2010年1月8日 金曜日 晴れ
昨日の高橋洋一氏のインタビューのなかに官僚は優秀ではない、との部分が出てきますが、これは高橋洋一氏が自分を優秀と言いたいから、という面もありますが、京極高宣氏、この官僚は本当は優秀ではないらしい。
「自分のものは自分のもの、他人のものも自分のもの」、小学生までです、こういうのが冗談として通用するのは。
~~朝日コム1月7日引用~~
http://www.asahi.com/national/update/0107/TKY201001060438.html
国立研究所長が論文盗用、使い回しも 社会福祉の権威
厚生労働省の審議会の要職を歴任した国立社会保障・人口問題研究所の京極高宣所長(67)=社会福祉学=が2003年に出版した著作集の論文で、他人の論文を大幅に引き写した部分があることが、朝日新聞の調べでわかった。もとの論文を書いた国会図書館元調査員は「私が書いたものと同じ内容。出典の明示がなく引用されており、盗用だと思う」と指摘している。
さらに、京極氏がこの論文を、国の補助金などが支給された研究事業の報告書に使い回していたことも判明。いずれも研究倫理に反する行為とされる。京極氏は介護保険制度や障害者自立支援法の立案を手がけ、社会福祉の権威と評価されている。
京極氏の著作集は全10巻。問題となったのは、03年3月出版の第6巻に収録された「海外の社会福祉」と題した論文だ。京極氏が1986~87年、社会福祉・医療事業団(当時)の広報誌で、欧米5カ国と日本との社会福祉の比較をテーマに連載した内容をまとめたものだった。
この論文で、フランスの社会福祉政策について論じた「第3節」のうち約7割が、国会図書館の調査員(当時)が86年に書いた論文「フランスにおける社会福祉の法制と行政組織」からほぼ引き写されていた。筆者の調査員の論文が出典であることが明示されていない。
京極氏の説明によると、論文を連載していた当時、京極氏は、旧厚生省社会局の専門官。連載を執筆する際、国が補助した研究事業の報告書の一部だった調査員の論文を引用したという。また、他の4カ国分の論文も報告書の内容を参考にしたとしている。
さらに、その後、京極氏は87年と92年の計2回にわたり、別の社会福祉関連の研究事業に参加。その際、フランスの社会福祉について、連載とほぼ同じ内容の論文を使い回し、報告書として提出していたことも明らかになった。
87年の研究事業は福祉関係の財団法人からの助成金対象で、92年の事業は旧厚生省から補助金を受けていた。厚労省によると、一般的に過去の論文を研究報告書に使い回すのは不正研究にあたりうるとしている。
京極氏の著作集の第6巻では、86年の広報誌連載分と、92年の報告書分が両方とも収録されていた。2本の論文は一部手直しがあるものの内容がほぼ同じのため、最近になって専門家の間で疑問の声が上がっていた。
京極氏は、著作集での問題は認めつつ、86年の連載時の引用などは、旧厚生省職員だったため、「提出された報告書は国の共有財産。当時は役所が自由に使えたので問題ない」と主張。だが、厚労省によると、通常、報告書の著作権は研究者側にあり国の担当者に権利はないとしている。
著作集の発行元の中央法規出版は「著作集収録にあたり、もとの版元には必要な手続きを取った。筆者が書いたものをそのまま載せており、それ以上わからない」と話している。
京極氏は、東大大学院を修了後、旧厚生省専門官、日本社会事業大学長などを経て、05年に同研究所長に就任。内閣府の中央障害者施策推進協議会長も務めた。(西川圭介、香川直樹)
~~引用終わり~~
ここには京極高宣氏、盗用された側の言い分は載せていませんので、紙媒体から引用します。
~~朝日新聞1月7日引用~~
啓蒙用に書き直した
オリジナルの視点追加
京極氏との一問一答の要旨は以下の通り
--他人の著作を、なぜ引き写したのですか。
私が厚生省の担当官だった時に福祉の国際比較を考えつき、専門家に各国の分析を書いてもらった。当時、厚生省が補助金を出した研究報告書は部外秘で、誰が書いたかもすべて秘密。もったいないので啓蒙用に書き直した。
--文章表現まで同じ。
私はワープロが使えない。もとの文章に赤鉛筆で線を引いて削り、表現を手直しする。悪い癖だが、そういうやり方だ。早くたくさん書いて社会貢献するためだ。
--無断で書き直していいのですか。
報告書は国のもので、国際比較という私のオリジナルの視点を追加している。書き直した時点で私の著作だ。
--その後、公的助成を受けた報告書にも、ほぼ同じ文章を使い回しています。
使い回しという表現は違うだろう。いったん書き直した著作の「援用」だ。研究の企画自体、短い時間でやるのに無理があった。
--著作集に載せている。
編集した人が気づくべきだった。そのころは原文も公表され、著作に許可を取り出典も示すべきだ。この時点では筆者に盗用と言われても仕方がない。筆者におわびしたい。
「客観的に盗用」 被害者の元調査員
国立国会図書館の元調査員との一問一答は次の通り。
--京極氏は「筆者が言うなら盗用」と言っている。
私が書いたものを短くしただけで表現も同じ。筆者に言われるかどうかでなく、伽感的に盗用でしかない。
--引用の連絡は。
記憶にありません。このような形で使われていたのもまったく知りませんでした。
--京極氏は「福祉の国際比較は私のオリジナルで、著作物だ」と言っています。
私は国会図書館で行政の国際比較が仕事だった。昔から普通にやっていることだ。
--国に提出された報告書なので自由に使えるとも。
出典を示さず、自分の著作集にまで載せている。そんなおかしな話は通らない。
~~引用終わり~~
京極高宣氏、著作権についての知識もなくよく官僚が務まったものだと、そしてよく著作ができるものだと。
著作権のルールとは、要するに「他人が作ったコンテンツを無断利用してはいけない(パクッてはいけない)」という単純なものであり、(略)日本が著作権法を作ったのは1899年(明治32年)であり、このとき同時に、基本条約である「ベルヌ条約」にも加入した(岡本薫著「著作権の考え方」岩波新書)。
著作権は京極高宣氏のいうように報告書には及ばないのでしょうか。つまり報告書の内容や表現は勝手に使ってもいいものなのでしょうか。
著作権といえども、すべてがダメなわけではありません。除外されるもの、パクッっていいもの、があるのは当然です。
①法律の条文など、保護されるコンテンツから除外されている
②著作者の死後50年までなど、保護期間による保護の打ち切り
③校内放送など、権利の対象となる「利用行為」に当初から含めない
④障害者への点訳・教育のための引用など、いったん権利の対象とした上で「例外」(権利制限)を設ける
という4つの方法で、著作権の保護から外しています。(以上、岡本薫前掲書参照)
で、今回の京極高宣氏の言うように報告書は自由に使える著作権のないものか(?)
んなわけない、ちゃんと報告者に著作権があります。報告書は報告者である著作者の思考や表現であり、法律の条文でもなく、国や自治体の告示・訓令・通達でもなく、裁判所の判決・決定・命令・審判でもなく、これらのものの翻訳物、編集物でもありません。りっぱな著作物です。
それをパクッただけでなく、法律を見れば明らかにウソをついているわけであり、それを基に助成金をもらっての研究事業に使い回しをしたというのですから、詐欺でもあります。
著作権法違反の罰則は重いです。3年以下の懲役300万円以下(企業は1億円以下)の罰金です。
国家の助成金を詐取した詐欺罪と研究員の研究成果をパクッた著作権法違反は、刑法上どのような関係になるのでしょうか(?)どなたかご教示くださいませ。
さらに、「国際比較という独自の視点がある」から自分の著作だというにおいては、開いた口がふさがりません。日本は明治政府以来ずっと遺伝子に組み込まれたようにヨーロッパやアメリカの制度を参考にし、国際比較をしています。
そもそも介護保険法だって、ドイツの介護保険制度を参考に制度設計をしているのですし、それに京極高宣氏がかかわっているとすれば、そんな理屈が通らないことは百も承知のはずです。
で、「啓蒙用に書き直した」と。そうですね、日本国民はあなた様のように優秀ではなく、管理人のようにアホですから、国民が図書館で見られるようになる前に、報告書を閲覧できる権限を活用(悪用)して、さらにパクッて、啓蒙しようとしたわけですね。その心意気たるや立派!
最後、著作集を出版したものにまで掲載されていることに対しては、「編集者が悪い」と責任逃れ、です。
報告書が公にされなければ、そして誰かわかりませんが、今回これを見つけた研究者が、その報告書との類似に気がつかなければ、永久に著作権法違反はわからなかったのです。
権威のあるセンセーとして、将来語り継がれていたかもしれないかと考えると、情報に特権的にアクセスし利用できたり、官僚の上下関係で助成金の出る研究事業の対象に決定させたり、フェアでないことで優秀さを糊塗している官僚の姿もあるものだと、よくわかります。
おそらく、こういう情報も民主党政権に代わることで、出されてきたのでしょう。情報を公開すれば、アホな国民でもきちんと考えることができるのですよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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