Hatena::ブログ(Diary)

こにしき(言葉、日本社会、教育) このページをアンテナに追加 RSSフィード

April 06, 2018

日本の小学校英語政策の効果を検証した論文が出ました(結果は否定的)Add Star

論文が出ました。


寺沢拓敬 (2018) 小学校英語に関する政策的エビデンス『関東甲信越英語教育学会』32号, pp. 57-70.


内容はこういう感じです。↓

リサーチクエスチョン
2000年代に小学校英語を経験した生徒は、経験していない生徒よりも発達が見られるか
サンプル
全国の中学校2年生。数千名。(ランダム抽出
目的変数
(I) 英語力、(II) 異文化理解への態度、(III) 英語学習への肯定的態度
説明変数
(i) 小学校英語の経験の有無、(ii) 小学校英語の経験時間。(加えて共変量を統制した)
結果
小学校英語経験には、微弱な有効しか見られない。


私のこの研究を目にして「この研究は否定的な結果を示したけど、肯定的な研究もあるよね。判断は難しいよね」というまとめ方をする人がいそうですが(実際、以前にいましたが)そういうことは是非やめていただきたいと思います。

たしかに、小学校英語の有効性に関する実証研究は非常に多数行われていて、その結果も「効果あり」から「効果なし」までバラバラです。しかし、その多様さをそのまま受容するのは、研究エビデンス文脈では間違いです。エビデンスを「みんな違ってみんないい」という金子みすゞモデルで理解してはいけません。「ダメなデザインのものはダメ、良いデザインのものは良い」という是々非々の態度で判断してください。

本文でも述べていますが、本研究が、外的妥当性・内的妥当性を重視し、だからこそ平均的なレベルでは日本人児童一般化できる点は正しく考慮していただきたいと思います。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/TerasawaT/20180406/1523008737