アジアの平和歴史教育連帯

[ニュースレター 65号] 2018年2月1日

[「公共」科目新設に対するアジアの平和と歴史教育連帯 声明文]


日本政府の歪曲した領土教育の強化指導を憂慮する!

日本の文部科学省は2月中旬に公表予定である高校の学習指導要領概要に、独島を包含する領土問題を扱う「公共」科目を新設することを予告した。「公共」科目は、領土、安保など日本が直面している政治、外交の懸案事項を包含する科目で、高校生に領土教育を強化しようとの意図が込められている。
 日本の文部科学省は、既に2014年、中・高校教科書の学習指導要領解説書改正と2017年、小・中学校社会科新学習指導要領を通じ独島に対する領有権を主張する教育を義務化したところだ。これによって、2016年と2017年、高校の検定を通った社会科教科書59点中46点が、独島関連内容を記述した。特に地理の教科書の場合は9点中8点が、独島を「日本の領土」だと記述し、9点中6点が、「韓国が不法占拠」したと記述した。このような状況から日本政府は、新設する「公共」科目でも間違った歴史認識と領土認識を無理強いする可能性が高い。
 領土問題を媒介にした日本政府の「危険な」歴史教育は、ただ単に高校の教科目に限らない。既に中学校の教科書でも、領土問題の記述を義務化し、2018年から実施される小学校の道徳教科書にも当てはめる恐れがある。このような恐れは、2016年日本の文部科学省が、日本の独島領有権の主張を込めた絵本を、小学校に無償配布した事実からも既に証明されている。日本政府のこのような動きは、安倍政権が、積極的に改憲をして戦争のできる国を作ろうとしている意図と深い関係がある。
 アジアの平和と歴史連帯は「戦争できる日本」を作るための日本政府の教育政策に深い懸念を表明する。日本政府の誤った愛国主義教育が、正当な過去の清算を通じた平和な韓日関係、さらには平和な東アジアに向けたすべての努力に決定的な脅威になるためである。日本のこのような政策は、戦争と植民支配の清算に力を注いでいる世界的であり、かつ今日の時代的な流れとも齟齬を来たす。更にそれだけでなく、帝国主義復活の道を歩んでいるという批判を避けるのが難しくなるだろう。
 アジアの平和と歴史教育連帯は、韓日関係に改善の余地が見えにくい今、過去の歴史を直視して韓日関係を回復しようと努力より、国家主義を強く出し周辺国家との葛藤をあおる道を選んでいる日本政府が、どうか東アジアの平和に寄与することのできる教育政策を採択することを、懇々と強く要請する。これにあわせ、日本政府は全ての教科書において、間違った領土教育と愛国主義教育をやめ、自らが基本方針を明らかにした「近隣諸国条項」を遵守し、東アジア共通の歴史認識の向上を目指して進むことを要求する。

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アジアの平和と歴史教育連帯


(日本語訳:岡野克子、監修:済藤智香)

英字版の韓中日共通教材の出版案内
未来を開く歴史英字版    
A HISTORY TO OPEN THE FUTURE
 2002年、日本の歴史事実の歪曲に対して批判が起こった。それに対して一案を提起しようと韓中日の学者と教師が力を合わせ、共通教材の作成に取り掛かりました。その中の一つとして英字版の「未来を開く歴史」の出版にたどり着きました。
韓中日の共通教材編纂委員会が作成した「未来を開く歴史」英字版について詳しい情報をお知りになりたい方は、歴史連帯事務所にお問い合わせください
 A New Modern History of East Asia
 韓中日が共同執筆した東アジアの近現代史英字版
 2,012年,「韓中日が共同執筆した東アジア近現代史」の英字版が出版されました。英字版の出版ぬ向けてドイツのエガード財団が長い間支援をしてくれました。教科書の公益的な性格を生かすために英字版「韓中日が共同執筆した東アジアの近現代史」のPDFを無料で配布する、など、日本の歴史事実の歪曲に直面している今、世界の人々に真実を知らせるために歩んでいる歴史連帯の活動にご支援をお願いします。
 「韓中日が共同執筆した東アジアの近現代史」英字版の詳しい情報をお望みの方は、歴史連帯事務所にお問い合わせください。
[会員コラム] 東アジア青少年歴史体験キャンプについて
2017年12月29日、東アジア青少年歴史体験キャンプ(以下、青少年キャンプ)の日本側の実行委員会が歴史連帯事務所に来られ、青少年キャンプの韓国側の企画と進行を受け持っている青少年教育委員会との懇談会を持ちました。熱気溢れる雰囲気で行われた懇談会では、2018年に中国で開催する青少年キャンプと2019年に日本で開催する青少年キャンプの進めるべき方向について深い論議が行われました。この懇談会について青少年教育委員会イ・ギョンフン委員の感想をみなさまと共有したく記します。
 「去る30日、東アジア青少年歴史体験キャンプ日本側の先生たちが来られた。光州地域の現地調査と来年のキャンプに関する論議を兼ねて来られた。青少年キャンプは2002年、
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日本の扶桑社の教科書が検定に合格したことをきっかけに始まった。1997年、「新しい               歴史教科書をつくる会」が発足し、日本の中学校教科書から、「慰安婦」の用語がなくなり、史実を歪曲した教科書が検定に合格するなど、日本が少しずつ右傾化していくことを感じ、青少年たちに過去の事実を知らせ、青少年自身が自ら考えようとする力を養うきっかけをつくるためにキャンプを始めた。
夜遅くまで討論を続けた日本側の先生たちは、今年までに16回のキャンプを経験されたその経験から、これから進めるキャンプに対していろいろと考えられたようだ。この点は、韓国側の関係者たちも同じだった。今までは、日本の過去の侵略と植民支配の事実を知らせることに主眼を置いてきた。「慰安婦」ハルモニに直接お目にかかったり、清日戦争や露日戦争の現状、南京大虐殺の現状を、現地に行き、見て学ぶ、など過去の事実を確認することを通して韓中日の学生たちが、少しでも明るい東アジアの未来を描き考えることが出来るようにと、そこに力点を置いてきた。
日本側スタッフたちは、ロウソク集会に参加した韓国の学生の姿に衝撃を受けたようだ。この夏(2017年7月)のキャンプでも、ロウソク集会に関して、かなり多くの質問があった。日本の学生の感想でも、「歴史を学ぶこと」と「歴史を作っていくこと」、そして「歴史に参加すること」で、日本と韓国では差がかなりあるようだ、と言われていた。歴史を学ぶことで日本と韓国とで違いはないだろうが、学んだことをどう具体的な「行動に移していくのか」には、差があるようだ。ロウソク集会に韓国の学生が「自発的に参加した」ことに対して、理解し難い様子だった。「学校でどのように教えているのか」「歴史授業をどのように進めているのか」など、多くの質問が出された。それらを受けて、「歴史の知識」を超えて、「行動」と「参加」を射程に入れ、これからのキャンプでは、どう伝えるのかについて多くの論議をした。
これからのキャンプはバージョン2.0になりそうだ。今までのキャンプが「韓中日 3カ国の歴史認識の共有」、「友だち作り」だったとすれば、これからのキャンプは「歴史体験」と「行動」になりそうな予感がした。それは、韓国国内でおこった「国定教科書ショック」と「ロウソク集会」を通じて差し迫ってきた「民主市民としての歴史教育」にバージョンアップするのだといえるのかもしれない。「制服を着た民主市民」の拡張バージョン、「東アジアの平和共同体を目指し行動する民主青少年」、東アジアの歴史認識の共有と、それを基礎に批判的思考を育て、東アジアの平和のために行動する民主青少年へと成長するための経験を積み重ねる「東アジア青少年歴史体験キャンプ」が、バージョン2.0のキャンプの姿ではないかと考えてみたりする。
いずれにしても日本の先生方は、みなさん退職された方なのですが、どこからこのような情熱が沸き起こるのかと思う方々ばかりだ。韓日歴史教師の集まりでも感じることだが、日本の先生方の情熱に対してはいつも尊敬するばかりである。私は退職したら、日本の先生方のようにできるだろうか?はっきりと答えは出ないが、少なくともこれまで進めてきたことに関心を持ち続けなくては、と決意を新たにした。
事業便り
第45回 韓中日の共通副教材編纂委員会 国際会議             
2018年1月20日から21日までの二日間、第45回 韓中日の共通副教材編纂委員会 国
際会議が北京で開催されました。2005年[未来を開く歴史]、2010年[韓中日が共同執筆した東アジア近現代史]などを出版した共通副教材編纂委員会は、現在2020年の出版を目標に3段階目の作業に勤しんでいます。韓中日の共通副教材編纂委員会は、2002年から、日本の歴史を歪曲した教科書に因って成長する青少年に、東アジアの平和と共存を教えるために、それに代わる教科書を作成中しています。私費でこれらの会議に参加してくださる日本の先生方を応援してください。
歴史連帯 平和の旅
2017年11月から2018年4月まで開催している歴史連帯平和の旅の中で4番目の旅は2月3日に行われます。
1、 テーマ;甲申政変と3・1運動が繰り広げられた北村(プクチョン)
2、 日時:2018年2月3日(土) 10時
3、 集合地:ケードン(桂洞) 現代社屋 前
4、 講師:ウンギョンテ 歴史連帯平和の旅委員長
5、 その他:昼食代は各自負担をお願いします。

日本語訳;岡野克子

아시아평화와역사교육연대

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