Would it help?
素晴らしかった。
前半は、
保険会社の代理人を務めていて遣り手ではあるがあまり人間味を感じさせないような弁護士ジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)が、
ソ連のスパイ、ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受けざるを得なくなり、
「法の正義」を貫く中で、「ソ連のスパイ」への憎しみやソ連からの核兵器による恐怖に支配される情緒的な人々と闘いつつ、
次第にアベルへの共感を深めていく物語。
――9.11後の状況も想い起こされる。
そして後半は、
国家の利益のために弄ばれる人間の物語。
偵察機U-2を撃墜されてソ連に確保されているアメリカの飛行士パワーズを取り戻したい米国政府にアベルとの交換を委嘱され、ドノバンはベルリンへ。
たまたまベルリンの東西分断強化の混乱の際に東独に囚われたアメリカの大学院生プライヤーも含め2対1の交換をドノバンは望むが、ソ連と東独はもちろん1対1の交換だと言い、米国政府もプライヤーは気にかけない。
あくまで非公式・水面下の交渉なので、ソ連とも東独とも面と向かうのはドノバン1人。
さてどうする。
ドノバンはソ連と東独の矛盾を突いて……(以下略)
たとえ交換に成功しても、
彼らのその後の人生がどうなるかは分からないという重苦しさは拭えない。
だが、
だからといって不安になったり恐怖を覚えたりしたって、
Would it help?
それが役に立つ?
――繰り返される、アベルの台詞。
名言。
付和雷同したって、
何の役にも立たない。
そして、アベルを演じたマーク・ライランスの演技が素晴らしい。
その他にも、いい台詞がたくさんあった。
円盤化されたら、もう一度じっくり観たい。