“最高のクソアニメ”『ポプテピピック』を生み出す無理をさせない職場環境
(C)大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード
“最高のクソアニメ”と称賛されている『ポプテピピック』。30分間の前後半でほぼ同じ内容を放送するほか、主人公の声を毎回違う声優が担当するなど、全国のアニメファンに衝撃を与えた。先月23日に最終回を迎えたが、終了直後からネット上には「来週からどうやって生きていけばいい」「日本中でポプテピロスが起こるな」「シンドイ辛い」という声があがっている。そんなポプテピピックを制作している会社の働き方が、今注目を集めている。
アニメ制作会社・神風動画の水崎淳平(崎は正式にはたつさき)代表取締役は、ポプテピピックが最終回を迎えたことに「僕は終わってくれて安心している。パロった(パロディーした)メーカーさんから訴状が来ていなくて安心」と話す。神風動画は1998年の創業以来、アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」のオープニングやゲーム「白猫プロジェクト」のPVなどを制作。社訓を「妥協は死」とし、もし妥協したら死ぬまで背負わなければならないという覚悟でアニメを作っているという。
毎年、人気作が公開される日本のアニメ市場規模は2兆円。世界に誇る日本アニメだが、その制作現場はかなりブラックな環境だと言われている。日本のアニメーターの平均年収は333万円で、1日の平均労働時間は11時間、平均休日は月に4日。中には、月100時間を超える残業で身体を壊す人もいるという。
そんな中、「徹夜・残業をしなくてもいいように仕事を組み立てている」と水崎さん。アニメ会社は徹夜・残業が当たり前のイメージだが、そこに疑問を持った水崎さんが会社を設立。スタッフにも徹夜・残業反対に賛同する人が多いという。それでも集中していると残業しがちになるため、19時になると終業を知らせる「蛍の光」を放送、19時過ぎにはほとんどの人が退社する。朝は10時出勤だそうだ。
他にも、労働環境を守るために気をつけていることとして水崎さんは「『直して!直して!直して!』と言いそうな方と仕事しない。理不尽なクライアントさんと付き合ってスタッフを巻き込むのは嫌なので、受注時に嗅覚を働かせる」と明かした。
クライアントからの理不尽な直しや訂正を鵜呑みにしてしまえば、スタッフの過重労働につながる。そこで、直しの回数などを契約書に盛り込むことで、スケジュール通りの進行にしているという。水崎さんは「(趣味など)やりたいことを全部我慢してまで、机に向かっていると大した絵にならない。活力だと思ってみんなに充実した私生活を送ってもらうようにしている」と考えを話した。
ポプテピピックは、社員を守りながら面白いアニメを作る、そんな会社から生まれていた。
(AbemaTV/『けやき坂アベニュー』より)
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