Yahoo知恵袋をみていて、エンジニアとしは無視できない気になる投稿がありました。
IT派遣 時給か社員か どっちがいいのでしょうか?
4月からIT派遣業務に転職する予定です。
しかし前回色々とあり、別な会社で働くつもりです。そんな中に求人を探していると、時給制だと以外に高時給との頃が結構あり、こっちでもいいのかな?と考え始めました。どちらも善し悪しがあるかと思いますが、どっちの方がいいのでしょうか?実際に、正社員雇用でも未経験なら18万〜23万円前後が多いように思います。
仮に23万だとしても 200000÷20=11500円
8時間勤務として、11500÷8=時給1437円です。時給制で募集しているのを見るとかなり低くても1500円前後、高ければ2000円、3000円とあります。
自分もそんなに経験はないのですが、時給制の求人を見ると、1600円〜1800円前後かなーと感じて、明らかに時給の方が給与はいいです。
一般的な会社であれば、勿論社員として入社した方が100倍もいいのは理解していますが、このit業界だと、名ばかりの正社員ですし、長年務めてもボーナスが高くなるわけでもなく、仮に出向先から戻り、次の現場が決まらなければ、正社員でも50パーセント近くに給与カットになるし、出向先が決まらなければ、自主退社をさせられるような感じてですし、正社員=安定でもないと思っています。
出典:Yahoo知恵袋
この質問が投稿されたのは「2018年3月」のものなので割と最近のものです。実は、IT未経験の方でも「正社員」を目指さずに、いきなり「派遣」からキャリアをスタートさせるか悩んでいる人が最近増えているんですよね。
私も知人から似たようなことを質問されたことがあります。普通に考えたら「正社員」一択なのですが、「名ばかり正社員」が多い事が問題を複雑にしています。
普通の正社員 > 派遣 > 名ばかり正社員(特定派遣のみ)
派遣が選択肢に挙がる理由は、IT業界の人材不足を理由に派遣やフリーランスの案件が高騰しているからです。質問者さんが言う通り、IT未経験で入社できる企業は「名ばかり正社員」が多く、労働環境が悪い企業が多いからです。もちろん、未経験でもしっかりと人材を育ててくれる企業もありますよ。
派遣の時給は近年かなり高騰しています
参考:月55万円稼げるテストエンジニア派遣!【ソフトウェアジョブズ】
質問者さんは月給23万円、手取り20万円、8時間労働で1400円と計算していますが、これは定時に帰った場合で、さらにサービス残業で長時間労働を課せられる可能があります。
わたしも1社目で入社した企業はブラックでしたが、賞与はスズメの涙程度で退職金もない、残業代が出ないので時給は1400円を軽く下回ります。労働時間が長くなれば、時給は際限なく下がっていきますよね。本当に酷い時は1000円以下の時すらありますから。
これだけ派遣の時給が高騰するようになると、正社員よりも派遣からキャリアをスタートした方がいいと考える人が増えてもおかしくはないですよね。この業界のことをしっかりと業界研究し、慎重に行動する人ほど派遣を選ぶ可能性が高いかもしれません。
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未経験でもIT業界に入れる理由
ITエンジニアは基本的には専門職ですが、それでも未経験者を広く受け入れている業界です。最近では、30代未経験でも入社する人が増えています。
その理由は、特定派遣が認められている業種なので、労働者を社外に出向させるだけで報酬が発生するからです。正社員で採用しつつも実質やっていることは派遣ビジネスと何も変わりません。タチが悪い企業だと、出向先が見つからなければ給与を下げて自宅待機なんかも平気でさせます。
IT未経験でも現場に出向して働けるのかというと、実は意外と難しくないんですよね。
その理由は、経験が浅い労働者を受け入れている側は、手順書通りのオペレーション作業やドキュメント作成、評価者、ヘルプデスクなど、専門知識がなくてもできる仕事を任せるからです。
オペレーションはLinuxのコマンドがある程度できたら誰でもできます。もちろん、最初は周りに先輩がいて教えてくれますが、ある程度慣れてきたらひとりでできるようになります。未経験者をシステム開発の開発メンバーに入れるようなリスクが高いことはしません。
派遣としてゼロからキャリアをスタートさせた場合にも、このような案件につくことになります。ただし、同じような仕事をするのであれば、「名ばかりの正社員」よりも単純に時間給が高い派遣の方がいいですよね。正社員は際限なく労働時間が増えていきますが、派遣は基本的には定時で帰れる上に、残業した場合も全額支給されます。
オペレーションやヘルプデスク、評価者の仕事に価値がないとは私は思っていません。初めてパソコンを使用し仕事をする人もいるので、まずは入りやすい簡単な業務から少しずつ覚えていくのは大切なことです。ITスキルやIT業界のことを知りながら徐々にステップアップしていけばいいので。
「名ばかり正社員」の問題点は、こうした業務経験が積めない仕事を永遠とやらされるリスクがあるということです。自分のプロジェクトを選択する立場にないし、上司は部下の特性を見て仕事を取ってきてくれるわけではありません。会社のお金になるならどんな現場でも良いから行けというスタンスです。
派遣は自ら仕事を選んでオペレーションや評価者の仕事を選択しているので、条件は大きく異なりますよね。
わたしの知り合いで、未経験で時給1500円インフラ系のエンジニアとして働き始め、半年後には時給2000円の別の案件に就いた人がいます。もちろん、時給が上がるということはそれなりに求められるスキルも上がっていきます。オペレーション作業からITの経験を積み、サーバーや仮想環境の構築など業務の幅を広げていきました。
なぜ、短期間でこれだけ時給を挙げられるかというと、最初はIT未経験でこの業界に入るので応募できる案件が限られます。しかし、1度でもこの業界に入ると次回以降は経験者として扱われるため応募できる案件が劇的に増えます。現在はIT業界に人手が足りていない状況なので、エンジニアはより高い時給を選択しやすくなっています。
時給1500円で8時間働いたら月給は「24万円」、時給2000円なら「32万円」。「名ばかりの正社員」よりもはるかに待遇は良いし、20代で定時に帰れることを考えるとホワイト並みの水準ですよね。
派遣エンジニアを目指すメリットとデメリット
【派遣のメリット】
・時間給が高く労働時間が短い
・自分のレベルに合わせてプロジェクトを選択できる
・業務経験が積めない仕事を避けられる
・サービス残業が全くない
【派遣のデメリット】
・プロジェクトが終わると次の案件を自分で見つけないといけない
・収入が発生しない期間もある
・派遣会社との契約によっては税金など自分で計算する
・スキルがなければ年齢とともに市場価値が下がっていく
・景気の動向に左右される
ただし、派遣として生涯働き続けるのは難しいですよね。20代、30代のうちは良いですが、40代を過ぎると紹介してくれる案件は確実に減ります。たとえ、スキルに自信がある人でもこの業界の技術は日進月歩なので、いつ手持ちのスキルが廃れてもおかしくはありません。プロマネや品質管理など不変的なものであれば、価値は残り続けますが。
また、当分は人材が足りない状況が続くのは間違いないですが、10年後も20年後もいまと同じ状況が続くとも限りません。例えば、日本が本格的に移民を受け入れるようになれば、状況は大きく変わると思います。
派遣としてキャリアをスタートさせる場合は、定時に帰れること、キャリアを選択しやすいという利点を生かして、次のように逃げ道を確保しておくのが良いと思います。
・サイドビジネスを並行して育てていく
(将来的に本業と並ぶレベルで)
・フリーランスとして独立を目指す
・30〜35歳を目処に正社員の道も考えておく
自分でキャリアを選択できるのが、個人的には最大のメリットだと思います。
オペレーション作業や評価者からキャリアをスタートさせたともしても、レベルの高いプログラミングスクールでスキルを磨けば、より単価が高い開発案件に就くのも難しくありません。
すでにIT経験者というキャリアがある状態なので、独学で学んでも企業から十分に評価されます(IT未経験+独学よりも、はるかに価値は高い)。オリジナルサイトやアプリのURLを履歴書に貼り付け、ソースコードをGithubに公開すれば、それだけで企業からは高い評価を受けます。最近のプログラミングスクールは、Githubの使い方もオリジナルサイト制作もサポートしてくれます。
現役のエンジニアでも、自分でサービスやソースコードを公開しているのは全体の1割もいません。
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「名ばかり正社員」の待遇が悪過ぎる
派遣エンジニアの待遇が良いというよりも、派遣が素晴らしいと思えるくらい「名ばかり正社員」の待遇が悪すぎるんですよね。。
なぜこれだけ待遇が悪いのかというと、3次、4次請けと多重派遣が当たり前のように蔓延し、中間マージンを摂取する業者が大量に湧いているからです。
ある客先で出向していた頃、家に帰るのが毎日日付が変わるという生活をしていました。入社した最初の年で賞与が出ない上に、途中から会社の給与制度が変わり残業代が出なくなりました。おそらく、この期間の時給は1000円前後だったのではないでしょうか。これで業務経験が積めるならまだ良いですが、開発案件でもなく他の職場で活かせない仕事です。そして、このような職場に配属されるかどうかは、すべて運次第です。
特定派遣をしている企業とは違い、派遣の方がはるかに健全なビジネスをしています。派遣会社と受け入れる企業、エンジニアの3者しかいないからです。派遣の時給が高いのではなく、本来正当に支払われるべき給与が「中間業者」によってピンハネされているということです。
それでもなぜ、特定派遣に人が流れるかというと「正社員」という地位が欲しいからなんですよね。
こうした業務経験が積めない企業で働き続けた人の末路は本当に悲惨です。わたしがIT業界に入社したとき、ちょうど2008年の金融危機の頃でした。客先で働いていましたが、大手クライアントは大幅に予算を縮小し始めたときで、契約を切られる労働者がたくさんいました。
他協力会社の30歳を過ぎたエンジニアさんで、「特殊な仕事(通信系のオペレーション業務)しか10年間してこなかったから他で雇ってくれるところがない」と嘆いていました。笑いながら自虐的に語っていたのですが、入社1年目だった自分としては、かなり鮮烈にこの時のことを覚えています。
わたし自身は転職することで、システム開発の経験が積める普通の企業に入ることができましたが、最初の会社を辞めていなければ同じ道をたどっていたと思います。
安定していない、世間一般に言われる普通の正社員じゃないとわかっていながらも、肩書きが捨てられず脱出できないんですよね。
ネットビジネス兼派遣エンジニア
わたしが10年前にこの業界に入ったときは、IT未経験で派遣エンジニアという選択肢は当然ながらありませんでした。そもそも、経験者でも派遣を選択することすら一般的ではありません。「給料も安い上に雇用も安定していない」からです。
最近の傾向を見ていると、数としては決して多くはないでしょうが、派遣エンジニアをしながら、ブログやアフィリエイトなどのネットビジネスと両立している若い人が増えている印象を受けます。
派遣を選択する理由は、もちろん定時に帰れて自分の時間を確保できる上に時給が高いからです。
派遣は収入が不安定という大きなデメリットはありますが、サイドビジネスと合わせることで相乗効果は高いです。収入が発生しない時期がありますが、それでも別に収入源があると貯金を食い潰すことなく生活できますからね。プロジェクトの合間に1〜2ヶ月海外旅行に行くこともできます。
質問者さんがいうように「名ばかり正社員」を目指すくらいなら、最初から派遣会社と契約したい方が得られるものは多いかもしれません。長時間労働させられる心配もないし、業務経験が積めない出向先で永遠と働かされることもありません。
ある程度経験を積んでから正社員に進む道を確保しておけば、順調にキャリア形成ができるのではないかと思いました。
本当はしっかりとエンジニアを育ててくれる企業が増えるのが1番良いいですけどね。ちなみに、2018年から特定派遣は禁止されますが、それでも悪質な派遣ビジネスはなくなりません。今までもそうだったように、グレーゾーンで残り続けます。
参考:月55万円稼げるテストエンジニア派遣!【ソフトウェアジョブズ】