« 見えない老人問題 『母の家がごみ屋敷』 | トップページ

どうやって本を探すか? ひとつの回答「現代思想の316冊」

 「どうやって本を探している?」とよく聞かれる。

 もちろん、書店や図書館で出会ったり、ネットやクチコミを求めることはやっている。問題なのはそこからで、そうした自分のアンテナの届きにくいところにあって、なおかつ私好みの/私が読むべき一冊は、どのように圏内にするか?

 ひとつの回答がこれ。

 『現代思想』の4月号で、「現代思想の316冊」として、哲学から社会学、経済学、人類学、医療・福祉、宗教、美学、数学、教育学、エスノグラフィ、メディア論など、様々な思想から重要書を選び出たブックガイド。その分野に興味を抱く大学新入生向けという触れ込みだが、手軽な文庫新書から、ゴツいやつまで取り揃えている。

 もちろんこれを「ブックガイド」として読むのもありだ。興味のあるキーワードから読みたくなった本を手にしてみればいい。あるいは、未読だが気になっていた本や、既読の本がどのように紹介されているかを確かめながら、再読するのもいい。

 だが、これを「読書人ガイド」として使うのだ。つまり、興味のあるキーワードを担当している「人」や、既読本を紹介している「人」を逆引きする形で利用するのである。

 たとえば、カストロ『食人の形而上学』は未読だが強く惹かれていた一冊だが、これを「人類学」の章で紹介している「人」が、一橋大学教授の春日直樹氏である。そこから彼のWikipediaへ飛んで『科学と文化をつなぐ:アナロジーという思考様式』を見つける。これも読みたくなってくる。twitterで検索すると、彼についてつぶやく「人」を見つけることができ、さらにその人から面白そうな本を手繰ってゆく。

 あるいは、知っている「人」を見つけたら幸いだ。この場合の「知っている」は、知人という意味ではなく、その人のブログや本を読んだことがあるという意味だ。その「人」がお薦めする「本」を手にすればいい。わたしの場合は、小島寛之氏のブログ(hiroyukikojimaの日記)を読んでいたので、「数学」の章はフルコース状態でしたな(そして積読状態となっている『証明と論理に強くなる』に再び出会うことになる)。

 つまり、あなが興味のある「本」→それを紹介する「人」→その人が書いた/紹介する本→その本や人について語る「人」......といった繋がりで、本・人・本・人と芋づるにする。本をダシにして、人を探す。そうすることで、あなたのアンテナを何重にも、何倍にも増幅させることができる。ぜひ、試してほしい。

 良い本で、良い人生を。

zenback読み込み中です。

|

« 見えない老人問題 『母の家がごみ屋敷』 | トップページ

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18285/66587650

この記事へのトラックバック一覧です: どうやって本を探すか? ひとつの回答「現代思想の316冊」:

« 見えない老人問題 『母の家がごみ屋敷』 | トップページ