桑名産ハマグリ復活への取り組み
桑名のハマグリについて
「桑名の焼き蛤」として全国的に有名な桑名産ハマグリでありますが、古くは東海道膝栗毛でも紹介され、三重県の特産品として江戸時代には歴代将軍に献上されていました。
ハマグリの主な種類にはハマグリ、チョウセンハマグリ、シナハマグリがあります。
スーパーなどで広く流通消費されているのはシナハマグリで、中国や朝鮮半島から年間1万トン以上が日本に輸入されています。ハマグリは三重県(木曽三川河口域)、熊本県、大分県などで年間250から500トン程漁獲されており、そのうち桑名産ハマグリの漁獲量は年間百数十トンとなっています。
桑名のハマグリの漁獲量は、昭和40年代には2,000から3,000トンありましたが、昭和50年頃から急に減少していき、一時は絶滅の危機さえも叫ばれていました。その原因には、ハマグリが生息する干潟の減少や環境の悪化などが考えられます。
桑名産ハマグリ復活への取り組み
このように絶滅の危機さえも叫ばれるほどに激減してしまった、桑名産ハマグリの復活に向けて県、市、漁協が一体となって様々な取り組みが行われています。厳格なる漁獲量制限はもとより、平成2年には「赤須賀漁協ハマグリ種苗生産施設」が整備され、実用化レベルでの種苗生産がスタートしました。同施設では県の指導のもと桑名市と赤須賀漁協が協力し試行錯誤を繰り返しながら、これまでに約3,000万個のハマグリ稚貝を生産、放流してきました。また平成5年には桑名市城南沖に、翌年には長島町沖にそれぞれ20ヘクタールの人工干潟が造成されたのを機会に、ハマグリの生育環境の調査・改善に取り組んでいます。このような取り組みの結果、一時は年間1トン以下であった漁獲量も近年では百数十トンにまで回復してきましたが、まだまだ予断を許さない状況であり、今後より一層の対策が必要だと考えられます。