今から1億6000万年以上前、後に英国となる土地に点在する潟湖の周りを、竜脚類と呼ばれる首の長い恐竜が歩き回っていた。その恐竜たちの足跡が、英スコットランド、スカイ島の激しい波が打ち寄せる海岸で大量に見つかった。(参考記事:「スコットランドの海岸に恐竜の足跡を大量発見」)
スカイ島の岩の多い海辺に立って眺めると、恐竜の巨大な足跡はまるで潮だまりのようだ。ただしよく観察すれば、そこに恐竜の足の輪郭を見て取れる。
「この足跡は長年の間、ありふれた風景の中に隠れていました」と、米国の南カリフォルニア大学の古生物学者、マイケル・ハビブ氏は言う。「これを見ると、竜脚類が他の生き物に比べていかに大きいかがわかります。われわれ古生物学者も、最初からそこまで大きなものを想定してはいませんから」
今回の調査では、巨大な足跡に混ざって、獣脚類の特徴ある3本指の足跡も見つかっている。獣脚類とは、白亜紀に登場するティラノサウルス・レックスの古い親戚と考えられている恐竜だ。(参考記事:「ティラノの子ども?状態良好な恐竜化石を発見」)
先日、学術誌『Scottish Journal of Geology』に詳細が発表されたこれらの足跡は、1億7400万~1億6400万年前までのジュラ紀中期を知るうえで、希少な手がかりとなる。ジュラ紀中期の恐竜の化石は、種類を問わず、これまでほとんど見つかっていない。今回の発見によって、スカイ島は謎の多い時代に光をあてる重要な拠点として知られるようになるだろう。(参考記事:「新種の魚竜化石、ジュラ紀の進化史を変える」)
「ジュラ紀中期は非常に重要な時代でした。この頃、最初の鳥が空に飛び立ち、最初のティラノサウルス類が現れ、最初の巨大な竜脚類が登場しました」。論文の共著者で、ナショナル ジオグラフィックの助成金を受けているスティーブ・ブルサット氏は語る。(参考記事:「1億7000万年前の「極上」魚竜化石を発掘」)
「スカイ島はこの時代の化石が見つかる数少ない場所のひとつです」