忙しくて片付ける時間がなく、いつも部屋がごちゃごちゃ。どこに何があるかわからない。物の山の中には、買ってからほとんど使っていない物や同じような役目の物がいくつもある……なんて生活を送っている人も多いのではないだろうか。
物を減らして、シンプルに暮らすためにはどうしたらいいのだろう?
その答えを求めて今回訪ねたのは、ミニマリストブロガーのナナコさんのお宅。2DKの空間は、まるで引っ越してきたばかりのように必要最小減の物だけが置かれていて、シンプルを極めていた。ナナコさんは、一体どのようにして物を減らしてきたのだろうか?
名前:ナナコさん
職業:アルバイト
居住形態:2人
居住地:神奈川県
間取り:2DK(46.98㎡)
家賃:8万3000円
築年数:約30年
建物:鉄筋コンクリート
この部屋に夫婦で暮らし始めて約5年。最初の頃は自室には当たり前のようにベッドがあったし、本棚もあった。キッチンには、皿がたくさん入った食器棚と2台のワゴンがあり、インテリアも好きだったので雑貨などを飾ることもあったそう。
それが大きく変わったのは、約2年前のこと。
「どれも自分が好きで集めた物なのに、どう置いても家の中がごちゃごちゃしているなと感じるようになったんです。仕事から帰ってきても何だか心が安まらない。それで、もしかしたら物を減らしたらすっきりするかもと思って、片付けを始めるようになりました」
物を減らそうと決意して、まず手をつけたのは自分の部屋だった。
「いきなり家中を片付けるのは難しいので、自分のお気に入りのスペースを徹底的に片付けることから始めました」
自室にある物を減らすにあたってナナコさんがまず処分したのは、普段ほとんど使うことがないもの。その次に、なくても困らないものを手放した。
自室の大部分を占めていたベッドをなくして布団に変えた。部屋の隅に布団をたたんでおけば、リラックスしたい時に寄りかかることができて、ソファの代わりにもなる。
デスクの引き出しや大きなチェアも処分。大量にあった本は、何度も読み返したい3冊だけを残して手放した。
以前はぎゅうぎゅうに物が詰まっていた押入れは、半分以上スペースが空いた。洋服はベーシックで着回せるアイテムを上下各2~3点に厳選。通年でも収納ケース1つに収まる量まで減らしたという。
「自分の生活を振り返ってみたら、パンツにトレーナーというスタイルがほとんど。そんなに洋服が必要ないことに気が付きました。滅多に着ないフォーマルな服は、必要な時にレンタルすればいいかなと思っています」
自分の物が減ってすっきりしたことで、「視界に入ってくるノイズが減って、仕事から疲れて帰ってきてもくつろげるようになった」というナナコさん。また、掃除がしやすくなった、物を探すのに時間がかからなくなったというメリットもあったそう。
調理や掃除に必要なアイテムがたくさんあるキッチンは、物を減らすのが難しいと思われがち。しかし、「必要だと思い込んでいるだけで、実はなくても困らない物が結構ありました」とナナコさん。
キッチンではリビングで存在感があった食器棚を処分。食器も夫婦で毎日使う数枚だけ残して手放した。2つあったキッチンワゴンのうち手入れが面倒な1つは処分して、空間になじむ木製のワゴンのみに。
ごちゃついていたキッチンは見た目がすっきりしただけでなく、使いやすさも格段にアップした。
キッチンで置き場所に困るアイテムの1つである洗剤類。食器洗い用、掃除用など種類が多く、いつのまにか数が増えてしまうこともしばしば。どうにか洗剤の数を減らせないかと考えたナナコさんは、重曹と、クエン酸を水で溶かしたスプレーが1つあれば全てまかなえることに気づいた。
「洗いものにクエン酸スプレーをかけて、マイクロファイバーのウエスで磨けば汚れがきれいに落ちます。重曹は掃除全般に使えるので、掃除用洗剤も不要になりました」
ちなみに、洗濯用の洗剤も使うのをやめたそう。代わりに使っているのが、洗濯機に一緒に入れることで汚れやニオイを取り除くという「洗たくマグちゃん」だ。
「洗剤をやめてしばらくは重曹とクエン酸で洗っていましたが、『洗たくマグちゃん』を使い始めてからはコレがあれば十分だなと思いました」
これまでいろいろなアイテムを手放してきたナナコさんだが、「捨てて後悔しているものは?」と聞くと、「1つもない」とのこと。
「捨てて後悔したものがないってことは、結局、どれも本当に必要なものではなかったということですよね。物が減ったことで心もすっきりしたし、家が今まで以上に落ち着ける空間になりました」
また、持たない暮らしを始めてから「気持ちが満たされて、物欲が落ち着いた」とナナコさん。その結果、家賃を除く1ヵ月の生活費が14万円から10万に節約できるようになったそう。
とはいえ、自分にとって本当に必要なものを判断するのは意外と難しいもの。どうしたらいいかナナコさんに聞いてみると、次のような答えが返ってきた。
「私はいつでもすぐに引っ越しできるくらいに身軽になりたいなと思っています。普段から、引っ越しをするつもりで片付けをすれば、自分にとって本当に必要なものだけを残すことができるんじゃないかな」
今回ナナコさんに伺った「物を手放すコツ」は以下のとおり。
1.ほとんど使っていない物を手放す
2.なくても困らない物を手放す
3.1つで複数の用途に使えるアイテムを活用する
物を減らしてすっきり暮らすことができれば、心もすっきりする。掃除もしやすくて、さらには家計にもやさしい。
部屋がごちゃごちゃしているのが落ち着かないという人は、まずは自分のお気に入りスペースから見直してみてはいかが? 最小限の収納スペースで足りるから、部屋を探すときの選択肢も増えるはず。
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文・写真=村上佳代
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