この記事は日経 xTECH有料会員限定ですが、2018年4月12日5時まではどなたでもご覧いただけます。

 2020年前後の商用化を目指し、日本を含む世界各国で研究・開発が進行中の第5世代移動通信システム(5G)。4G(LTE-Advanced/LTE)までの携帯電話ネットワークが提供してきたデータ通信や音声通話サービスの高度化に加えて、5Gでは高信頼性、低遅延性、多数接続性を生かした新たなサービスやユースケースの登場が期待されています。それらに向けた様々な実証実験が、日本や韓国、中国、欧米の各国で盛んに行われています。

 5Gの商用化に当たり、重要なポイントとなるのが、標準化です。2017年末に大きな進展がありました。業界団体の3GPP(Third Generation Partnership Project)が、NR(New Radio)と呼ぶ5G向けの新しい無線アクセス技術について、初版の策定を完了したからです。2017年12月21日の3GPP TSG(Technical Specification Group)会合にて承認されました。

出所:3GPP TSG RAN Plenary会合からのツイート「3GPP Live」
[画像のクリックで拡大表示]

 5Gでは、4Gなどの既存無線アクセスとNRを組み合わせることで、高度で新しいサービスを提供することを概念として掲げています。このためNRの無線インターフェースは、現在広く普及しているLTEを基本として、次の特徴を備えるようになります。

  • ―将来の拡張に対応するため、柔軟性がありスケーラブルな設計思想
  • ―高い周波数帯のサポート
  • ―高度なアンテナ技術の採用
  • ―低遅延(レイテンシー)の実現
  • ―超効率的な設計(Ultra-Lean Design)

 NRの初版策定が完了したことで、今後は商用化への動きが加速することになるでしょう。本稿では、このような大きな節目を迎えた5Gの標準化について解説します。