上杉周作
ブロックチェーンは技術として酷ければ、未来像としても酷すぎる
3ヶ月前、英語圏でバズったとある仮想通貨の記事を連続ツイートで翻訳し、何万人もの方に読んでいただきました。
続編の翻訳
今朝、原文の著者・Kai Stinchcombe氏から「記事の続編を書いた」と連絡が来たので、許可を得て全文翻訳しました。
題名は “Blockchain is not only crappy technology but a bad vision for the future”。
日本語にすると 「ブロックチェーンは技術として酷ければ、未来像としても酷すぎる」になります。以下拙訳です。原文のリンクはこちら。
注意: わたくし訳者は、必ずしも、原文の著者の意見の全てに賛同しません。
ブロックチェーンは技術として酷ければ、未来像としても酷すぎる
ブロックチェーンは技術として酷ければ、未来像としても酷すぎる。ブロックチェーンがなかなか浸透しないのは、「信頼のおける第三者がいらない」ブロックチェーンによる仕組みよりも、信頼・規範・組織からなる既存の仕組みのほうが、根本的に優れているからだ。この事実は変わらない。ブロックチェーンがどんなに進歩しようと、進む先は間違った方角なのだ。
昨年12月、私は「ブロックチェーンは、実際の問題を解決するのには役に立たない」という趣旨の記事を書き、大きな反響があった。技術的な反論は少なく、「わたしは楽観的だ。非・中央集権のシステムはいずれ成熟するだろう」という意見が多かった。
手始めに、Venmoという送金サービスを例にとってみよう。(訳註:アメリカで人気の、メッセージアプリ感覚で使える送金アプリ。手数料は無料。) Venmoの送金は「無料」で、一方ビットコインの送金は「有料」だ。にもかかわらず、昨年の記事で、私は「ビットコインは使い物にならない」と書いたのにたいし、「Venmoとその親会社のPaypalは消費者から金を巻き上げている。みんなビットコインを使うべきだ」と、的はずれな反論をした読者がいた。
ブロックチェーンの使い道のなさ、流行らなさと、ブロックチェーン信者の信仰心のあつさの差は著しい。この読者が、安くて便利な送金方法を探し求めた末に、ビットコインの大ファンになったのではない事は明らかだ。断言しよう。「ある問題を解決したいと思い、『既存の』ブロックチェーン技術で解決するのが最適解だと知り、『その後に』ブロックチェーン信者になった人は、この世に一人もいない」と。
(訳註:わかりにくいが、著者が言いたいのは、「みんな『先に』ブロックチェーン信者になることからはじめてるよね」ということ)
仮想通貨で支払える小売店の数は減っており、ブロックチェーンに好意的なIBM、NASDAQ、Fidelity、Swift、Walmartといった大企業も、大々的なPRに反して、ブロックチェーンの実施は限定的だ。最も有名なブロックチェーン企業・リップルも、ブロックチェーンを主力製品に使っていない。そう、リップルという「企業」が、国際送金にリップル(XRP)という「通貨」を使わない選択をしているのだ。
(訳註:リップルに詳しい読者の方が多いので補足。上でリンクされていた2018年1月25日付のブルームバーグの記事では、記者がグローバル銀行7社の幹部・元幹部らに取材したところ、みな口を揃えて「顧客企業の国際送金に、無規制で価格変動が激しい仮想通貨を使うなんてありえない」と答えたことが書かれている。そのうち一人はリップル社との提携を結んだこともあるという。また国際送金業界において、権力を持っているのは銀行ではなく、グローバル大企業など銀行の大口顧客であり、それらの大企業の財務部は仮想通貨送金というリスクを取りたがらないだろうとも書かれている。
一方で記事には、CuallixやMoneygramなどXRPを限定的に試用している企業の名も載っている。)
ブロックチェーンは技術であり、概念ではない
実際にあまり役に立たないものが、なぜこれほど注目を浴びているのか?
多くの人が、まったく現実的でない「ブロックチェーンの未来」を語っている。「ブロックチェーンを用いてグーグルやフェイスブックからデータを開放し、その開放されたデータをAI開発に使うべき」といった絵空事などだ。
こんな言説がまかり通るのは、人々のブロックチェーンの技術的な理解が浅いからだ。ブロックチェーンとは、「どこかの天空に浮かんでいるデータ保管庫で、誰もが自由にデータを入力できるもの」ではない。ブロックチェーンとはデータ構造のことを指す。直線的な取引記録のログで、「採掘者」と呼ばれる人たちのコンピューターが新しい取引を記録するたび、報酬が支払われるシステムである。
このデータ構造には面白い特徴が二つある。第一に、一つのブロックが変更されると後続する全てのブロックが無効となるため、取引データの改ざんが難しいこと。第二に、採掘者は他の採掘者と同じチェーンの取引を記録することにより報酬が得られるため、他の採掘者と足並みを揃えるインセンティブがあることである。
それらの特徴がもたらすのは、共有された真実の取引記録である。採掘者が自分のメリットだけを考えて行動すれば、自然と合意が形成されるようになる。悪意のある取引記録を追加しようとしたり、別の取引記録の歴史を作ろうとしても、あなただけが何も報酬を得られなくなるだけだ。ルールは数学的に記述されており、政府や警察が殴り込んできて「この取引は間違っている」とか「賄賂をよこせ」とか言ってくることもない。これは底知れぬ可能性があるアイデアだ。
というわけで、ブロックチェーンという「技術」について要約すると次のようになる。「とても長い、小さなファイルの配列を作ろう。それぞれのファイルには、ファイルのハッシュ値と、新しいデータと、難しい計算問題の答えを入れるようにし、データを記録してくれる人たちに、決まった時間ごとにいくらかの報酬を渡そう。」
では、ブロックチェーンを「技術的」にではなく、「概念的」に捉えている人はどう考えているのか。おそらく、「もしも誰もが、『誰も所有権を持たない、改ざんが不可能な場所』にデータを保存すればどうなるか?」と考えているのだろう。
この「捉え方の違い」がなぜ問題かを説明しよう。2006年、スーパー最大手のウォルマートが、バナナとマンゴーの収穫データを、農地から店に伝達するシステムを作った。しかし業務の都合上、現場の全員が正しくデータを入力するのが困難で、2009年にシステムは休止状態に。そして2017年、そのシステムがブロックチェーン上で復活して話題になった。
もし誰かが、「マンゴーの収穫者が、データ入力を怠っているんだ。困ったなあ」とぼやいていたら、「それはブロックチェーンが解決してくれる。まず、とても長い、小さなファイルの配列を作ろう。それぞれのファイルには、ファイルのハッシュ値と・・・」と提案するのはバカバカしい。しかし、「それはブロックチェーンが解決してくれる。もしも誰もが、『誰も所有権を持たない、改ざんが不可能な場所』にデータを保存すればどうなるか?」と言えば、なんとなくブロックチェーンが問題を解決してくれるように思えてしまう。
(訳註:皮肉めいていて分かりにくいが、「現場のデータ入力が問題だったら、そもそもブロックチェーン以前の問題なのに、ブロックチェーンを技術的にではなく概念的に捉えてしまうと、ブロックチェーンで解決できない問題も、なんだかブロックチェーンで解決できるように思えてしまう」というのが著者の言いたいことである。)
ブロックチェーンによる信頼の確立は、実際にはそう上手くいかない
人々は、ブロックチェーンのことを「データの正しさを証明してくれる魔法の杖」だと思い込んでいるのではないか。データの正しさが求められる分野のほとんどで、ブロックチェーンが解決策として提示されている。
たしかに、「ブロックチェーンに保存されているデータを改ざんする」のは難しい。しかし、「ブロックチェーンがあれば、正しいデータが生み出される」というのは間違いである。
なぜそうなのか、先に具体例で説明しよう。ブロックチェーンの利用例のひとつであるスマートコントラクトを用いて、電子書籍を買うことを例にとってみる。あなたと電子書籍の販売者は、ネットの向こう側にいる者どうし、互いに互いを信用していない。しかしブロックチェーンを使えば、信頼してお金と電子書籍の取引を行うことができるという話だ。
既存の仕組みの場合、あなたが送金したとき、相手から電子書籍が送られてくることを祈るしかない。しかし、相手はあなたのお金を受け取ってしまえば、あなたに電子書籍を送るインセンティブはなくなる。そうならないように、VISA(クレカ)だったり、Amazonだったり、政府が弱虫のあなたを守ってくれるわけだ。
一方で、ブロックチェーンを用いた仕組みであれば、「誰も所有権を持たない、改ざんが不可能なデータ保管所」に取引を記録した瞬間に決済が行われ、電子書籍もあなたのもとに送られてくる。ブロックチェーン上の「スマートコントラクト」により、価値の交換は一瞬の間に、自動で直接的に行われる。ルールを決め、仲裁して手数料を請求する第三者も必要ない。これは皆が得をする仕組みなのではないか?
(訳註:スマートコントラクトについての軽い説明は前回の翻訳記事に書いています。)
立ち止まって考えてみよう。もしあなたが優れたプログラマーだったら、電子書籍の販売者(たとえば小説家だとする)がスマートコントラクトを作成する際、あなたはそのスマートコントラクトの中身のコードを小一時間確認し、罠がしかけられていないか確かめようとするかもしれない。スマートコントラクトが、事前に合意した金額のみを相手に送金し、正しい電子書籍のデータだけが相手から送られてくるか?といった具合に。
しかし、ソフトウェアが正しく動作するかをチェックするのは難しい。史上最も厳しくチェックされたスマートコントラクトでさえ、誰も気づかなかったバグが残っていた。後にハッカーがそのバグに気づき、5000万ドルを盗んだのだ。
もしも、1億5000万ドルのファンドを組んだ仮想通貨愛好家たちが、きちんとソフトウェアを検閲できないのであれば、電子書籍取引のスマートコントラクトが正しく動作するかどうか、あなたがチェックできるのであろうか?もし電子書籍の著者がスマートコントラクトにこっそりとバグを忍ばせ、全財産が入ったあなたのイーサリアムのウォレットを空にしようと試みたらどうするのか?反撃するプログラムをスマートコントラクトに入れておくべきか?
ただの電子書籍の売買なのに、とても煩雑になってしまった。スマートコントラクトでの取引は、相手という人間を信頼する代わりに、ソフトウェアと、ソフトウェアが牛耳る世界における「自分自身の自衛力」を信頼しないといけないのだ。
もう一つ例をあげよう。ブロックチェーンは、政治が機能しない国における投票システムの基盤として期待されている。「誰も所有権を持たない、改ざんが不可能なデータ保管所」に投票記録を残すというのは、正しいアプローチに一見、思える。
しかし、アフガニスタンの村人は、自前のLinuxでコマンドラインを叩き、ブロードキャストされた取引情報を受け取り、マークルツリーのルートを確認し、「自分の投票がきちんと反映された!」ということをするのだろうか。それとも、そのブロックチェーン投票アプリやインフラを作った第三者、NPOやコンソーシアム(訳註:共同事業体)を信頼せざるを得ないのだろうか。
「電子書籍の作家や、途上国の村人が『Eボディーガード』を雇い、スマートコントラクトを悪用しようとするハッカーや、悪徳NPOから自分たちの財布や票を守る」というのは、何とも馬鹿げた話だと思えるかもしれない。
しかし、ブロックチェーン推進者らが目指しているのはそういう世の中なのだ。人と人との間の信頼や規制のかわりに、ブロックチェーンの世界観では、本来自己責任でないものでさえ自己責任にしてしまうのだ。もしソフトウェアにバグや悪意が潜んでいたら、「そのソフトウェアをきちんと読まなかったあなたが悪い」ということなのである。
ブロックチェーンの世界観は根本的に間違っている
もうお気づきかもしれない。ブロックチェーンは「信頼がおける」仕組みとして人気が出たが、今や世界で最も「信頼がおけない」仕組みになっている。10年も経たないうちに、トップ3のビットコイン取引所がハッキングされ、とある取引所はインサイダー取引だと訴えられ、スマートコントラクトの一大デモだったDAOも多額が盗まれ、仮想通貨の変動幅は世界で最も不安定な通貨の10倍もあり、ビットコインの値段は人為的に釣り上げられている可能性が高い。
ブロックチェーンを使うことで、保管されるデータが自動で正しくなることはない。ブロックチェーンを使うことで、データを「入力する」人を信頼できるようになるわけでもない。唯一のメリットは、「後から」データの改ざんをすることが難しくなるというだけだ。
農家の人が、農薬を使って育てたマンゴーを収穫する際、ブロックチェーンに「今回収穫したマンゴーは無農薬です」と嘘のデータを入力することだってありえる。腐敗した政府であれば、ブロックチェーンによる投票システムを作りはするが、既得権側の組織票が100万回余分に投票できるようにしてしまえばいい (訳註:投票率が少なければバレない)。契約書がソフトウェアで書かれた投資ファンドの、投資資金の分配方法が正しいとも、もちろん限らない。
そもそも、信頼ってどうやって生まれているんだっけ?
電子書籍の取引の場合、たとえあなたがスマートコントラクトで取引をしようとしたとしても、ソフトウェアを確認する前に、「古いやり方」かもしれないが、あなたは次の4点を確認するはずだ。
- あなたがスマートコントラクトの作成者を知っていて、その人を信頼できるか
- 電子書籍の販売者の評判は良いか
- あなたか、あなたの友達がその販売者から電子書籍をきちんと購入できたか
- 「まあ、たぶん大丈夫だろう」と思えるか
仮にスマートコントラクトで取引が行われても、実際はあなたは相手か第三者を信頼し、自分のソフトウェア査定能力を信頼することはないだろう。スマートコントラクトが機能したとしても、データの取引契約が理解しにくいソフトウェアで書かれていることで、政府のガイドラインに基づく自然言語(英語)で書かれている場合に比べ、契約の透明性が「下がる」のだ。つまりスマートコントラクトは、契約の透明性を上げるものではない。
投票の話でも同じだ。ブロックチェーンの話をする前にまず、
- 有権者登録のプロセスに不正がないか
- 投票用紙(紙にしろデジタルにしろ)が不正に配布されていないか
- 有権者が脅されていないか、買収されていないか
- 投票結果の数字が実際の投票数と合致しているかどうか
- 既得権益側の組織票が何度も投票できていないか
などの問題を解決しないといけない。ブロックチェーンはこの問題のどれも解決できないし、ましてや問題を増幅させてしまうかもしれない(訳註:たとえば5番については、ブロックチェーンでデジタル化されることにより、自動で何度も組織票を投じやすくなる)。
しかしより重大な問題は、ブロックチェーンで問題を解決しようとすると、ブロックチェーンの弱みを補うために、ブロックチェーンの強みが無効化されてしまうということである。「ブロックチェーン上の投票権が不正に配布されないように、信頼できるNPOに配布させよう」とすれば、中央集権化に逆戻りで、ブロックチェーンじゃなくても普通の台帳で良いのである。どんなブロックチェーンによる問題解決法でも、最終的には、信頼できる中央団体がないと立ち行かなくなってしまうのだ。
「仮想中世」という世界観
「古いやり方」抜きに、ブロックチェーンによる「私利私欲・自己責任」の世界観で実際に世の中の仕組みを作ろうとすると、阿鼻叫喚地獄に陥ることは間違いない。
800年前のヨーロッパでは政府が弱く、誰も法律も遵守せず、信頼できる組織が少なかった。盗みは日常茶飯事だったし、「資産は銀行に預ければ安心」なんて夢物語だったし、「自分の身は剣で守る」時代だった。現在、ソマリアという国はこのような状況にある。そして、ブロックチェーンによる革命が大成功すれば、同じ世界が訪れる。
「みんな、ソマリアみたいになろうぜ!」が、ブロックチェーンのビジョンなのだ。そんなの、誰も望んでいない。
最も熱心な仮想通貨愛好家だって、彼らの目標である「仮想中世」の世界観よりも、実際のところは信頼に頼りたいと思っている。93%のビットコインはコンソーシアム(訳註:共同事業体)によって採掘されているが、どのコンソーシアムも、スマートコントラクトによる報酬分配は行っていない。その代わりに、「うちのコンソーシアムは長い間、採掘者に定期的で正確な報酬を支払ってきた」とアピールしている。まさに、「信頼のおける第三者」だといえよう。
シルクロードという、仮想通貨で違法ドラッグ・自動ポルノ・盗難カード・暗殺者を取引できるサイトがある。しかし、シルクロードが成功したのは、ビットコインで支払いができるからではなく、犯罪者の質を星の数で「レビュー」するシステムがあるからだ。これによって犯罪者を信頼することができるようになったが、このレビューシステムはブロックチェーンではなく、シルクロードの運営が一元的に管理している。
リップルや、シルクロードや、ビットコイン採掘者のコンソーシアムや、the DAOがみな「古いやり方」で信用を形成するのであれば、アングラではない世界で「信頼のおける第三者」がいらないシステムの浸透が進まないのも、まあ当たり前だとしか言いようがない。
ブロックチェーンが守りたかったものを守るために、ブロックチェーンを捨てるべきだ
「誰も所有権を持たない、改ざんが不可能なデータ保管所」は、店で手に取ったマンゴーがどこから来たのか、鮮度はどれくらいか、農薬は使われているのか確かめるのに適している気がしないでもない。しかし、食品表示法、NPOや政府の監査、独立した報道機関、内部告発できる環境にいる労働者、信頼のおける食品店、地域のNPOのファーマーズマーケットのほうが、「食の安全を守る」という点では、ブロックチェーンよりはるかに良い仕事をしているはずだ。「食の安全が大事」という人はおそらく、「食品流通の利害関係者の間に信頼がないよりは、あるほうがいい」と考え、ブロックチェーンを導入するに至らないのではないか。
ブロックチェーンの技術的な問題は、概念的な問題も露わにしてしまう。エンジニアが「とても長い、小さなファイルの配列を作ろう。それぞれのファイルには、ファイルのハッシュ値と・・・」と提案しても、「農家の人が農薬の使用データを正しく入力してくれない問題」は解決しないのと同じように、「信頼のおける第三者」がいらないシステムをいくら作っても、個々の人々に力を与えることはできないのだ。
ファーマーズマーケットやオーガニック食品の規制のように、本当に価値のあるアイデアは既に私たちのそばにあるのだ。安心安全で、資本主義の波に飲み込まれていない金融機関が必要ですか?信用組合を使えばいい。組合員が代表を選ぶことができるし、利益も組合員に還元される。インフレを止めたいですか?中央銀行の責任者は政権が任命するのだから、あなたは有権者として、きちんと投票すればいい。投票行動を広めたい?オープンソースの投票ソフトウェアを作るか、投票の呼びかけをするか、選挙のボランティアをやればいい。信頼できて手数料が低く、作家に多くの報酬が還元される電子書籍の取引システムがほしいですか?手数料分を支払額に上乗せしてもいいし、作家から直接本を買ってもいいし、自分で良心的な電子書籍のサイトを運営してもいい。
「信頼が無くなっても大丈夫」であることを前提に生まれたプロジェクトは、どれも顧客の心を掴んでいない。なぜなら、信頼はとても大事なことだからだ。無規制で信頼がない世界で、唯一の社会規範が私利私欲であり、疑心暗鬼であることが身を守る唯一の手段となる世界は、パラダイスどころか、「地獄の仮想中世」である。
社会の一員として、技術者として、起業家として、われわれは協力すること、互いを信じること、そして自分自身が信頼のおける人物になることに注力するべきだ。「とても長い、ハッシュ値が入ったファイル」にデータを保存しようがしまいが、われわれは信頼の「撲滅」のために頭を使うのではなく、信頼の「形成」のために頭を使うべきだ。
Kai Stinchcombe
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上杉周作と申します。日本とアメリカ育ち。シリコンバレーのエンジニアです。
プロフィール
1988年日本生まれ。カーネギーメロン大学卒。学位はComputer Science学士・Human-Computer Interaction修士。Apple・Facebook・Palantirでエンジニア職、Quoraでデザイナー職を経験。その後半年間日本でニートになり、2012年9月よりシリコンバレーの教育ベンチャー・EdSurgeに就職。2017年1月に退職して1年間、世界を旅する。NHK「ニッポンのジレンマ 2016年元日SP」「クローズアップ現代+」に論客として出演。
- メール: shu@chibicode.com
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- Twitter: @chibicode
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