英検に臨む中学3年生。県立高入試の加算制度導入で9割超の生徒が受験し、3級以上の取得率も大幅に伸びた=2017年10月、福井県福井市光陽中

 文部科学省が4月6日公表した2017年度の英語力調査で、福井県の公立中学・高校の3年生が都道府県別でともに1位となった。中3は県立高入試の英検加算制度導入が背景にあるが、同様に大半の生徒が英検を受験した他県に比べ3級以上の取得率は突出しており、福井県教育委員会は「英語の授業を英語でする意識が教員に浸透し、生徒が英語を使える力を付けてきた結果」と分析している。

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 福井県教委は英語を話す力を伸ばそうと16年度から、中3と高2を対象に、面接試験がある英検3級以上と、同じく外部検定のGTEC(ジーテック)の受験料を補助している。16年度の中3は日程の関係からGTECを選ぶ生徒が多く、英検の受験率は35・0%、3級以上の取得率は18・9%だった。しかし、今年3月の県立高入試で3級以上の取得者に得点が加算されることになり、17年度の受験率は96・4%に急増。取得率も56・1%と約3倍になった。

 同様に英検の受験料を補助し、公立中3の95%以上が受験した秋田県の3級以上取得率は39・2%、和歌山県は34・6%で、福井県と大きな開きが出た。この点について県義務教育課の尾形俊弘参事(外国語教育)は「英語によるコミュニケーションを重視した授業に長年取り組み、外国語指導助手(ALT)の増員で生徒が生きた英語に触れる機会を増やしたことが成果につながった」と分析。県内中高の英語教員でつくる県英語研究会の松田新一前会長は「英語はコミュニケーションのための道具。生徒が自分の思いを英語で表現できるための教育をしてきた」と話す。

 高3の英語力が全国1位となった要因に関し県教委は、中学での英語教育が土台となり、英語による授業がスムーズに行われている結果と説明。中学、高校教員も全国トップとなったことについては、英語で授業するには生徒のレベルに応じて単語や文法を使い分ける高い英語力が必要で、教員が外部検定を受験するなどして力を高める努力をしてきた成果とする。

 本年度からは全国に先駆けて小6で英語が教科化される。尾形参事は「教員研修と教材開発の2本立てで小中高一貫の英語教育を展開し、生徒の英語を使える力をさらに高めたい」としている。

CASA
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