アナログゲームの売れ筋・流行を知る「チャットでつくるアナログゲーム」第1回
2018/04/05
WRITERチャット:あだちちひろ、くらふと、ピーター/編集:Zing!編集部 ピーター
どうも、Zing!編集部のピーターです。
最近アナログゲーム流行ってますよね。
全国にボードゲームカフェができたり、人狼ゲームが盛り上がったり。
どうしてそこまでアナログゲームが盛り上がっているのか?
それを知りたい。
さらに、自分もつくってみたい!
……ということで今回から「チャットでアナログゲームをつくる」連載開始です!
アナログゲームについて知るところから、モック(見本)をつくるまでを、チャットで会議しながら進めたいと思います。
この連載で、アナログゲームをつくる人が増えたら嬉しいです。
なぜチャットかというと、運営元のケイ・オプティコムが光回線サービス「eo」や携帯電話サービス「mineo」をやってるからネットに絡めたいんです。
さて初回の今回は、以前アナログゲームの魅力について聞いたあだちちひろさんと、「ゆかいゲームス」連載中のくらふとさんにとりあえずチャットで相談してみました!
定番ゲーム(1)世界で2番目に売れている「カタン」
ということで、よろしくお願いします! とりあえず今回はアナログゲームの最近の傾向を知りたいんですよね。
じゃあまず定番ゲームからピックアップしますね。
・「カタン」(1995年)
http://www.gp-inc.jp/catan/
(ゲーム概要)
“カタンという無人島を舞台に、拠点となる開拓地(家)を建ててそこから島全体を開拓していきます。複数の対戦相手との開拓競争で、
最初に10点(例:開拓地1点)とった人が勝者となります。
具体的には、サイコロによって島から5種類の資源が算出されるので、その資源を元に次の開拓地を建てていきます。
ですが、なかなか必要な資源が集まらないこともあります。時には対戦相手と協力して資源を獲得し、時には陣地の獲得競争を行う
エキサイティングなゲームです! カタン島の支配者は一人だけ! 誰が勝者となるのか・・・”
(「カタン」公式サイトより引用)
「カタン」有名ですよね! やったことはないですけど……。
このゲームがドイツゲームの歴史を変えたとよく言われています。
なるほど。どの辺が革新的だったんでしょう?
簡単に言うと画期的なルールが多く盛り込まれたんですよ! 毎度遊ぶ度にゲームボードが変化するんですね。六角形のピースをランダムに合わせて大きな1枚のボードとして使います。ランダムでもいいし、プレイヤーで決めてもいい!
そして、サイコロを振って資源もらえるかどうか自分が判断をする際に、なんと自分の番ではない他のプレイヤーまでもらうチャンスがあるんです。自分の手番じゃないけど目が離せない。これもまた今までになかった要素の1つです。まだまだあります! それは自由度の高い交渉です。ゲーム中に必要となる資材を他のプレイヤーからもらったり、交換したりする事ができます。とにかく斬新なルールが盛り込まれていて、毎度変わるボードにワクワク、サイコロ運、実力の交渉……。そのバランスが「面白い!」って支持を受けて「モノポリー」に次ぐ、世界で2番目に売れてるアナログゲームになったんです。
へぇ! すごいですね。
当時、重めなゲームとして注目されましたが、面白いという情報がどんどん広まり、ファミリー層にも多く遊ばれるようになります。
なるほど。公式サイトにも「小学生にも遊べる!」ってありましたね。
そうですね。ただ、交渉(物々交換)をするってのがくせ者です。交渉がこのゲームの面白さの1つでもあるのですが、小学生がやるにはゲーム慣れが必要かなって思います。
そこは人生経験(ゲーム経験)がいるんですね。
実はアナログゲームの対象年齢って、生まれた時からゲームに親しんでいるドイツ人の子供たちに標準が合わさっているんですよね。だから日本で実際の対象年齢に置き換えると、ゲームの対象年齢に2歳足したくらいがちょうどいいと思います。
へぇ。
へぇへぇへぇ。
対象年齢は大事なんですねぇ。
ちなみに私は「カタン」は初めてアナログゲームを遊ぶ人には薦めません。1回60分以上は掛かるので、導入としては重たいですよね。
ルールも複雑ですしね。
そうなんです。どんなゲームでもやりたいって人にはいいですけど、ライトにやりたい初心者にはまず無理かなあと思います。
やっぱりこの企画で考えたいゲームは初心者にもやってほしいから、ちょっと「カタン」とは違う方向にいったほうがいいかもしれないですね。
でもまぁ累計2000万個以上を売り上げた超有名ゲームなので、紹介してみました。
いや、そうですよね。やるからには僕らも一番になりたいですし。
定番ゲーム(2)「ワードバスケット」語彙と反射神経がものを言う
次は、「ワードバスケット」です。これは日本生まれのゲームです。
・「ワードバスケット」(2002)
http://www.mobius-games.co.jp/mobiusgames/wordbasket.html
(ゲーム概要)
“「しりとり」がカードゲームになりました。しりとりといっても子供ゲームではありません。
箱の中にあるカードの文字ではじまり、自分の持っているカードの文字で終わる3文字以上の言葉を考え、思いついたらその言葉を言いながら該当するカードを箱の中に投げ入れます。その瞬間からすべてのプレーヤーは新しい箱の中の文字ではじまり自分の持っているカードで終わる言葉を考えるのです。このゲームには順番はありません。思いついたらどんどん言葉を言ってカードを箱に投げ入れます。最初に手札をすべてなくしたプレーヤーの勝ちです。ボキャブラリーを試されるゲームです。
子供には、使える言葉を2文字以上にすれば子供と一緒に遊ぶこともできます。“
(「ワードバスケット」メビウスゲームサイトより)
これ僕も実は持ってます! すごく面白いですよね。
伊集院光さん、水道橋博士さんなどの有名人がラジオなどで取り上げられて、それがサブカル層にぶちあたって知名度がぐぐぐっと上がりました(笑)。
その後「語彙力を伸ばせる!」ってな感じで知育ゲームとして、新聞でもたくさん取り上げられました。
なるほど!
ただ、ここでも年齢問題があって……。このゲームって大人でも難しいじゃないですか?
たしかに。頭使うんですよね。語彙が必要かなと思います。
そうですね。ふつうのしりとりだったら、捨て場の文字が「ら」ならば、「ら」で始まる言葉を考えますよね。「ワードバスケット」の場合は、さらに、自分の手札の文字で終わる言葉を考えないといけない。
ほほう。対象年齢10歳以上となってますがなかなか難しそうですね……。
語彙もですが、反射神経も必要です。じゃあ例えば、「う」で始まる、「い」「さ」「み」「よ」「け」この言葉で終わる言葉! しかも3文字以上です。
(5秒後)「ウルグアイ」。
素晴らしい!
ありがとうございます! でも5秒ぐらいかかりました。
じゃあ今度は、捨て場の文字が「い」になったので、「い」で始まる文字ですね。
(いつも応援してます)「石原さとみ」。
強い! しかも可愛い! ただ、スピード勝負なんで、どんどん場に出される文字は変わるし、難しいです。お子さんが入ったら気を使いますよね。子供用に2文字でもやってもいいんですが、「簡単すぎる!」という人もいるでしょうね。
なるほどー。そこのルールのバランスってすごく難しいんですね。
なので、10歳以上対象なんですね。ぜひこの動画を観てください。ワードバスケット選手権の模様です。1分過ぎあたりから。
はやい!
次元が違う……僕に比べたら界王拳5倍ぐらいいってますね……。
(笑)。
ここでの学び
・伊集院光さんのラジオにとりあげてもらってPR
・学習につながる→波及効果がある?
・知識量や技量で差がつくルールだと難易度は上がっちゃう
「カンタン」と「面白い」の両立……難しそうですね。
このゲームに限らず、同じぐらいの上手さの相手とプレイするのがいいんですね。
その通りです! 上の動画を観て感じてほしかったのは「遊ぶ相手が大事」ということです。
遊ぶ相手! なるほどー。
年齢を一緒にするとか、ルールをみんなで把握して足並み揃えるとか。そういうのが大切ですよね。勝ちたい気持ちは大前提。でもみんなと楽しむ気持ちも大事にしてねっていうのが対面式ゲームでの最低ルールです。
勉強になりました!
2017年は「謎解き」アナログゲームが流行った
最近流行のゲームはこういう感じですね。
・「アンロック!」(2017年)
http://hobbyjapan.games/unlock/
アナログゲームにも毎年流行するジャンルがあります。その火付け役になるゲームが必ずあるんです。「アンロック!」は卓上リアル脱出ゲームです。リアル脱出ゲーム、ご存知ですか?
名前はよく聞きますがどういうものかはよく分からないです。
部屋に閉じ込められて、謎をといて部屋から脱出を図るリアル体験型の謎解きです。例えばロープが落ちてて、それを使ったら懐中電灯が手に入る。今度は天井を照らしてみると謎の数字が出てきて……ラジオの周波数をその数字に合わせたら、ヒントがもらえて……ってな具合です。
へぇ! なるほど。
「アンロック!」はそれをお手軽に卓上でできるので人気なんです。スマホの専用アプリを起動して、そこに暗号番号などを入力するとどんどん謎が解けるようになってます。3つのシナリオが入ってて、1度遊ぶと謎を覚えてしまうので……1回遊んだら終わりの「遊びっきり」ですが、面白いです! 1回きりでも売れている……すごいゲームですよね。
スマホはたいていみんなその場で持ってるし、それに絡めるのは面白いなあ。うちはインターネットや携帯電話サービスの会社だし、ネットやスマホに絡めたゲームを考えるのもいいですね。
次は「パンデミックレガシー」です。実際にボードにペンで書き込みをしたり、カードを破いたりする、というゲームです。なんと自分の持ち物を破り捨てたりするんですよ! そんな事できますか?
「パンデミック」は遊んだことがありますが、他のゲームから影響を受けてさらに変化するのは面白いですね。
はい。この流行りを受けて、1度遊びきりの「繰り返し遊べないゲーム」が今は多く出ています。
二度とその場の盛り上がりを体験できない。だからこそ、その場を楽しめ!という。まだ謎解きブームは続きそうですかね?
どうでしょうか。ドイツのゲームの祭典「エッセンシュピール」は10月なので、そこで分かります。
なるほど。でも10月まで待てませんね。まあ、謎を解きたいというのは人類の原初的な欲求ですし(適当)、廃れることはないでしょう!
次回はつくりたいアナログゲームを考えてくるので、またチャットで相談させてもらいたいと思います。よろしくお願いします!
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PROFILE
あだちちひろ
アメリカ留学中に海外のアナログゲームに興味を持つ。高円寺のボードゲーム専門店「すごろくや」でゲーム司会、進行の経験を積んだのち、世界中のゲームを紹介する「ゲームマスター」としての活動を開始。各地のゲーム会へ赴くほか、様々な自主企画イベントを定期的に開催する。2015年株式会社あだちのYEAHを設立。ゲーム司会業に留まらず、オリジナルゲーム制作のプロデュース、ゲームを使った社内研修、教育のツールとしての活用など、アナログゲームの素晴らしさを沢山の人に知ってもらうべく、日夜その可能性を探求・発信している。
あだちのYEAH!!!ホームページ
あだち先生おすすめのアナログゲームを購入できる通販サイト
「あだちのYEAH!!! 商店」
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PROFILE
くらふと
漫画家・イラストレーター。食べ歩き漫画「ゆかい食堂」をブログ、ぐるなび「みんなのごはん」などで連載。単行本「ゆかいなお役所ごはん」「ゆかい食堂セレクション」星海社より発売中。電撃コミックスでゲームのアンソロジー漫画に参加など。
https://twitter.com/craft_kim