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顧問を残しつつ、相談役だけを取りやめる企業もある。日本ユニシスと野村総合研究所(NRI)、TIS、NEC、新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)である。日本ユニシスは、現在の相談役である黒川茂氏が2018年6月に任期満了で退任するのを機に、相談役制度を廃止する予定だ。顧問制度は継続するが、2017年6月以降は対象者がいない。
NRIは2018年3月に相談役制度をなくしたばかり。TISは2015年、NECは2003年に、NSSOLは10年以上前に相談役制度を打ち切った。
顧問を残す理由は各社で異なる。NECは「顧問は社外団体での活動や営業支援などの役割を担う」と説明。TISは「顧問はグループ各社の監査役となり、グループ・ガバナンスの強化に貢献する」としている。
相談役と顧問の必要性を問われる時代に
ここにきて相談役や顧問をなくす企業が続出しているのはなぜか。「株主や取引先、従業員に対して、経営の透明性を実証しなければならない時代になったため」と、特定社会保険労務士で、SRO労働法務コンサルティングの代表を務める杉本一裕氏は説明する。
杉本代表は「相談役や顧問のなかには、売り上げに貢献する方も多くいるが、一方で、明確な仕事がなく名誉職のような立場で役に就いている場合もある。そうではないことを社外に示すために制度の廃止に踏み切っている」という。
今回取材した10社のうち、相談役と顧問を当面維持するのは、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の2社だ。ただCTCは現在、相談役の対象者がおらず、顧問だけを設置している状態だ。
NTTデータは相談役や顧問の人数、氏名などを非公開にしている。今後の制度の存続についても「未定」と回答する。同社に限った話ではないが、時代の要請から、この先は説明責任がより問われるのは間違いないだろう。