業界人も知らない「小さな表示変更」が行われました
表示例①と表示例②、どこか一カ所だけ違うところがあります。どこか分かりますか?
筆者は、消費者向けだけでなく、事業者向けの講演でも、必ずこのクイズを出しています。消費者はもちろん、食品関連事業者であっても、違いに気付かない人、違いが分かってもその理由が分からない人がほとんどです。
大ヒントは「文字ではなく記号」です。
「、」の部分、どこか違っていませんか?
正解は、酵母エキスと加工でん粉の間の「、」と「/」の違いです。表示例①では、酵母エキスの次が「、」ですが、表示例②では「/」になっています。
この「/(スラッシュ)」が意味するところは「/以前が原材料、/以降が添加物」ということなのです。
どこからが添加物か、一目で分かるようになりました
旧JAS法の原材料表示では、添加物以外の原材料に続き、何の区分けなく、続けて添加物を表示してもよかったわけですが、食品表示法では「原材料と添加物を明確に区別して表示すること」が義務付けられました。
今までは、原則として「原材料を重量順に、その後に添加物を重量順に表示すること」になっていましたが、原材料と添加物の明確な区切りはなかったのです。その結果、消費者の多くは、添加物が何かを知らないので、原材料名表示を見ても「どこからが添加物なのか」がよく分からない状態にありました。
ところが食品表示法では、どこまでが原材料で、どこからが添加物なのかを、消費者がハッキリ分かるように表示しなければならなくなったのです。
何種類かあります「明確に区別する方法」
原材料と添加物を明確に区別する方法はいろいろあります。
従来は、表示例③のように、全て「、」で区切ればよかったのですが、食品表示法の大原則は表示例④のように、原材料欄と添加物欄をそれぞれ設けて表示することになっています。
しかし、運用上の特例として、表示例⑤、表示例⑥、表示例⑦も認められています(こうした特例を「できる規定」と呼んでいます)。
この3つ以外にも「明確に区別する方法」であれば認められますが、実際には、どの事業者も消費者庁が示した例のどれかを採用することになるでしょう。