3又吉直樹のヘウレーカ![新]「なぜ植物はスキマに生えるのか?」[解][字][再] 2018.04.06
あっまったんだ!また今日も憂鬱そうに歩いて…。
いやいや今年も春がやって来たのにね〜。
どうも。
吉村崇です。
まったんこと又吉直樹と僕とは知り合ってもう20年近くになるんですがいまだに何考えてるかわからない時があるんですよ…。
ん?どうした?ん〜?あ〜雑草が気になる!?
(又吉)ん〜。
こっからね。
何でしょうねこれ。
大変そうですけどね。
嫌われてるんちゃいますかね。
他の植物に。
まあ雨降るから水はあるにせよ。
こっからこの下まで多分根張ってないですもんね。
こんな小さい植物やと。
ここもや。
ん〜。
なるほど〜。
又吉君は都会の「スキマ」に生える植物が気になり始めたんですね。
確かに…。
何でわざわざこんなところに生えてるんだろう。
(テーマ音楽)
(谷)又吉さんこんにちは。
ああこんにちは。
こんにちは。
どうしたんですか?あやしいですよ。
あやしかったですか。
あやしいです。
はい。
いや先生違うんですよ。
こんなとこから生えてる植物があるんですよ。
ああそうですね。
すごい窮屈そうじゃないですか?これ。
そう見えますかね。
ハッピーだと思いますよ。
そうですか?はい。
天国には見えないですよ。
天国なんです。
これからそれを見ていただくときっと植物を見る目が変わってひいては人間についての見方も変わっちゃうかもしれませんよ。
へぇ〜!そうですか。
はい。
一体こんなスキマが天国だってどういうこと?謎を解いてくれるのは谷裕一先生。
専門は葉っぱの発生するメカニズム。
エッセーも書いている。
先生によれば都会のスキマにはものすごい種類の植物が生えているらしい。
天気がいいのでこれからじゃあスキマの植物をこの街なかでどれだけいるか探してみましょうか。
そうですね。
はい。
おっあそこはどうですか?あ〜!ありますね。
これなんていう花ですか?これ「ホトケノザ」です。
ホトケノザ。
ここの葉っぱがこう輪っか状になっていてその上に花がちょんちょんちょんちょんって置かれてるみたいに見えるのでこれを仏に見立てて仏の座の上に仏さまがこう並んでるというわけですね。
こうしっかりスキマに。
ああそう言われてみるとそんなふうに見えてきますね。
はい。
(シャッター音)確かに。
ああなるほど。
その足元にも。
ああありますね。
はい。
これはなんでしょう?「ペンペングサ」ですね。
いわゆる。
ペンペングサか。
これが。
ナズナですね。
実の形が三味線のばちみたいな三角形をしてるのでこの実を見れば絶対間違えませんね。
ペンペングサの「ペンペン」っていうのはその三味線の?そうですそうです。
花の茎を指で回すと実同士がぶつかってペンペンペンペンって音が。
ああ。
音するんですか?実際に。
はい。
そうやって遊ぶのに昔使ったので。
ペンペングサの鳴らし方。
まずハート形の実を切れないように下に引っ張る。
そしてくるくる回すと…。
ほら聞こえる?
(ペンペングサの音)ここには花が咲いてませんが「オランダミミナグサ」。
白い花が咲きます。
日本名もあるんですか?日本にミミナグサっていうのがもともといたんですよ。
はい。
明治時代じゃないですかね。
入ってきたよく似た種類としてこれが出てきてオランダから来たっていうのでオランダミミナグサ。
それからここちっちゃいのがいますけどこれまだ花が咲きませんけど「ツメクサ」がスキマに。
ツメクサはどういう意味でしょうね。
ツメクサはあのいろんな説もありますけども葉っぱがすごく細くてちょっと爪を切ったときの爪の端っこのように見えるとかあるいはたくさん集めて詰め物にしたとか。
これは?これはですね花がないのでちょっと微妙ですが「アレチノギク」かなぁ。
花とかがないと…。
この仲間はね葉っぱがよく似てるので見慣れてこないとわからないですね。
このちっちゃいスキマだけで5種類ありました。
5種類か。
はい。
もうちょっと歩けばこっち側も。
あっそこに花が。
これは何でしょう?これ「タネツケバナ」ですね。
タネツケバナ。
はい。
実がもう少しするとなるんですけどあれはさっきのナズナは三角形だったですけどこれは棒みたいな実で実の形が違います。
ああ。
であっあの先にもう一種類…。
ってかさっきのやつですね。
これさっきのオランダミミナグサの花です。
あ〜!印象違いますねまた。
はい。
さっきのはまだ冬の状態のステージだったんですけど花が咲くときはこうやってのびのびと茎が伸びてきますね。
いや〜こんないっぱいあるんですね。
あります。
なんかこういうお花に名前が付いてるってことは昔なんかただ生えてただけじゃなくて何かに使ったりしてたんですかね?いや日本人はね割と博物学の趣味が早くから発達したので役に立とうと立つまいととにかくあるものには名前を付けていこうというのではやばやと名前が付いてるんです。
なるほど。
はい。
へぇ〜!この一角だけでもう6種類。
今まで全く気付かなかったなぁ。
あっそこも。
これほら見てみるとなんかに似てません?え〜ヘリコプター。
ヘリコプターですか?もうちょっと生き物っぽいもので。
タコ。
タコですか。
花の形が特徴的でチョウチョみたいな花の形をしている仲間があるんですね。
これねカラスノエンドウです。
カラスノエンドウは聞いたことあるな。
カラスノエンドウ。
ホントのエンドウはこれを3倍か4倍ぐらいおっきくしたような形ですけどそのままキューってちっちゃくしたようなものなのでカラスの食べるエンドウだったらこんなもんでもいいかなっていう。
カラス結構なんかよく食べるイメージですけどね。
はい。
植物だとカラスの何とかとかタヌキの何とかとかスズメの何とかっていう言い方で人間がふだん見てるものとちょっと違ってちょっとちっちゃいとかいう時にはそういう言い方を。
スズメはね小さい単位を表すのにふさわしいと思いますけどね。
はい。
これに似て更にちっちゃいのがいてそれはスズメノエンドウって言うんです。
ハハハッ。
この白は何でしょう?この白はさっきから出てきたもののひとつですね。
これ一面にいますね。
ああ〜。
「た」で始まりますね。
「た」?うん。
何でしょう?その次何ですか?「ね」ですね…。
もう3分の1ぐらい言っちゃいましたよ。
全然覚えてない。
タネツ…その次何でしたっけ?「け」です。
もう3分の2ぐらい。
そうですそうです。
タネツケバナはですねもともとこの田んぼとかにもよく生えるんですね。
これが咲きだしたらもう気温が緩んできたっていう証拠なので農家の方が種もみの準備をする目安になるっていうのでタネツケバナっていう言い方をします。
元気に育ってますしスキマってやっぱりあれなんですよ。
ここに当たる光はもう自分たちのひとり占め。
逆に言うと森の中だったりしたらもう生存競争でそんなのびのびとなんかしてられないわけですよ。
隣に植物がやって来て自分の上に影を作っちゃうかもしれない。
競争しなくちゃいけない。
植物はやっぱり光合成をして自分の栄養を作ってますから光をひとり占めできるというのは何よりもメリットなわけですね。
なるほどね。
植物は「光合成」が命。
たくさんの植物が生い茂る森では激しく光を奪いあっている。
背の低い植物たちは熾烈な競争を勝ち抜いてやっと生き延びているんだ。
一方都会のスキマは…競争相手がいない。
のんびり光をひとり占めできる。
おっそことか。
これは…。
これタンポポじゃないですか?タンポポです。
また変なところに…。
これねすごいいい場所に生えてるんですよ。
なぜですか?ちょっと上見るとこれがあるでしょ?はいはい。
これエアコンの水が出てくるとこですよね。
ああ水が出てくるとこ。
そうそう。
だからスキマの上に光も当たるし時々水がちゃんと出てくるというすごいいい場所。
なるほど。
あっ反対側にも!ここは雨どいの水か…。
光合成するためには水が必要ですよね。
はい。
水はコンクリートとかアスファルトで固められてると実は表面こうやって覆ってくれてるから地下の水は乾かないで十分保たれているのでむしろあんまり乾かなくて済むんですよね。
しかもスキマができてるともし……アスファルトも染みこまないので…だからその意味でも光も十分だし水もいつでも自分の所に来るしっていうのですごくいい環境なんですね。
厚いコンクリートの下は土が乾きにくい。
雨が降ってきたら…スキマから水がじゃぶじゃぶ流れ込んでくる。
おっそこはどうですか?これこれ。
これですか?うん。
まさにスキマですねこれ。
フフッ。
これは黄色い花が咲いててクローバーっぽいですけどね。
よくねクローバーと間違えられるんですけどこれカタバミっていうやつです。
カタバミ?はい。
それ日本語ですか?日本語です。
そんな場所だと引っこ抜かれますよ!これもスキマなんですけど根っこはね地下のほうにすごくしっかり張ってるんですよ。
もし人がこれ玄関の入り口ですから邪魔って言って引っこ抜いても根っこは中に残るので。
ああもう残っちゃっててまた生えてくるっていう。
そうです。
なるほどな。
まったん試しに抜いてみる?こういうのは抜いていいもんなんですかね?これちょっとかわいそうですよね。
こっちやったらいいんじゃないですか?これ。
これでも誰か立ちションとかしてるかもしれない。
ハハハッ。
そうそう。
でもねそれ電柱の横っていいんですよ。
犬の散歩させるとこういうとこにおしっこするでしょ?そうすると肥料じゃないですか。
水でもありますよね。
だからスキマなんだけど加えて肥料も来るっていうので。
先生引っこ抜きたくなくなりましたよ。
絶対かかってますよここは。
ここは絶対かかってるわ嫌や。
だから元気に育ってるのはそういうせいかもしれませんね。
これ抜いてみます?抜いてみましょうか。
ここならあんまりかかってないかもしれません。
考え出すとキリ無いですもんね。
キリ無いです。
抜いてみます。
抜いてみますか。
根っこから抜くことを意識して…。
うまく抜こうとしないと上だけペンって取れます。
おっうまいですね。
あっでも。
切れたか〜。
途中で切れました。
引っこ抜こうとしても根っこが残るってわけね。
あとスキマがあれですねできやすい場所としてはあのやっぱりコンクリートだけじゃなくてアスファルトでできてるところでしかもあんまり人が気にしないとこ。
ふんふん。
これ駐車場とかいいんですよ。
ああ〜。
あそこほら花が…。
咲いてますね。
咲いてます咲いてます。
ああこれはホトケノザですね。
そうです。
すばらしい。
他にもありますね。
あ〜。
これあれじゃないですか。
最初の文字なんでしたっけ?「た」です…。
たねん。
タネまでは合ってます。
タネ…ああタネツケバナですね。
そうですそうです。
すばらしい。
すごいとこに生えてますね?ねぇ。
アスファルトの。
これだけ今こう繁茂してくると多分元にあったひび割れだけをそのまま使ってるというよりは…大きくしていってる?そうですそうです。
人間だとこれひび割れさせてくださいって言っても道具がなかったら。
無理ですよね。
無理ですよね。
ええ!?じゃあこれほっといたらどんどん広がっていくんですかね。
広がっていくんじゃないですかね。
植物ってすごいじわじわじわとした力をかけるの得意なんですよ。
僕ら成長してるのが目で見えないくらいゆっくりじゃないですか。
その分じわじわとした力をかけられるんだけどそういう力で場所を広げていくとただでさえよかった場所がどんどんよくなっていくという。
植物にはゆっくりとアスファルトを押し広げる力があるのか…。
それで居心地いい場所を確保してたんだな。
どうですか。
やっぱりいい環境だなってだんだん羨ましくなってきましたか?だんだんわかってきましたね。
昔あのど根性大根ってのがはやったの覚えてますかね?カイワレ大根みたいなやつですか?違います。
こういったねスキマに大根が生えてるのを見つけた人がいてそれがなぜか一世を風靡してみんなが日本国民じゅうが。
ありましたね。
応援したという時が。
何か覚えていますそれ。
あったよな。
抜いちゃダメだみたいなね。
そうそうそう。
でもこれね今ので思うと厳しい環境でけなげに生きてるんじゃなくていい場所見つけてひとり占めしてハッピーな状態なんですね。
なるほど。
ここしかないから必死だったんじゃなくてここが気に入ってたのか。
僕らも勝手にみんなと一緒におったほうが生活環境いいと思ってますけど。
実はあんまり人と関わらずに生きていける場所で御飯食べれたらそっちのほうが人間にとってもいいのかもしれないですね。
うん。
誤解してるのかもしれないですね。
あの大根。
ど根性大根を見るような目で自分たちの事も見てしまってる。
そうかもしれませんよ。
どうですか?ご自身の芸人としての人生。
なんやろう。
そういう花壇みたいなところで。
花壇言うとねみんな勢ぞろいしなくちゃいけないですからね。
そういう感じでは確かにないかもしれないですね。
うん。
もっとちゃんと咲けみたいな怒られ方よくしてきました。
確かにまったんは昔っからスキマ選んできたもんな。
おっニューフェースがいますね。
どれですか?これわかりますか?これ?これこれ。
あ〜。
よく見るような気もするし。
そうです。
よくあるやつなんですね。
オオバコです。
オオバコ?知れば知るほど変なことがあるんですよ。
へぇ〜!この植物。
このあとね実はオオバコの新進気鋭の研究者を呼んでいるので。
オオバコの研究者がいるんですか?はい。
その人をご紹介したいと思うのでそっちに行きましょうか。
はい。
知れば知るほど変なことって?このオオバコに一体どんな謎が!?ちょっとホッと一息つきましたね。
そうですね。
じゃあ落ち着いたところであのさっきのオオバコの新進気鋭の研究者をここに呼びたいと思います。
お願いします。
じゃあ来ていただきましょう。
(山田)又吉さんこんにちは。
こんにちは。
あれなんかすごい若者が。
フフフッ。
あれ?何歳ですか?14歳です。
あっそうですよね。
てっきり僕年配の方が来ると思ってたので。
新進気鋭ですから。
すごい若く見えると思ったけど。
よかった。
びっくりした。
すごい人来たと思って。
山田駿佑君といいます。
へぇ〜!よろしくお願いします。
山田駿佑です。
お願いします。
山田君は小学校4年生のある日家の駐車場にたくさんのオオバコが生えているのを発見。
これをきっかけに近所に生えるオオバコに興味を持ち1年かけてその生態を研究。
見事全国の小学生を対象にした自由研究の大会で最優秀賞を受賞した。
このタイトルを見てください。
へぇ〜!何にも舗装してない道の真ん中なんです。
舗装してない道の真ん中に生えている?はい。
でもスキマなんですよ。
それもスキマになるんですか?はい。
まずこの2枚の写真を見てください。
はい。
このように舗装されていない道なんですね。
僕の周りにある道は。
でその道の真ん中にオオバコが生えていたんですけど。
なるほど。
このような45×60cmの枠の中に真ん中右はし左はしで分けてその枠の中にどれぐらいの割合でオオバコが生えているのかパーセントでしました。
はいはい。
でそれがその結果なんですけど。
はい。
実際に真ん中がやはりオオバコはたくさん生えていましたが端っこになればなるほどオオバコは少なかったんです。
へぇ〜!又吉さん道歩くときどこ歩きます?まあ反対側から来る人も来ますからね。
比較的真ん中めやとは思いますけど。
割と人がよく通るところにいるんですよ。
ここって他の植物が入りたくないような場所っていう意味ではやっぱりスキマじゃないですか。
なるほど。
そういう意味で言うと真ん中もスキマっていう考え方ができると。
そうなんです。
もうひとつの植物の示すスキマ戦略っていう事ですね。
でもこういうとこに生えるためにはやっぱり踏まれても大丈夫っていう能力を持ってないとライバルがいないだけじゃ生きていけなくてその踏みつけの強さっていうのも彼調べてるんですよ。
調べたんですか?調べました。
まだこの衝撃になれてないんですけど。
ハハハハッ。
少年の研究者っていう。
じゃあまずこの写真を見てください。
はいはい。
この白いのわかりますか?これはあれですか?カーリングとかで使う。
違います?何だろうこれ。
漬物石です。
漬物石。
へぇ〜!漬物石でじゃあ植物をこう押していって調べたんですか?はい。
他の植物と比較して調べました。
まずこのリュウノヒゲというのは背が低い。
オオバコと同じように背が低い。
それと比較してもうひとつこのノースポールっていうのはきれいな白い花を咲かせる植物なんですけどそれは背が高いんです。
はいはい。
10週間この漬物石でガンガンガンガン。
毎日?毎日。
はい。
このグラフのような結果になりました。
おお!?踏みつけられてもオオバコは元気だったってことですね?オオバコが圧倒的に元気でした。
10週間後にはもうノースポールとリュウノヒゲ両方とも枯れてしまったんですね。
もう9週目ぐらいからノースポールを押すの心痛かったでしょ?もう何もなかったですね。
跡形もなかったですね。
へぇ〜!それでもオオバコは…。
増えていく感じでした。
へぇ〜!その状況でも土から養分をもらって広がっていくぐらいの勢いがありました。
なるほど。
知らなかったな。
そんな強い…。
強さを持ってるんですよ。
へぇ〜!踏まれても平気で生えているオオバコ。
実は葉っぱの仕組みに強さのヒミツがある。
試しに葉っぱを引きちぎってみるとスジのようなものが切れずに残る。
葉脈だ。
これがその断面。
水や養分の通り道のまわりに厚い繊維質の外壁がある。
なるほど。
そういう理由で道の真ん中にオオバコが生えてると。
そうです。
でもそういう所に生えるためにはどっかから来なくちゃいけない訳ですけどもオオバコにはそのどっかからやって来るための戦略もあってそれが種が変わってるんですよ。
まずこの写真を見てください。
これが種ですか?これがオオバコの種なんですね。
でこれは雨の日に見つけたオオバコなんですけどオオバコの種水にぬれるとネバネバするんです。
なぜネバネバすると思いますか?え〜と割れにくくなる。
弾力性があるから。
ああなるほど。
なるほど。
もう一声。
もう一声?え〜と〜ああ。
ひっつきやすくなる。
そうです。
そうですね。
そうです。
はいはい。
このようにこれが靴の裏なんですけどネバネバするとやっぱり雨の日とか通ると靴の裏とか動物やったら足の裏とかにこれで種が付くんですね。
それで人間とか動物が歩くことによってやっぱそれが落ちるじゃないですか。
そうすると子孫が遠くにできるってことがわかりました。
また新しい土地で。
そうです。
どこまで広がることができるのかを調べたんですけどこのように靴の裏に種をひっつけて一歩一歩手で歩いてたんですけど何歩歩いてその種が地面に落ちるのかを調べました。
ええ!?すごい大変な実験を。
最後の1,500歩まで種は落ち続けたんです。
へぇ〜!僕が小4だったときの足の歩幅が70cmだとすると0.7m×1,500歩で1km先1,000m先までオオバコはネバネバによって種を遠くまで広げる事ができる。
へぇ〜!ということがわかりました。
これは植物は自分の周りに落としてっていうよりは遠くへ持っていきたいっていう気持ちのほうが強いんですか?はい。
というのは親株の周りに子株が生えると既におっきい親株と芽が出たばっかりの子株の間で競争しなくちゃいけないじゃないですか。
親の近くにいるのは不利なので親から遠いところで芽生えたほうがいいんですね。
なるほど。
もうひとつは親がそこで長年育ったってことはそれを食べる虫も狙いに来るわけですよ。
危ない。
それから病気も長年育ってると持ってるかもしれない。
そういう意味でも子供はまだかよわい子供は親の近くにいないほうがいいんですよ。
へぇ〜!コンビニの新店舗出すときはちょっと離れてるほうが。
はい。
競争しちゃってもねぇ。
ムダな競争するのは生き物っていうのは一番よくないのでできる限り競争しないで済むっていうのがいいわけですね。
なるほど。
山田君はこのオオバコの研究を調べていくうちにどうでした?オオバコに対しての気持ちは?もう尊敬ですね。
ハハハッ。
僕背低いんですよ。
学校でも背が低くてやっぱり。
オオバコも背が低くてもしっかり土台がしっかりしてるんで他の人がいない所でも勝てるっていうのはやっぱ自信。
自信っていうかそういうのにも勇気をもらいました。
踏まれても大丈夫やったり踏まれることによって自分の印をつけていくっていうのすごいたくましいですよね。
へぇ〜!山田君ありがとうございました。
お疲れさま。
ありがとうございました。
面白かったですね。
山田君が帰っていきますね。
帰りますね。
ハハッ。
爽やかやなぁ。
フフッ。
「なるほど」。
「なるほど」。
「なるほど」。
「なるほど」。
又吉さんさっきのでオオバコが人間の生活の中にうまくねぇすり抜けて入ってきてうま〜く利用している。
そうですね。
でも入り場所を間違えるとねとんでもない事が起きるんです。
入り場所?うん。
これを見ていただくといいかな。
江戸時代の「本草図譜」っていうもう2,000種以上の植物について日本のものを紹介した記録なんですけども。
この中にオオバコのページがあるんですね。
はい。
ここに普通のオオバコの絵があるんですけどもその下になんか変なのが書いてあるんですよ。
「一種」って書いてあって。
こうしゅうですか?これは。
江州三井寺っていうお寺があるんですね。
今の滋賀県ですね。
そこのオオバコだって書いてあるんですけども。
小さいですね。
ええ。
ここに注意書きが書いてあって苗甚だ小にして葉は小指の大きさにて穂は短小なりって書いてあるんです。
ほうほうほう。
三井寺に参詣に行くとなんかちっこいのが。
小さいと。
というのが江戸時代から知られてるんですね。
え〜?なんでやろう。
謎でしょ?謎ですね。
実は日本各地の神社仏閣で小さいオオバコが発見されている。
一体なぜ?ヒントとしてはですねちょっと変わったところをまず見ていただきましょうか。
ビデオがあるんです。
はい。
仙台の沖合にこういう島があるんですね。
金華山。
島の名前があるんですけどもここにちっこいオオバコがあるんです。
一円玉って直径2cmしかないので葉っぱホントにちっこいんですね。
ここには神域になっているのでこういう神事も執り行われているというような由緒ある場所でもあるわけなんですけれども。
ここにね…鹿。
はい。
これは本州からまつるために移植した鹿らしいんですけど今すごい数いるんですね。
増えてるんですね。
鹿は食欲旺盛ですから柔らかい葉っぱがあればこうやってもう徹底的に食べていくわけですね。
こういったところなんです。
この金華山っていうのは。
そこに行くとさっきのちっちゃいオオバコがいるんですよ。
ああ目立ちにくくしてるとか?そう。
鹿に見つけられないようにかめないように小さくなってると。
こんなちっこければわざわざ食べようと思わないじゃないですか。
食べようとしてもかなり難しいですね。
鼻がぶつかって。
そう。
鹿ってね鼻面を地面でこするの嫌いらしいんです。
ああ。
すごい怖い人形ですね。
ハハッ。
みたいですね。
もしかして三井寺でも同じような状況が?三井寺は鹿いないんですよ。
鹿がいない?はい。
ほお。
じゃあ鹿以外の何かが取るんでしょうね。
うん。
ああ〜いや違うか。
神主さんとか巫女さんとか?うん。
足引きずって歩くからですか?さすがにそこまで徹底して…。
まあでも神域になってるとこはやっぱり清らかな場所であるべきだということでよく玉砂利が敷いてあったりしてそんな所にこれがね生えてたら。
気になるから抜いちゃうから。
抜いちゃうでしょ?はい。
それがね長年やっていくと鹿と同じことになるわけですね。
はい。
なので実はオオバコには神社仏閣型っていうのがありまして…へぇ〜!ずっと抜かれてきたから。
はい。
鹿が食べようが人間が摘もうが一緒なんですね。
一緒なんです。
オオバコは神社仏閣の神聖な境内で雑草として扱われてきた。
人間の目についたら最後次々に引っこ抜かれてしまう。
何世紀にもわたって草抜きにさらされるうちその環境に適応し小さいオオバコへと進化したのだ。
草むしりがオオバコの大きさを変えたってことか…。
その意味では日本人はちょっと植物には優しくない民族じゃないかな。
なるほど。
結構ここに生えてほしくないっていう植物には厳しく。
はい。
なんか畑とかでも育てたいものにいかへんから雑草を抜くんだっていうの小学校の時に授業で習いましたもんね。
はい。
雑草っていうのはあくまでも僕たち人間の視点からの話ですよね。
本人たちは別に雑草と思ってない。
もちろんそうですね。
…わけでだからオオバコも自分たちが雑草っていう意識があったらもうじゃあここ生えても摘まれるから生えんとこっていうそういう遠慮はない訳ですもんね。
何とかして生えようっていう。
日本人はそういう感じでたくさんの植物に囲まれている。
あまりにもあるものですからちょっと大事にしてないところがあるなっていうのは植物をやってると感じるところで季語ってありますけども…もうあの日本の真面目さの裏返しで一旦こういう季語はこの季節に使いましょうというのを決めると実物を見たことがなくてもああこれはこれねってもう知識として体系作っちゃうのでだんだん事実から離れてって。
あっ。
と言ってるところに歳時記が出てきました。
歳時記…。
季語は結構季節は大事にしますよね。
俳句は。
植物で作る場合もうああ今の季節だったらこれがあるんだと思ってそれを探しに行くみたいなところありますもんね。
オオバコあれ季節いつだと思います?春?春か初夏ぐらいが感覚的に合うかなと思うんですけどもオオバコの花っていうと初夏ぐらいが季語としてあてられてるんですけどオオバコだと中秋になってるんですね。
へぇ〜!という事でオオバコで一句いかがですか?オオバコで?俳句を?はい。
トイレ行ってこよ。
オオバコかぁ。
オオバコで一句。
お二人とも俳句のたしなみがあるようで。
おおまったん悩んでるね。
本気だよ。
やっつけました。
いけました?やっつけました。
オオバコやろ?オオバコがあって…。
あっ来たね。
これ。
できました。
え〜とこんなにしました。
「大葉子のねばりひそめて座し居たり」ということでパッと見たところどこがネバネバしてるとも思えない。
何食わぬ顔で座ってますけど。
はい。
という。
なるほど。
実はそういう仕組みを持ってるんだと。
はい。
先生らしい句ですね。
はい。
ありがとうございます。
はい。
僕はこうなりました。
「おおばこや敗戦処理の帰り道」。
おお。
あのオオバコのたくましさみたいな…がもしかしたら1日のいろんな憂鬱を抱えて歩いてる人となんか響くんじゃないかなと。
ああなるほど。
オオバコは何て言うんですかね。
ネガティブな気持ちじゃなくてそこが自分に適してるから生えてるんですけどものすごいみんなから歓迎されて繁栄してるようには見えないんですね。
自分なりにここでいいんだっていう感じが何となく人間に置き換えるとムチャクチャハッピーっていう感じではないというか。
敗戦処理の帰り道なんですけどもしかしたらオオバコを踏んでね。
うん。
また助けてるかもしれない。
助けてるかもしれないっていう。
単に負けてるだけじゃないかもしれませんよっていう句になりました。
なるほど。
実は日本には北半球に暮らしてる植物の代表的なものは一とおりいるんですよ。
ああそうですか?はい。
日本人はその豊富さを十分に生かしてるかっていうとやっぱり邪魔という認識が結構強いので…。
はいはい。
そうじゃないところで勝手に暮らしてる植物が人の管理を離れた真の自然の姿を都市部にも持ち込んでくれているってことじゃないですかね。
そうですね。
スキマの植物があってこそのチョウチョだしチョウチョがいればそれをヒナにやって育てる小鳥もいるしという事でまあいろんな意味で人の管理を離れた自然の源っていうのは実はスキマにあるってことになりますね。
人間の目を逃れながらも自分の居場所を探してるから。
いろんなとこに植物があって。
まさかそこが居心地いいっていうふうにはあの思ってなかったんで。
はい。
そこがなんか都市部の植物の面白さが実はあるんじゃないかなっていう。
そうですね。
…なんですよね。
僕ら結構なんか名前にごまかされてるとこがあって。
鉢に入って人に育てられてたらよいものそれ以外は雑草っていう。
ああはいはい。
なんかカテゴリーとかであの…だけで判断する。
芸人のくせにとか芸人なのか作家なのかっていう愚問を問われ続けてるんですけど僕は。
この何年間か。
それただの人間やのにそれがどっちかわかったときに何の理解があるんだろうっていう。
無いのにな何もっていうふうに思ったりするんですけど。
オオバコで言うとこれは雑草なのか植物なのかただの…まあそれは植物は植物やろうどう考えてもっていう。
多分だからここの…その枠にはまるのかどうか人間どうしてもはめたがるのですけど実態としてはそういうとこからくびきから離れる個性を持ったものっていうのはたくさんいて。
好きなんですよ。
あのああいう間からスキマから突然生えてるものを見るとなぜか勝手に頑張ってるなと思ってしまうっていう。
そういう見え方がするんですよね。
うん。
まあそれはある意味自由な身を求めての頑張りはしてるんじゃないですかね。
ああそうですよね。
結局そこで生きてるっていうことですもんね。
頑張ってますよね。
そうですね。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
2018/04/06(金) 00:30〜01:15
NHKEテレ1大阪
又吉直樹のヘウレーカ![新]「なぜ植物はスキマに生えるのか?」[解][字][再]
身近にある「いわれてみればなぜ?」という小さな疑問を又吉直樹が解き明かし、奥に広がる深〜い世界を味わう教養バラエティー。第1回は「なぜ植物はスキマに生えるのか」
詳細情報
番組内容
アスファルトやコンクリートのスキマに生える小さな草花たち。なんでわざわざ窮屈そうなところに生えるのか? 植物学者の塚谷裕一さんは、都会に生きる植物にとってスキマはパラダイスだという。ほかの草が新規参入しづらいため、スキマの植物は日光を独占できる。またアスファルトの下の土は湿っているので水分補給も容易。かつてアルキメデスが浮力の原理を見つけた時のように又吉もヘウレーカ!(わかった)と叫ぶのか!?
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】東京大学大学院教授…塚谷裕一,【語り】吉村崇,【ゲスト】山田駿佑
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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