ゴダールを追わなくなって久しい。
まぁ腐ったクリシェしか求められないアニメでは何の応用も利かないから、「仕事の役に立たないなぁ」と自然と離れて行っただけなのだろうが。
でも『はなればなれに』を観た時の興奮は、今でも忘れない。
『映画史』を四苦八苦して観た時の心にずっしり響いた印象は、今でも忘れない。
彼は映画の「革命者」だったのか?
いや、彼ほど映画に対し「不器用」な人間はいなかったと思う。
普通の作家は、トリュフォーでさえ、もっと外面良くこなす。
ゴダールほどピュアな映画監督はいない。僕はいつもそう確信する。
また「衝動」の話になるが、彼こそ「衝動」を描く天才だろう。
愛や怒り、悲しみや諦観など、彼は思いつくままにフィルムにコラージュする。
そのカット・アップ技術は多くの監督が真似した。
しかし、自分のごちゃごちゃしたカオスな心理を、的確に映像に焼き付けていくその「ピュア」さは、誰にも真似できない。
誰もが、彼のように自由に映画を撮りたい、そう思うだろう。
僕も一時期そう思っていたが、諦めた。
いや、まだチャンスはあるのか?
彼ももう87歳だ。長寿だ。
長寿の監督は画が生き生きしている。
やっぱり生命の強さが映画に潤いを与え、逆に映画の潤いを浴びて自分の寿命を延ばすのだろう。
アニメの方がもっとできそうなのになぁ。