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 米Qualcomm(クアルコム)は2018年3月29日、LTE-U、LAA(Licensed Assisted Access)に続く、免許が不要な周波数帯(アンライセンスバンド)や共用する周波数帯(シェアドバンド)を使った5G技術の概要解説を同社ブログに掲載した。

 免許不要な周波数帯を用いたLTE通信であるLTE-UやLAAは現在、米国をはじめ世界各国で利用可能となっている。Qualcommは7年以上前に、増え続ける無線データ通信需要に向け、通信容量を1000倍にする取り組み「1000x data challenge」を開始した。周波数拡張とスモールセル活用をターゲットに、利用可能な周波数帯を増やし、基地局を端末の近くに密に設置することで容量を増やしていく。こうしたアイデアから、LTE-U、LAAのコンセプトが生まれた。このLTE-U、LAAの他にも、免許不要周波数帯のみでLTEを運用するMulteFireがある。

免許不要周波数帯、共用周波数帯を使った技術の数々
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 しかし、これではまだ十分ではない。さらなるコネクティビティーを実現するためには、免許不要周波数帯や共用周波数帯を5Gで使えるようにする必要がある。

 最近3GPPは、免許不要帯や共用周波数帯で5G NRを利用するための調査に着手した。この実現には、現在の技術を進化させる方法と、まったく新しい革新的な手法を開発する方法の2通りがある。前者には、免許不要周波数帯、共用周波数をライセンス帯と組み合わせて使うLAAのような方式と、MulteFireのようなスタンドアロン方式があるが、これらの手法をQualcommではNR Unlicensed(NR-U)と呼んでいる。NR-Uの主な特徴は、免許不要帯を利用する既存のLTE-U、LAA、MulteFire、Wi-Fi(無線LAN)といった通信との共存、周波数の公平な共有が可能な点だ。ゆえにNR-Uは、既存の免許不要帯、新規免許不要帯、共用帯のどちらでも使える。

既存の技術の進化系であるNR-Uと新技術を使うNR-SS
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 3GPPでは、新規の免許不要帯や共用周波数帯をターゲットにした新しい周波数共有方法の研究も進んでいる。QualcommはこちらをNR Shared Spectrum(NR-SS)と呼んでいる。NR‑SSを使えば、制限の多いライセンス帯や新しいライセンス帯と免許不要帯や共有周波数帯とを組み合わせて、有線に近い5Gエクスペリエンスを提供することが可能になる。このNR-SS については、2018年のMWC(Mobile World Congress 2018)で、SDM(Spatial Domain Multiplexing)やCoMP(Coordinated Multi-Point、マルチセル協調送受信)といった最新周波数共有技術を使ったライブデモが披露されている。

MWC 2018におけるNR-SSデモの様子
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