西村剛式・ヤフー株に続く「成長株」の見つけ方
成長株投資のやり方とは?ヤフーを例に解説
どうせ株を買うなら、勢い良く株価が上がっていく銘柄を買いたいですよね。私は、思います。あなたも、そう思いませんか? もしあなたが、私と同じ意見なら、「成長株投資」を学ぶことをお薦めします。成長株投資とは、「成長しそうな企業を早い段階で見つけて、投資する」方法です。成長しそうな株を事前に買い付け、それが期待通りに大きくなれば、大きな利益が期待できます。
でも、突然「成長株投資が良いよ」なんて言われても、「どうやって見つければ良いの?」「具体的な方法が知りたい!」と思う方が多いかと思います。
そこで今回は、成長株投資をやったことが無い方のために、「業績」「企業規模」「株価」に注目した成長株の見つけ方をご紹介します。
成長株を見つけるには、「過去大きな成長を遂げた実績がある企業」の特徴を調べることが近道です。そこで本記事では、20年あまりで日本を代表する企業に成長した「ヤフー」の例を使って考えてみることにしました。
成長株を見つける方法~業績・企業規模~
企業が成長するには、売上や利益といった「業績」が伴わなければなりません。新しい設備を買うにも、人を雇うにも、業績が悪ければ、それができないからです。裏を返すと、売上が縮小している企業や、赤字が続いている企業は、今後の業績拡大は望み薄だと思います。では、ヤフーの場合はどうだったのでしょうか。これまでの同社の業績が、どのように推移してきたのか確認してみましょう。
【創業時】1996年時点
売上高:63万円、営業利益:△5百万円
【IPO時】1997年時点
売上高:413百万円、営業利益:49百万円
【IPOから3年後】2000年時点
売上高:5695百万円、営業利益:2110百万円
ヤフーは創業時こそ赤字でしたが、翌年のIPO時点で黒字を達成、営業利益率は11.9%となっています。(※営業利益率=営業利益÷売上高)
また、売上高はIPOからわずか3年で13倍以上に拡大しました。これを年あたりに直すと、1年あたり230%ほど成長している計算です。全ての成長株がこのような成長を遂げるとは限りませんが、少なくともヤフー級のものとなると、これだけの業績拡大が確認できました。
よって、以上を踏まえると、「第二のヤフー」「第三のヤフー」を探したい場合、同社と似たような業績をたどっている会社を探すのが良いでしょう。たとえば、私であれば、以下の条件を満たした企業を探してみます。
(1) 創業後まもなく黒字化
(2) 営業利益率が10%以上
(3) 売上高成長率が200%以上
(4) 3年以上成長が続いているこの方法で銘柄を探すことで、ヤフーのように、成長性の高い銘柄を探すことができます。
ただし、ここで注意点があります。それは、「すでに大きくなってしまった会社は選ばない方が良い」ということです。成長株投資の秘訣は、「新しくて企業規模が小さい」ものを選ぶことです。なぜなら、小さな企業の方が、成長余地が大きいことが多いからです。
たとえば、トヨタやNTTドコモのように有名な企業は、ある程度成熟しています。万単位の従業員を抱えたマンモス級の企業であるため、これから企業規模を2倍に成長させるとなるとかなり難しいでしょう。一方、上場からまだ間がなく、従業員数が少なく時価総額も小さい会社であれば、まだまだ成長する余地があると言えます。
ヤフーの場合、IPO当時の1997年時点で、従業員数は28名、時価総額は160億円でした。それが、IPOから11年経過した2018年時点で、従業員数:11,716名、時価総額:2兆1225億円(2018年3月8日時点)となっています。
ヤフーが同じペースで成長していたとすると、IPOから3年後あたりの従業員数は100名、時価総額は600億円ほどでしょう。よって、それぐらいの時価総額までの銘柄だったら、まだまだ成長余地があると期待できます。
よって、まだまだ企業規模が小さく企業規模の面では、以下の条件を満たした企業が今後の業績拡大を期待できる成長株と言えるでしょう。
(5) 従業員数が数100名以内
(6) 上場してから3年以内
(7) 時価総額が600億円以下以上のように、「大きく成長している」「小さな企業」を探すことで、第二、第三のヤフーを見つけられるかもしれません。成長株を探す際は、確認してみると良いでしょう。
成長株を見つける方法~株価~
値上がり益を得たい場合は、業績だけでなく、株価にも注意を払う必要があります。しかし、成長株投資では、一般的に言われる「予想PERが20倍以下だと割安」「実績PBRが1倍以下だと割安」といった基準は当てはまりません。なぜなら、これは業績が安定している大企業のための考え方だからです。成長性が高ければ、多少、割高に見える水準でも問題ありません。企業が成長すれば、その分、見返りが得られるからです。では、ヤフーの場合はどうだったのでしょうか? IPO時点での株価を確認してみましょう。
【IPO時】1997年時点
公募価格:70万円、初値:200万円
公募時PER:59倍 初値時PER:168倍
※98年の1株当たり利益11895.56円を用いて算出
ヤフーの場合、PERはIPO時で既に約60~170倍です。一般的な水準から見れば、割高な水準です。しかし、このあと何倍にも企業が成長することを考えれば、まだまだ割安な水準でした。
よって、株価面では、最低限、高すぎる銘柄でなければ、問題ないと判断できるでしょう。具体的には、「予想PERが200倍以下」の銘柄あたりを、探してみると良いと思います。
(8) 予想PER:200倍以下
実際に探してみよう!
ここまでの話をまとめます。本記事では、ヤフーを例にとり、成長株に必要な条件を探してみました。その結果、成長株投資で重要な点として、以下の3点が考えられることが分かりました。・実績の確認:業績が急速に拡大している企業を探す ・将来性の確認:事業規模がまだ小さな企業を探す ・割安感の確認:不当に高い銘柄には手を出さないでは、以上の点を踏まえて、今の以上から「第二のヤフー」「第三のヤフー」を探してみましょう。前節でもお話ししたとおり、スクリーニングの条件としては、以下のものが良いと考えました。(1) 創業後まもなく黒字化
(2) 営業利益率が10%以上
(3) 売上高成長率が200%以上
(4) 3年以上成長が続いている
(5) 従業員数が100名以内
(6) 上場してから3年以内
(7) 時価総額が600億円以下
(8) 予想PER:200倍以下この条件から、「四季報オンライン」を使ってスクリーニングしてみました。すると…。残念ながら、2018年3月15日時点で、全てを満たす銘柄はありませんでした。やはり、ヤフー級の成長株は、簡単には見つからないということでしょう。
ちなみに、少し条件式を緩めてみたところ、「(3267)フィル・カンパニー」などが成長株として該当しました。このあたりには、注目しても良いのかもしれません。
(※上記の銘柄を推奨している訳ではありません。あくまでも銘柄探しの一例です)