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YouTuberを育成する学校が誕生! 現代っ子の習いごとの定番に?
ライター:社領 エミ
1990年兵庫県生まれ。Webを中心におもしろい記事を書こうと日々奮闘しているフリーのライター。女性が脱ぐとなぜ面白くならないのかいつも悩んでいる。
こんにちは!京都のフリーライターの社領エミです!
子どもってスマホが大好きですよね。
そんな子どもがよくスマホで見るのが……
そう!YouTuber!
近ごろ、若者を中心に大人気のYouTuber。私はYouTuberについてよく知らないのですが、先日すこし調べ物をしていたところ、こんな学校を発見してしまいました……。
その名も、
YouTuber Academy…!
なにそれ〜!?
YouTuberの学校!? 聞いたこともありません!
どんな学校なんでしょうか。もしかして……
大物Youtuberが、めちゃめちゃ稼げるYouTuberを育て上げる学校だったりして……!?
き、気になる〜! 何その学校!?
早速、話を聞きに行ってみたいと思います!
YouTuberアカデミーってどんな学校なの?
というわけで、YouTuber Academyを運営するFULMA株式会社の中條さんにお話をお伺いします!
「中條さん、今日はよろしくお願いします! 早速ですが、YouTuber Academyっていったい何なんですか……?」
「こんな感じの学校ってことですか〜!?」
「いえ! 多分、想像されているのとはだいぶ違うと思います!
YouTuber Academyは、YouTuberをやってみたい小学生のために開講された、日本初のYouTuber体験ワークショップができるスクールです。『稼げるYouTuberになるための学校』ではありません」
「あ、そうなんですか!? 稼ぐためじゃなくて、子ども向けのワークショップだったのか!」
「はい。実際の様子はこんな感じです。関東地方を中心に単発のワークショップを不定期で開講しておりまして、開校からこれまでの1年間で述べ650名以上のお子さまにご参加いただきました」
▲YouTuber Academyの様子。中心に集まっているのが参加者であるお子さんたちで、手前がその親御さんたちだそう
「また、教える側もYouTuberさんではなく、FULMA株式会社のメンバーである大学生5名が担当しています」
「なるほど……って、大学生5名? どういうことですか?」
「FULMA株式会社のメンバーは、代表含め5人全員が現役の大学生なんです。YouTuber Academyは、立ち上げから現在まで私たち5人の大学生が中心となって運営しております!」
「そうだったの〜!?」
なんと YouTuber Academyは、YouTuberをやってみたい小学生のため、大学生たちによって作られたスクールだったのです!
中條さん自身も現在は東京大学の経済学部に通っており、この春で大学四年生になるんだとか。 うわー! 超かしこい人だったー!
どんなことを教えているの?
「YouTuber Academyでは、子ども達にどんなことを教えているんですか?」
「メインは動画の制作・編集です。また同時に、表現力のワークショップや、ICTリテラシーについての講座も行っています」
動画の制作・編集
「こちらが事前に用意した企画をもとに、子どもたち自身で動画の制作を行っていただきます。機材や撮影スペースなど、YouTuberを体験するための環境はこちらで用意し、動画を作る方法やコツについてもレクチャーを行いますが、基本的にはお子さま主体での制作となります」
「なるほど。ということは、撮影も編集も子どもたち自身で行うわけですよね?」
「はい。撮影・編集共に、iPadを使って行っています」
「子どもがiPadで動画の編集か〜……すごい時代になったもんだなぁ。作った動画って、見せていただけたりしますか?」
「大丈夫ですよ。例えば、こちらの作品を見てみましょうか」
「うわーーーYouTuberっぽい! YouTuberっぽい! これ、全部小学生が作ったんですか!?」
「はい! この子は常連さんで慣れてるというのもあるんですが、編集が上手ですよね。演出なども全てお子さま自身が考えたんですよ」
「アイテムが突然出現するところとか、工夫が凝らされてるのがわかるなぁ!」
「ほかにも、こんな作品があります」
「こちらの動画は、お家で作ったお気に入りのレゴをレビューしてくれた動画です。紹介する内容も、お子さま自身で考えたんです」
「いかん、超癒される……これ、テロップも効果音もお子さんが入れたんですよね!」
「もちろんです。3時間程度のワークショップでは、動画を実際に公開するところまで行っています。通常は限定公開ですが、親御さまとお子さまの承諾がとれた場合は、こうしてYouTuber Academyのアカウントで公開したりもしています」
リアクションの練習
「人気のあるYouTuberさんはリアクションがとても上手ですよね。何かを伝える時にリアクションってとても大切だと思うんです。
というわけで、表現力のワークショップの一つとしてリアクションの練習を行ったりもします」
「リアクションの練習……!? えー! 私もやってみたいです!」
「では、実際に子ども達がやっているお題で練習してみましょうか。例えばこちら」
▲実際にワークショップで使用しているスライドです!
「表情だけの練習です。おばあちゃんが車を持ち上げていたら、どんな顔で驚きますか? せーの!」
「…………!!!」
「す、すごい……! 表情だけでとにかく驚いてるのが伝わってきます……! 100点ですよ!」
「やったー! 100点もらった!」
「こんな風に、表情・身振り・声の3つに分けて、段階的にリアクションを練習します。実際はこれを子ども達で一斉に行うんですが、とっても盛り上がるんですよ」
ICTリテラシー講座
「あとはやはりネットを使うということで、ICTリテラシーについての講座ですね。
現代人にとって、ネットは避けられないものです。そんなネットをうまく使い、自分の身を守るための基礎知識として、2点、必ず教えていることがあります」
●その1 発信した情報はずーっと残る!
「社領さん、世界で初めて映画が撮られたのって、いつだと思いますか?」
「えっ!? えーっと……100年くらい前!? すみません、わかりません!」
「近いですね! 正解は、1895年です。その動画、今もYouTubeで観られるってご存知ですか?」
「えー!? そうなんですか!?」
▲これが、世界初の実写商業映画です! 初めて見た〜!
「こうやって、『世界で初めての映画は今でもYouTubeで観られるよ』というお話から、動画は一生残るよということを子ども達に教えています。
その場を楽しんで動画を撮るのは素敵なことですが、今撮った動画は子ども達がおじいちゃん・おばあちゃんになっても残る可能性がある。なので、『あとで見返した時にも恥ずかしくない動画を作ろうね』ということは伝えさせていただいていますね」
「うわー! こ、これ、世の中の全員がもう一回自覚しといた方がいい事だ……! いま、『どうやったらウケるか』だけを短絡的に考えて撮影した動画が、事件になったりしていることって本当に多いですよね」
●その2 個人情報は言わないで!
「また、個人情報は言わないでおこう、といったことも教えています。公開したものは誰が見ているかわかりません。知り合いだけじゃなく、知らない人や遠くの人、もしかしたら怖い人が見ているかもしれないですから」
▲実際に使用しているスライド。子ども達に、人々の悪意を想像させる内容となっています
「ICTリテラシー講座では、この他にも著作権や肖像権などについても教えています」
「なるほど。この講座、YouTuberだけじゃなく、今後ネットで何をするにしてもかなり役立ちそうですね。こういったリテラシーの知識って、いま親御さん達も教え方に悩んでいるところだと思うし、すごく良いかも」
「また、YouTuberという切り口で授業を行うと、お子さま自身から興味を持って学んでくれるので良いですね。
ただこの講座、その時その時で子ども達の流行をキャッチしながら構成しているんですが、子ども達の流行って過ぎ去るのが早くて…… 。 最初は『PPAP』の動画を例として挙げていたんですが、すぐ『古い!』と言われてしまったので、常に試行錯誤しながらアップデートしています(笑)」
どうして「YouTuber」なのか
「しかし、どうして“YouTuber”を教えようと思われたんでしょうか? もともとスタッフの皆さんが、YouTuberを好きだったとか?」
「いえ、そういうわけではありません」
「もともと弊社は、『子どもたちの“やりたい!”をカタチに』というミッションのもと、小学生を対象とした陶芸体験や自然体験のワークショップを行っていたんです。
そうして子ども達と接していく中で気付いたのが、『YouTuberになりたい』という子ども達は多いのに、やれる環境がないということ。『子ども達がやりたがっているのに、やれる環境がない、その最たるものがYouTuber』だったんですよね。
それなら、私たちが安全に動画を作れる場所を提供したい! ということで、1年前にYouTuber Academyを開校しました。現在、弊社が運営しているのはこのサービスのみです」
「陶芸からYouTuberて……! しかし、YouTuberになりたい子ども達が多いと知ったとしても、そこで教室を作ろうと発想されたのがすごいですよね。正直いまの世の中って、YouTuberの方にそこまで良いイメージないじゃないですか。YouTuberという職業をナメてる人もいると思いますし」
「YouTuber Academyに来る子ども達でも、ある意味そういう子はいますよ。やっぱりYouTuberって、子ども達にとって『毎日好きなことをしている楽しそうな人』という印象が強いですから。
ただ、実際に授業を受けて来て作り手になってみて、『こんなにYouTuberが大変で難しいなんて、初めて知った』というご意見は多くいただきます」
「それ、めちゃめちゃ大事ですね! 何事も作ってみてわかる苦労ってありますもんね。制作の流れを知るだけでも、ものを見る目が随分変わるから」
「YouTuberって、不祥事を起こした時にテレビで大きく取り上げられがちなので、大人にとってはイメージが悪いというのもよくわかるんです。
ただ、YouTubeに動画を載せるとなると、企画・撮影・編集から自己ブランディングまで、すべて自分でやらなければならない。リテラシーについても知っておかなければならないことは山ほどあります。
そういったことを実践しつつ学べる場所を整えておけば、子どもたちの未来にとって良い経験を提供できるのではないか、と思っていますね」
なぜそこまで子ども達の「やりたいこと」を応援するのか
「すごく疑問なんですけど。どうしてそこまで、『子ども達のやりたいこと』を応援されてるんでしょうか」
「そうですね……。僕自身が子どものころ、やりたいことを何でもやらせてもらえたんですよね。僕が小学生の時、運動が好きすぎて、週5でバスケ、週2でサッカーをやっていたんですけど」
「毎日運動してたの!?」
「そうなんです(笑)」
▲なんじゃそりゃー!
「でも、それを『やめろ』と言われたことが一度もなかったんですよ。勉強についてもそうです。強制されず、制限されず、興味を持ったことをいくらでもやらせてくれた。
そうした経験が今、自分の中ですごく自信に繋がったなと思っているんですよね。『やりたい時にやりたい事ができた』、その経験が、こういう大学に行ってみたいとか、こういう勉強をしてみたいとか、その後のチャレンジにも響いてる気がしてて」
「確かに、何事も自由にできる環境があるっていいなぁ。人の意見を気にして、『これ出来るかな、止められるかな』って考えてる時間って本当にもったいない」
「なので、制作についても、企画がどうの、構成がどうのと口出しすることはなく、アドバイスだけに留めて、基本的に子ども達が作ったものはそのままにしています。どうすれば人にウケるかという『良さ』よりも、その子自身の『らしさ』を大切に作品作りをしていただいてますね。人間、やらされてやっている時より、やりたいと思ってやっている時の方がパフォーマンスが高いですし」
「東大生が言うとものすごい説得力だなぁ!」
「『やりたいことができた経験があったから今の自分がある』という経験がそれぞれ弊社のメンバーにはあって、今の子ども達にもしてもらいたいんですよ。
今は、やりたいけどできない、そのギャップが一番大きいのがYouTuberなのだと信じて、YouTuber Academyを運営してますね」
YouTuber Academyのこれから
「YouTuber Academyは、今後規模を拡大されたりだとか、そういう計画はありますか?」
「スケールを一気に大きくしたいという気持ちはあまりないですね。まずは、来てくださるお子さまや親御さまにきちんと価値を提供するのが大切かと思っています。
ただ、これまでは単発のワークショップだったのですが、お子さま達から『もっとやりたい!』とご好評いただいたため、継続スクールをスタートすることになりました」
「継続スクール!」
「はい。今年の春に、柏の葉・たまプラーザ・渋谷・池袋・市ヶ谷の5カ所で順次開講します。1年間という時間をかけて、もっと踏み込んだ内容の授業をする予定です。継続スクールの後半では、パソコンでの編集や、子ども達主体の企画で動画を制作するところまで実施していきます」
▲継続スクールの1年間のカリキュラムです。回を増すごとにアウトプットが増えている! めちゃめちゃ充実した内容だ
「本格的に動画制作&発信を学べるんだ。子どもたちの新しい習い事として定着しそうな感じがする……!
今後も、YouTuber Academyはずっと続けられるんですか? 中條さんは就活ナシ?」
「そうですね。僕自身はあと1年間学生ではありますが、卒業後も弊社で働き続ける予定です。
また、弊社自身は今後も『子どもたちの“やりたい!”をカタチに』というミッションのもとで動いていくつもりです。なので、お子さまや親御さんと密に接する中で『今の子ども達はこういう事をやりたいのかな』という気付きがあれば、違うサービスに舵をとっていく可能性は十分にあります。
生徒数を何名に、や、いくら収益を、などではなく、子どもたちの『これがやりたい!』という声に対して、みんなで形に出来るような会社になっていければ良いかなと思いますね」
「なんて良いミッション……! 中條さん、本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!」
YouTuberは、もっと世の中に受け入れられる
というわけで!
のでした〜!
いま、世間にとっての“YouTuber”はどんなイメージでしょうか。
面白い? 憧れ? お金持ち?
ちゃらんぽらん? それとも不真面目……?
私がこの取材で思い出したのは、「漫画だって、最初は世間に受け入れられていなかった」ということ。
頭が悪くなるから読むな、活字の本を読め、と頭ごなしに言われていた漫画。しかし、漫画を読んでいた世代が大人になるにつれ徐々に世の中に受け入れられはじめ、今ではれっきとした文化として解釈されており、マンガ学部のある大学さえ存在するほどです。
YouTuberもそんな風に、いよいよ世間から受け入れられる土壌が成立してきたのかもしれません。
しかしなんにせよ、子ども達が本気でやりたいことを邪魔する必要ないんじゃないか……!?
子どもがやりたい事なら出来るだけやらせたいし、危険な事やおかしな事なら、なぜやりたいのか、どうやったら正しく取り入れられるのか、どう知識を身につけさせるのか考えたい。私はそう思います。
私は、我が子のやりたい事をできるだけ尊重できる親でいるぞー!
子ども作る予定もないけど……!
はい。社領エミでした。
(おわり)
YouTuber Academyの公式サイトはこちら!
YouTuber Academyのサイトには、今後のカリキュラムやスケジュールの情報がたくさん。小学生のお子さまをお持ちの親御さん、ぜひご参加を検討してみてください!
ライター:社領 エミ
1990年兵庫県生まれ。Webを中心におもしろい記事を書こうと日々奮闘しているフリーのライター。女性が脱ぐとなぜ面白くならないのかいつも悩んでいる。
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コメント 8
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子供たちには、YouTubeで稼ぐのはとても難しい事を充分に教えて欲しいですね。
趣味の世界ならOK!
リアクション芸人ライター面白い!
社領さんの顔芸素晴らしいですね。
もっと見たいです♪
いい記事でした。
うちの子供もYouTuberになりたいと言っているので、入れてあげたいなぁ。
とっても、今的な取材、興味深く見ました。
子供たちの楽しいが、社会との繋がりも
YouTuber Academyを通して
学べるっていい事ですね。
子供たちも、歳の近い中条さんたちに
羨望の眼差しでしょうね。楽しそう!
社領さんの顔芸は一級品ですね(*´ω`*)
勉強しなくても、youtubeに動画をあげた子供は・・なのか?
社領さんの顔芸と記事の面白さにはいつも感心させられますが、それだけでなく写真およびその挿し込み方も絶妙ですね。
写真撮影およびブログ構成はマイネ王スタッフさんなのでしょうか?