高畑さん「日常生活の哲学貫く」
高畑さんの作品ついて、アニメーションの歴史に詳しい明治大学大学院特任教授の氷川竜介さんは、「ふだんの日常生活にこそ驚きや喜びがあるという姿勢や哲学が貫かれている」と指摘し、その象徴的な作品として「アルプスの少女ハイジ」を挙げています。
高畑さんはこの作品を作る際、スイスに行って現地の暮らしを体験したということで、氷川さんは「チーズを焼くシーンがおいしそうだと評判になったが、その過程は驚くほど丁寧に描かれていた。省略と誇張が主流のアニメの世界でそういったことを省かずに丁寧に描き、子どもたちが自分で何かを見つけられるように描いたのが高畑さんのアニメだ」と指摘しました。
そのうえで、「ふだんの日常生活にこそ、驚きや喜び、奇跡があるという姿勢や哲学がすべての作品で貫かれ、日本のアニメーション全体に当たり前のように広がった。今のアニメーションはハイジがあったからこそ、開かれた道であり、高畑さんは宮崎駿さんとともに日本のアニメの格式を高めた人だと思う」と話していました。