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2018-02-12 「憂国の士に捧ぐ。」 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメントAdd Star

「粋な夜電波」第350回はフリースタイル

新宿本屋カフェで採取した面白話と、南米音楽の変わり種を紹介。リラックスした、いつもの夜電波クオリティの放送は、先日亡くなられた西部邁先生に捧げられておりました。

番組のトークの一部を文字起こししてみました。

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャン菊地成孔がTBSラジオをキーステーションに全国にお送りしてまいります。

えーとね、まーまーまー…チラッと言っただけじゃ「あれ?今の話、何だった?」っていう人もいるでしょうから、最小限の事だけ言いますけどね。

あの…「西部邁ゼミナール」っていう番組があったんですよね。テレビ番組。それがね、この1月で終了したの。

で、終了に合わせて亡くなったと思いますけどね。

ワタシ、最終回観てたんですよ。

で…まーまー、笑って話していい事だと思うから笑って話しますけどね。

というのは「西部邁ゼミナール」の最終回西部先生は、ものすごい朗らかに「というわけで、これにて!」っつって終わったんですよね。「これにて日本はどんどんダメになります!」っつって。ニコッと笑って。

その時にね…観た方いますか? ひょっとすると、こういうのは面白がって動画サイトとかに上げる輩がいますから、確認できるかもしれませんけど。

この番組で、西部邁先生は必ず手袋をされてたんですよね。で、あの手袋は何だったんだろう?って、誰も突っ込めないんですよ(笑)。

最終回は、青山忠司さんっていう…西部先生がやってる「表現者塾」っていう塾の塾頭の方ですけどね。ま、要するに手の者が脇にいるんで、誰も突っ込めないわけ。「その手袋、何ですか?」っていうふうに(笑)。だから、謎のまま進んで行くんですけど。

その手袋が白いんですよ、基本的に。白いんだけど、最終回だけは…

いや、これほんとにね、何て言うか…ギリギリ不謹慎なんだけど、いいと思うんで言いますよ。

最終回だけはね、片手が黒、片手が白で、白黒だったんですよ。手袋が。

ワタシ、先に番組観てたんで。訃報は後から知りましたので。

「あ、そういえば最終回だけ、手袋白黒だったな…。」と思って。「凄いことすんな、憂国の士は。」と思いましたけどね。

はい。あとこれ以上説明は一切避けますので、普通に番組は進行しますが、ワタシの気持ち的には、今回は最初から最後まで捧げ続けるということで。まーまー、皆様とはね、直接関係の無い話ですけども。

D

(中略)



はい、ま…こんなところでしょうか。

今日はとにかく西部邁さんに捧げさせていただきました。

ワタシはこの番組で、ずいぶんいろんな形で追悼ということを…

そうですね、やったこと無かったんですけど。この番組で初めてやって、それがその…何つーんですね…ひとつの…ま、一番軽々しく言っちゃえば「追悼芸」みたいなことになって、いっぱい…ね。

ま、放っときゃ…さ、毎週毎週ラジオやってりゃさ、言っちゃあ…毎週毎週誰か有名人の命日だったり、今週亡くなった方がいたりとかっていうことはあるわけじゃないですか。で、ずっとやってたわけなんだけれども。

なんだっけ…「レクイエムの名手」っていう本を出して、一回まとめたんですよね。

で、もう本にしてまとめたし、まーまーまー、追悼追悼ってね…明るく送り出す方向ってね、特に今日なんかは本当にそう思ってるんですけど。

あの…忘れらんないですよ、西部先生の「さ、これでお終い!」って言った、最終回笑顔ね。

ただもう…手袋が黒と白だって、もう一回言いますけどね(笑)。あれはヤバかったですけど、はい。

なんで、まーまー…そんなにガッツンガッツンにはやりませんでしたけども、捧げさせていただきました。

ま、他にもたくさんの方が亡くなってるわけでね。刻々と亡くなっているわけよ、世界中で。

だから、誰のかれのって話じゃないですけども、西部邁さんに…ま、憂国であることの最期というのを見せていただいた感じですよね。やっぱね、思想的なあれとして。

はい。てなわけで、最後の曲ももちろん捧げさせていただきたいと思います。

榎本健一ですね。エノケンですよ、エノケン。エノケンと中村是好ですね。

これはもう…わかんない方には何にもわかんない。わかる方はヒーヒーっていうね。

ワタシと同世代の方でも、なかなか「エノケン、中村是好浅草オペラ!」っつって、ヒーヒー言う人は好事家でしょうね。

昭和5年です。「榎本健一=エノケンと、その一頭はカジノ・フォーリーを脱退して新カジノ結成。中村是好・作『のんきな大将(ブロードウェイ見物)』は、その旗揚げに浅草観音劇場で上演された演目である。エノケンと中村是好の息の合った掛け合いをお楽しみいただきたい。昭和6年12月22日録音。」と、ライナーノーツにあります。

エノケン、中村是好で「のんきな大将(ブロードウェイ見物)」をお聞きいただいて、お別れしたいと思います。

レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集

レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集