大分在住の廣津留真理さんの娘のすみれさんは、公立高校から、塾通いも海外留学経験もないままにハーバード大学に現役合格。現在はジュリアード音楽院で学びながらバイオリニストとして活動している。
なんとその英語力は、100%日本の家庭で、自学で身につけたのだという。
「これからのグローバル時代を力強く生き抜く子どもを育てられるのは、学校でも塾でもなく、お母さんとお父さんが主役となる家庭教育です」廣津留さんは強く語る。
廣津留さんはすみれさんとの家庭学習をベースにした独自の「ひろつるメソッド」をまとめ、家庭学習を助けるための英語教室を経営している。また、地元で開催して6年を迎えるサマースクール「Summer in JAPAN」には、全世界十数ヵ国から子供たちが集い、2014年には経済産業省の「キャリア教育アワード」を受賞している。
前回の記事では、家庭でしか身につけられないグローバル時代の必須条件として、最新著書『成功する家庭教育 最強の教科書』から「5つの力」をご紹介した。その①自己肯定感②英語力③グリット④コミュニケーション力⑤マルチタスク力のうち、今回は、家庭での「英語力」の伸ばし方について、廣津留さんに語っていただこう。
娘が公立高校から留学経験なしにハーバード生に、と言うと「相当な教育ママだったのでは」と思われるようです。でも事実はむしろ逆かもしれません。私が娘との家庭学習を楽しんでいたのは、彼女が10歳のときまで。あとは、娘の学習にいっさい口を出しませんでした。
塾にも18年間まったく行かせなかったので、単語から英作文、スピーキングに至るまでの全英語力は、タイムマネジメントとモチベーション術を用いて、娘が独学で身に付けたものです。
ハーバード受験を決めたのも娘の意志。受験のきっかけは、ハーバード大のキャンパス見学でした。高校2年生の時、旅費・宿泊費など100%の奨学金を得て、娘はバイオリン演奏の全米ツアーに出かけました。カーネギーホールやニューヨーク大学などで演奏会を行い、その帰りにハーバード大学を何の気なしに訪れました。そこで、その自由闊達な雰囲気に娘はすっかり魅了されてしまったようなのです。
インターネットで受験方法を調べ、なんと高2の3学期からのわずか10ヵ月で、これまで日本語で学んだ数学・理科・社会の各科目を英語にすべて置き換えて学習を行い、自室のパソコンでハーバードのスカイプ面接を受けるまでになっていました。
ドア越しに、大声で笑いながら海の向こうのハーバードの先生とトークする娘の声が聞こえてきたとき、我が娘のことながら「なんて度胸があるんだろう!」と驚いたものです。信じられないかもしれませんが、娘はこの英語力を家庭での自学で磨いたのです。家庭教育の様々な要素が集結したゆえだと思います。