急病人を応急処置の女性に「土俵を下りて」アナウンス 大相撲春巡業
京都府舞鶴市で開催された大相撲の春巡業で4日、土俵上で気を失った男性に応急処置を施そうと駆け寄った女性に対して、土俵を出るようアナウンスが繰り返された。女性は土俵に入ることを禁止されている。
大相撲において、土俵は神聖な場所と位置づけられている。さらに日本では伝統的に女性を「穢れ(けがれ)」のある存在とみなしてきたため、相撲の世界は女性が土俵に入ることを禁止している。
4日の巡業会場では多々見良三・舞鶴市長が土俵で挨拶中に倒れ、数人の女性が助けようと土俵に上がった。心臓マッサージをほどこす女性もいた。多々見市長は病院に運ばれ、容体は安定しているという。
日本相撲協会の八角信芳理事長は4日夜、声明を発表し女性たちに謝罪した。
声明で八角理事長は、「女性は土俵から下りてください」という場内アナウンスについて、「行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫び申し上げます」と述べた。
救急隊によって市長が運び出され、女性たちがその場を離れた後、土俵に大量の塩がまかれるのを複数の観客が目撃したとの現地報道もある。
日本文化では、塩は様々な場で「清め」に使われる。相撲では対戦前に土俵を清めるためにまく。ソーシャルメディアでは、女性たちが土俵を「汚した」と協会側がみなしたから、土俵に塩をまいたのではないかと指摘が相次いだ。
日本のツイッター・ユーザーの1人は、救命措置をした女性がいなくなった後に塩をまいたことについて、「なんて無礼なのだろう」と投稿した。
ほかにも、相撲協会の頭にこそ塩をまくべきだというツイートも複数あった。
女性が土俵に入ることが議論になったのは、これが初めてではない。
2000年には太田房江・大阪府知事(当時)が、優勝力士に自ら知事杯を手渡したいとし、土俵に入る許可を日本相撲協会に求めたが、要望は却下された。