4、8となります。
通信遅延や周波数利用効率に関わるパラメーターにリソースブロック(RB)があります。RBはデータ送信のスケジューリングを行う基本単位です。NRのRBは連続した12サブキャリアと1スロットから構成されます。このため、サブキャリア間隔を大きくすることでより短い時間でのスケジューリングが可能となり、低遅延な通信を実現できます。
NRではより効率的な周波数利用のため、LTEよりも高いチャネル占有率を達成できるようになっています。例えばNR FR1のサブキャリア間隔15kHzの場合、最大270RBが割り当て可能であり、チャネル占有帯域幅は約48.6MHzとなります。従って最大帯域幅50MHzに対し、チャネル占有率は約97.2%となります。これに対してLTEでは、20MHz当たり最大100RBが割り当て可能で、チャネル占有帯域幅は約18MHzとなります。これは約90%の占有率に相当します。このようにサブキャリア間隔が同じ15kHzであっても、NRのチャネル占有率が高くなっていることになります。
ここまで、5G NR標準のポイントを概説してきました。初版の仕様が策定された直後から、この5G NRに準拠した相互接続試験を、当社(Ericsson)も含めた世界の通信機器メーカーや通信事業者、チップセットメーカーが実施しています。商用化に向けた歩みは着実に進み始めたといえるでしょう。