「排除の論理」を使う人たちとどう付き合うか

排他的な組織・環境に対処する方法とは?

新しい環境になじめない者を厄介者扱いする傾向を「黒い羊効果」と呼ぶ(IYO / PIXTA)

新学期や初めての職場。そこではこれまでと違った人間関係やコミュニケーションが生じます。希望や期待に胸をふくらませつつも、「職場になじめるかな」「友達できるかな」と心細い気持ちにおしつぶされそうな方もいるでしょう。

これまでに対人関係がうまく築けず、不安な気持ちで自信が持てずに落ち込んでしまったという経験があると、なおさら緊張は高まり、日々を過ごすことがおっくうになってしまうかもしれません。

「排除の論理」が働く「黒い羊効果」

30代前半の女性、Aさんもそうした一人でした。Aさんは憧れの会社に中途入社し、社内でも高い売り上げを誇る部署に配属されました。同業他社でのキャリアがあったAさんは、入社当日から一人前に仕事を任され、周囲は気にかけるそぶりもなく、声もかけてくれません。

Aさんは遠巻きに試されているような息苦しさを覚えるようになり、徐々に休みがちに。しかし、Aさんを心配する人はおらず、出社しても「面倒なヤツ」と冷たくあしらわれるようになり、ますます孤立してしまいました。

Aさんのような状況は、学校や職場といった社会集団の中でしばしば起こります。そこにはその集団の一員でありながら、なじめずにいる者を集団の仲間と認めず、厄介者として扱う傾向があります。このような傾向は、集団心理学において「黒い羊効果」と呼ばれています。

これは、一匹の黒い羊が白い羊たちから受け入れてもらえず排除されるという、聖書の故事に由来しています。集団組織の中に黒い羊が一匹いることで、その他大勢の白い羊たちには連帯感や一体感が生まれて仲間意識が強まります。一方で、集団の中にいる黒い羊は、集団の外にいる黒い羊よりもっと低い評価を受けるという現象が起きるといわれています。

言わば一種の「排除の論理」が働くのです。

次ページ「黒い羊」が取るべき3つの対処法
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAMEd58c7fac1706
    白い羊たちはある日突然、黒い羊の集団に放り込まれて、自分たちが排除される側くらいの経験をしないと、肌感覚的にはわからないだろうな。
    up75
    down11
    2018/4/5 07:56
  • NO NAMEf7939bfaa485
    上司が白い羊そのもののやつも多いわな。それはそれで、迷惑ですわ。
    up51
    down9
    2018/4/5 08:48
  • NO NAME5eee0a6b6c01
    これは欧米でも当然同じように起こり、子供たちのいじめにも散見される人間の根源的なものですからそう簡単にはいかない問題でしょうね。
    黒い羊が実際に人に不利益を与えるから白い羊が残酷になるわけで、白い羊に我慢を強いたら今度は黒が白に変わって反撃するだけです。
    同じ集団心理でも人間同士の関係が良ければ白は黒を歓迎しますし、変わり者の個性も好まれるでしょう。

    ようするに、そもそも人間が不機嫌で、人を疑うような状態が蔓延ってる時点で、集団とか個人とかそういう問題ではないということです。
    集団で上手くいかない社会は個人同士でも揉め事が頻発します。
    個人対集団の構図はあまり意味がないんです。
    up35
    down3
    2018/4/5 09:42
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
20年後 ニッポンの難題

自治体が次々消滅、医療保険料が4割増…未来年表で見えてくる20年後の日本。問題の先送りはもう限界。日本が生き残るためのヒントを示す。秋元康氏、落合陽一氏なども登場。