今週の注目レース
中山競馬場 2000m(芝)定量 牡・牝 3歳オープン
グレード制が導入された1984年から2016年までの皐月賞優勝馬33頭中、およそ3分の2にあたる21頭は、皐月賞以降にもJRAのGI で優勝を果たしている。他の3歳クラシック競走について同様の集計を行ったところ、当該レースの後にJRAのGI を制した優勝馬の数は、桜花賞が13頭、オークスが11頭、日本ダービーが11頭、菊花賞が17頭だった(いずれも2016年末現在)。クラシックレースの中でも、優勝馬がその後の大舞台で活躍するケースが最も多い一戦だ。今回は東京・芝2000mで行われた2011年を含む過去10年のレース結果から、好走馬に共通しているポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬30頭中25頭は、「JRAの1800m以上の重賞」において連対経験がある馬だった。一方、その経験がなかった馬は3着内率6.3%と苦戦している。重賞で優勝争いに絡んだことがない馬や、1800m未満の重賞でしか連対経験のない馬は割り引きが必要だ。〔表1〕
連対経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-8-8-72 | 9.3% | 17.5% | 25.8% |
なし | 1-2-2-75 | 1.3% | 3.8% | 6.3% |
なお、「JRAの1800m以上の重賞」で連対経験がなかった馬のうち、若葉Sで「3着以下」だった馬と若葉S「不出走」の馬を合わせた3着内率は3.1%にとどまっている。3着以内に入ったのは2008年1着のキャプテントゥーレと2009年3着のセイウンワンダーだけで、2010年以降の該当馬46頭はいずれも4着以下に敗れている。「JRAの1800m以上の重賞」で連対経験がない馬の中で、「若葉Sで2着以内に入っていた馬」以外はさらに評価を下げるべきだろう。〔表2〕
若葉Sでの着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2着以内 | 0-2-1-13 | 0% | 12.5% | 18.8% |
3着以下、不出走 | 1-0-1-62 | 1.6% | 1.6% | 3.1% |
過去10年の3着以内馬30頭中23頭は、前走の着順が「2着以内」だった。一方、「3着以下」だった馬は3着内率8.9%と苦戦している。前走の成績を比較する際は、着順が良かった馬を素直に重視したい。〔表3〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2着以内 | 9-7-7-75 | 9.2% | 16.3% | 23.5% |
3着以下 | 1-3-3-72 | 1.3% | 5.1% | 8.9% |
なお、前走の着順が「3着以下」だった馬のうち、そのレースが「弥生賞」以外のレースだった馬の優勝例はなく、3着内率も3.7%にとどまっている。前走で「弥生賞」以外のレースに出走して3着以下に敗れていた馬は、苦戦する可能性が高いと判断したいところだ。〔表4〕
前走のレース | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
弥生賞 | 1-2-2-20 | 4.0% | 12.0% | 20.0% |
その他のレース | 0-1-1-52 | 0% | 1.9% | 3.7% |
過去10年の3着以内馬30頭中19頭は、前走の単勝人気が「1番人気」だった。該当馬は3着内率46.3%と好走率も非常に高い。直近のレースで「1番人気」に支持されていた馬は、レースの内容にかかわらずマークしておくべきだろう。〔表5〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 7-6-6-22 | 17.1% | 31.7% | 46.3% |
2番人気以下 | 3-4-4-125 | 2.2% | 5.1% | 8.1% |
過去10年の3着以内馬30頭中23頭は、通算出走数が「5戦以内」だった。一方、「6戦以上」だった馬は3着内率9.9%と苦戦している。キャリアが豊富な馬は評価を下げたい。〔表6〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
5戦以内 | 7-8-8-83 | 6.6% | 14.2% | 21.7% |
6戦以上 | 3-2-2-64 | 4.2% | 7.0% | 9.9% |
過去10年の3着以内馬30頭中24頭は、「今回と同じ騎手が騎乗したJRAのレースで優勝経験がある」馬だった。一方、その経験がなかった馬は3着内率6.8%と苦戦している。各馬の戦績をチェックする際は、今回と同じ騎手で臨んだレースでの成績も確認しておきたいところだ。〔表7〕
優勝経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 7-9-8-65 | 7.9% | 18.0% | 27.0% |
なし | 3-1-2-82 | 3.4% | 4.5% | 6.8% |
過去6年の優勝馬6頭は、いずれも前走で「共同通信杯」か「スプリングS」に出走して2着以内に入っていた。ちなみに、前走が弥生賞だった馬は2010年のヴィクトワールピサを最後に、前走が若葉Sだった馬は2007年のヴィクトリーを最後に、前走の着順が3着以下だった馬は2008年のキャプテントゥーレを最後にそれぞれ優勝が途絶えている。〔表1〕や〔表3〕で挙げた傾向からもわかる通り、中距離の重賞で連対経験がある馬や前走で2着以内に入っていた馬を重視したいレースだが、近年の傾向を考慮するならば、「共同通信杯」や「スプリングS」の好走馬を特に高く評価すべきだろう。〔表8〕
(伊吹雅也)
※表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 前走のレース | 前走の着順 | JRAの1800m以上の 重賞での最高着順 |
---|---|---|---|---|
2011年 | オルフェーヴル | スプリングS | 1着 | 1着(スプリングS) |
2012年 | ゴールドシップ | 共同通信杯 | 1着 | 1着(共同通信杯) |
2013年 | ロゴタイプ | スプリングS | 1着 | 1着(スプリングS) |
2014年 | イスラボニータ | 共同通信杯 | 1着 | 1着(共同通信杯ほか) |
2015年 | ドゥラメンテ | 共同通信杯 | 2着 | 2着(共同通信杯) |
2016年 | ディーマジェスティ | 共同通信杯 | 1着 | 1着(共同通信杯) |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。