「二重国籍の問題は生じない」との“政府見解”報道は事実でない

2016年09月08日 22:50

昨日から、共同通信や朝日新聞等のマスコミ各社で次のような報道があった。

『 日本政府の見解では、日本は台湾と国交がないため、台湾籍の人には中国の法律が適用される。中国の国籍法では「外国籍を取得した者は中国籍を自動的に失う」と定めており、この見解に基づけば、二重国籍の問題は生じない』

これについて事実ではないと、法務省から自民党に連絡があった、とのことだ。

なお、この問題について法務省の正式見解が出されない理由については、かつて通商産業省通商政策局北西アジア課長として、中国および台湾当局との外交交渉などに当たってきた経験からすると、北京と台北の両方に配慮が必要なこのような問題について、あまり明確にものをいうことを避けるのが方針だから慎重なのだみられる。

しかし、国籍選択宣言を行った窓口で「国籍離脱手続きをとるべき先は中華民国(台湾)当局」だとの認識で指導を行っており、中華人民共和国国籍法によって、国籍離脱手続きが完了するとは考えていないことは明らかだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授
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