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スケーラブルになった5G NRの物理レイヤー
最後にNRの物理レイヤーのスペックとフレーム構造について、LTEと比べながら解説します。5G NRの物理レイヤーは、LTEのコンセプトを基本として、スケーラブルな設計となっています。変調方式のパラメーターにそれを見ることができます。
変調方式は下り(基地局送信)がOFDM方式、上り(端末送信)はCP-OFDM注8)またはDFT-s-OFDM方式注9)が規定されています。OFDMはLTEでも使われていますが、そのサブキャリア間隔は15kHzで固定でした。これに対しNRでは、周波数レンジや要求されるレイテンシーなどによって、15kHzから120kHzの間で選べるようになっています。
注8)CP(Cyclic Prefix)はマルチパス干渉を除去するための区間。ガードインターバルとも呼ばれる。
注9)DFT-s(Discrete Fourier Transform spread)はOFDMでシングルキャリア伝送を実現するための手法。シングルキャリア伝送にするのは送信時のピーク電力を抑える狙いがある。
広いサブキャリア間隔はサブミリ波やミリ波といった高い周波数帯での採用が想定されています。また、サブキャリア間隔によってサポートされる最大帯域幅が異なる点に注意してください。ここでいう最大帯域幅とは、1コンポーネントキャリア(CC)当たりの最大帯域幅であり、NR同士のキャリアアグリゲーション(CA)を実現することで、より広帯域の通信が可能です。