この記事は日経 xTECH有料会員限定ですが、2018年4月12日5時まではどなたでもご覧いただけます。
日本はオプション3のアーキテクチャーを採用予定
前述したように5Gでは、NRと4Gなどの既存無線アクセスを組み合わせて、高度で新しいサービスを提供します。そこで3GPPでは、NRをLTEネットワークにどのような形で追加するかを検討し、その発展形を複数のアーキテクチャー・オプション(以下、オプション)として分類しました。次の図にあるように、NSAはオプション3、SAはオプション2となっています。オプション3のNSAとオプション2のSAは多くの事業者が採用すると考えられるため、現在作業中のリリース15で優先的に標準化が行われています。
オプション3のNSAは、LTEによるカバレージ(通信範囲)が十分あるネットワークに対して、高容量・高スループット・低遅延などが要求されるエリアにNRの基地局(gNB)を展開するためのオプションです。このオプション3では、LTEの既存コアネットワーク(EPC)がNR基地局を収容することを想定しています。日本の通信事業者が2020年のサービス開始時に採用を予定する方式です。
オプション2のSAは、5G用のコアネットワーク(5GC)を導入した上で、NRでカバレージを広げていく方式です。これは、当初からNRの基地局を積極的に展開するための方式で、中国の通信事業者が採用すると見られています。
オプション4とオプション7、そしてオプション5はいずれもオプション3からの発展形です。オプション4は5Gコアネットワーク接続で制御信号はNR、オプション7は5Gコアネットワーク接続で制御信号はLTE、オプション5はLTEの5Gコアネットワーク接続です。これら3つのオプションについても、リリース15で標準化されることが合意されています。オプション5はオプション2と同じ2018年6月、オプション4とオプション7は2018年12月完了の予定です。
なお、オプション1は既存の4Gネットワークそのものであり、オプション6および8はNRがLTEコアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)と制御信号をやり取りするオプションです。現時点ではいずれも標準化作業の対象から外されています。