7月7日の夕刊コラム<明日への話題>を読んで驚いた。「地球温暖化」はウソかもしれないと思い始めたのだ。筆者は<俳優・児玉清>―――。えっ!
「たかが<俳優>…」とバカにしてはいけない。「寝ても覚めても本の虫」(新潮社)という著書もある。エッセイスト、書評家という肩書きもある。本当は大学院に行き、学者になりたかったが、母の急死で断念したという経歴の持主。
「情報化社会といわれ、沢山の情報が氾濫しているだけに常々本当のことを知りたいと切に願っているのは僕だけであろうか」と始まる。凄い。
「化石燃料による二酸化炭素の温室効果で地球は温暖化しつつある。北極や南極の氷もどんどん溶けて、海は水位を増し、現に南海に浮ぶ島の幾つかは水没の危機を感じている。また温暖化から生じているとされる異常気象など、今や誰もが口を揃えて不安を訴える常識化した温暖化問題」―――。これ<児玉清>の文章だ。素晴らしい。
「ところが昨年に出版された、僕の大好きな作家M・クライトンの新作『恐怖の存在』を読んで驚いた。地球温暖化は一部の科学者たちとマスメディアが意図的に喧伝して、恐怖を煽り立てているだけで、本当のところは誰もまだ確言ができないのが現実であり、それが真実なのだ、と」と続く。
<作家M・クライトン>とは「ジュラシック・パーク」「アンドロメダ病原菌」「生存率ゼロ」など話題のベストセラーを連発している有名作家。児玉清によれば「現代科学やテクノロジーの最先端のトピックスを題材にして、そこに生じる様々な危機を先取りして面白小説を組み立て、数々の傑作を世に問うてきた作家」だ。もちろん、良心的な作品であり、いい加減なデタラメで恐怖を煽るような書き手ではない。火山が舌を巻いたのはこの先だ。
「そんな僕の心をさらにヒットしたのが、ワシントンポスト紙に掲載された、気象学者B・グレイの地球温暖化と囁かれる異常気象は、単なる地球の周期的繰り返えされる変化であり、二酸化炭素によるものではないという記事だ」―――。凄い。
「ワシントン・ポスト」はアメリカの<知性>や<良心>を代表する第一級の高級紙。もちろん英語で読んだのだろう。B・グレイとはコロラド州立大の気象学者。ハリケーンの研究などで有名な教授。こんな記事にまで関心を払う児玉清もタダモノではない。
日経夕刊のコラム<明日への話題>―――。筆者は<日替わり>で<曜日>毎に1人。任期は<半年>で、この7月1日から交代したばかり。児玉清は<金曜日>の担当で、昨夜の<7日>は初めての<執筆>。常識的には一番、書きたいこと。一番<得意>な話題でデビューを飾ったということだろう。
<本当のことを知りたい>―――。「と思うのも、最近とみに喧伝されている地球温暖化の問題など、本当のところはどうなの?と叫びたいからだ」と、このコラムを始めている。
そして最後の<結び>―――。<異常気象は…単なる周期的な繰り返し…二酸化炭素の増加によるものではない…>。「とすれば、温暖化を喧伝するその目的は、そして、その恐怖は別のところにあるのではないか。誰か本当のことを教えて欲しいものだ」と終わる。
ご立派だ!!!
今、世の中<多芸多才>という<マルチ人間>が多い。しかし、児玉清。昭和10年(1935年生まれ)というから71歳だ。
自宅には図書館並みの装置、システムを完備した巨大な<書庫>があるらしい。家内が興奮して解説してくれた。―――とすれば、これから半年、本当に楽しみだ。<本当のことを教えて欲しい>―――。
(平成18年7月8日)
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