満場一致で連盟の役員が決定
2018年3月30日、“オンラインゲーム・eスポーツ議員連盟”の総会が、衆議院第2議員会館にて行われた。その模様をリポートする。
総会の司会進行を務めたのは、連盟の事務局長を務める松原仁氏。松原氏により、会長の河村建夫氏が紹介され、まずは河村氏が冒頭で以下のとおり開会のあいさつを述べた。
「オンラインゲーム・esportsはクールジャパン戦略の骨格であるとの位置づけのもとに、連盟を立ち上げまして、多くの皆さまにご参加をいただきました。ゲーム産業は日本にとっても大きなコンテンツですが、まだまだ認識が十分でないこともあり、われわれの活動ももっと強くしなければいけないところです。
esportsの競技人口は、世界中でどんどん増えつつあり、オリンピックの有力種目にも挙がってきたということですが、日本ではなかなか理解ができない部分もありまして、我々ももっと啓発運動をしなければいけないと思っております。
このたびは、新たに日本eスポーツ連合(JeSU)を立ち上げていただきました。そこで我々の議員連盟も新たに“オンラインゲーム・eスポーツ議員連盟”として、発足する運びになりました。参加議員はまもなく100人を突破する見込みで、eスポーツの理解が深まれば深まるほど、議員の皆さまの参加も増えると思っております。
プロライセンスに関しても汎用性を高めていただいて、日本のゲーム産業力を高める意味でも、この連盟が一助できればと思っています。皆さまのご支援・知見もいただきながら進めていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」(河村氏)。
続いては連盟役員案が発表され、合意を示す参加者の拍手で決定した。ちなみに役員は以下のとおり。敬称略で紹介する。
最高顧問/二階俊博
特別顧問/漆原良夫
顧問/馳浩、遠藤利明、古川元久、下村博文、小野寺五典、松野博一、細野豪志
会長/河村建夫
会長代行/林幹雄、石田祝稔
会長代理/佐藤茂樹、櫻田義孝
副会長/増子輝彦、泉健太、秋元司、濱村進、冨岡勉、笠浩史、武田良太
事務局長/松原仁
事務局長代行/西村康稔
事務局次長/鈴木隼人、片山さつき、高井崇志、小宮山泰子
日本eスポーツ連合が設立の経緯を報告
議題の主軸である人事の確認はひと段落し、つぎは報告事項に移った。ここではまず、日本eスポーツ連合(JeSU)会長の岡村秀樹氏が、新団体設立の経緯や活動内容、今後の展開などを説明した。
最初に語られたのは、esportsの動向について。海外における市場成長の度合いや、高額賞金が掛かる大会も多く存在するなど、野球やサッカーと同様に多くのプレイヤーやファンがいて、興行としても成立しつつある現状がアピールされた。
ここでは、2022年アジア競技大会にて正式にメダル種目に追加されることが決定したことや、2018年アジア競技大会でデモンストレーションが開催されることなども併せて報告された。
なお、日本でesports大会を実地するうえでは、刑法・風俗営業法・景品表示法などの法律をクリアーする必要があるが、「これらの法律の完全な順守が必要だろうという認識のもとに、私たちはこのJeSUを設立しました」と、岡村氏は力強くコメント。
続いては、JeSUの基本的な内容が紹介された。同組織は、日本eスポーツ協会、e-sports促進機構、日本eスポーツ連盟という3団体が統合され、2018年2月1日に発足した新団体。IPホルダーのコンピュータエンターテインメント協会(CESA)と日本オンラインゲーム協会(JOGA)も協力するなど、世界的にも類を見ない団体となっていて、「各国のesports団体も非常に注目する構造になっています」(岡村氏)とのこと。要はesportsを振興させようという側と、ゲームソフトを供給する側が手を取り合って団体を発足させた点が、従来ではなかった画期的なケースとして話題になっているという。
当面の大きな活動目標として挙げられたのは、ひとつは日本オリンピック委員会(JOC)への加盟。2018年のアジア競技大会への選手派遣に続き、将来的にオリンピックの公式種目採用を目指す構えだ。もうひとつはプロライセンス制度の確立で、適法な環境下での賞金付き大会の実現、国際大会への選手派遣を目的とした強化選手の把握などが、そのポイントとして挙げられた。ちなみに現在プロ認定されているのは、プロライセンス56名、ジュニアライセンス1名、チームライセンス6チームとなっている。
「ゲーマー個人としてではなく団体、つまり日本代表選手として送り出すような志で進めていきたいと思っています。なのでJOC加盟を最大の注力ポイントとして、臨んでいくつもりです。ぜひ議員の皆さまにも、ご支援をいただければ幸いです」(岡村氏)。
各省庁も全面的な協力をアピール
議題や報告事項に続いては、筑波大学准教授の高橋義雄氏による、「オンラインゲーム・eスポーツの現状と課題」というテーマでのスピーチコーナーとなった。
ここでは、韓国で開催されたイベント「Intel Extreme Masters in PyeongChang 2018」などを事例として、esportsイベントの現状を紹介。またオリンピックやアジア大会などメジャーなスポーツ大会に関しては、加盟団体規定などのさまざまな条件、また契約スポンサーの権利に関わる問題など、さまざまな課題をクリアーしなければいけない部分が提示された。
高橋氏はまとめとして、国際的なesports団体との連動、国内団体の地位の確立やプロモーション活動、選手強化、国産ゲームIPの世界的な普及などの必要性を指摘。加えて提案として、実務者と研究者との共同マーケティングのデータ収集・分析と、普及障壁に対する改善および障壁を取り除く活動を連盟にアピールしてスピーチを終えた。
続いては、JOGA代表の植田修平氏が、コンテンツ海外展開支援事業の継続およびベンチャー企業の利用拡大を、説明および要望。ここではJ-ROP(ジャパン・コンテンツ ローカライズ&プロモーション支援助成金)の活用をテーマに、年間補助金額の上限の設定や広告やイベントへの従来どおりの使用、また申請手続きにおける協力などがアピールされた。
こうした報告や提案を受け、最後は各省庁の代表参加者がコメントを語った。概要を以下にまとめる。
「いただいたご要望はしっかり受け止めさせていただきたいと思います。そもそも私たちが支援させていただいている理由が、ベンチャーをはじめとして本当にがんばっている方々が海外展開していくことによって、日本のコンテンツのすそ野が広がっていくようにという思いがございますので。JOGA様がおっしゃった1社あたりの上限であるとか、広告面についても対応していきたいと思います。申請手続きにつきましても、引き続きご支援をお願いいたします」。
(経済産業庁)
「JOCへの加盟につきましては、正式加盟はなかなか難しく、準加盟団体での加盟になるかと思っております。過去の例では囲碁やブリッジにおいてケースもあるので、それを活用するのがよろしいかと考えています」。
(スポーツ庁)
「JeSUさまのほうでプロ制度を作られたということで、報告もいただいておりますし、活動も法律の範囲内ということで理解しています。引き続きよろしくお願いいたします」。
(消費者庁)
続けて、会長代行を務める石田祝稔氏があいさつを語って、総会を締めくくった。その締めのひと言を紹介して、リポートを終えよう。
「小さい団体ですが、これから大きくなる楽しみもありますので、やれることをしっかりやっていきたいと思います。皆さん今日は、ご苦労様でした。これからよろしくどうぞ!」(石田氏)。
編集部 豊泉(とよまん)、ライター:イズミロボ・ササ