女性活躍は「最低賃金引き上げ」で実現可能だ

「1300円」まで高めれば状況は劇的に変わる

女性が「男性と同じように」活躍しなければ、日本はもたないといいます(画像:Yagi-Studio / iStock)
日本でもようやく、「生産性」の大切さが認識され始めてきた。
「生産性向上」についてさまざまな議論が展開されているが、『新・観光立国論』(山本七平賞)で日本の観光政策に多大な影響を与えたデービッド・アトキンソン氏は、その多くが根本的に間違っているという。
34年間の集大成として「日本経済改革の本丸=生産性」に切り込んだ新刊『新・生産性立国論』を上梓したアトキンソン氏に、真の生産性革命に必要な改革を解説してもらう。

この連載に対する読者の皆さんのコメントを見ていると、感じることが2つあります。

1つは、人口減少問題はその規模と影響の大きさが十分に理解されていないこと。もう1つは、大半の人の常識の基礎には「人口が増加する」という大前提があり、多くの人がそれに気付いていないことです。

『新・生産性立国論』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

言うまでもなく日本は戦後、ずっと人口が増加し続けてきました。そのため、経済というシステムも人口増加を前提に形作られています。すべての前提である人口増加が人口減少に転換するならば当然、システムを変える必要が出てきます。今のシステムを変える必要がないと主張する人は、この単純なポイントが見えていないように見受けられます。

当然ですが、ある国のシステムは、制度という一つひとつのパーツがつながってできていますので、何か1つを変えるとなると、他も変える必要性が生じます

これまでの記事では、生産性を上げるためには最低賃金を上げ、企業の統合を進めて、経営者を改革すべきと主張してきましたが、それに関連して避けて通れないポイントがあります。それが女性活躍の問題です。

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  • NO NAME5b037de7d0c6
    近年は最低賃金を毎年25円程上げている。
    全国の最低賃金の平均が800円程なので、1300円程まで上げるのに500円程上げる必要がある。
    単純な計算をすると20年かかる。

    毎年100円程上げるぐらいが必要だと思います。

    最低賃金を上げるだけで所得の再配分が進むと思います。
    up79
    down7
    2018/4/5 08:32
  • 痴漢冤罪は男性へのセクハラec7ac09f1291
    女性も社会保障の負担を負うようにするというのは賛成。働いた分しか給付を受けられないようにすれば否が応でも働かざるを得なくなる。女性の労働参加が進んでいる国は、結婚していても働かなければ女性が自分の財産を作れない国が多い。
    up78
    down15
    2018/4/5 07:38
  • NO NAMEec7ac09f1291
    女性の労働参加が進んでいなかったのは、働いていなくても財産分与や養育費などの形で保護されて給付を受けられたことが大きいと思う。これらをこれまでの所得に応ずるようにすれば、何が何でも働かざるを得なくなるので女性の労働参加が進むと思う。
    up71
    down12
    2018/4/5 07:42
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