フェイスブック全利用者に悪用リスク 情報流用
電話番号などから個人情報検索「すでに防止策」

北米
AI
2018/4/5 11:46
保存
共有
印刷
その他

 【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは4日、英コンサルティング会社によって個人情報が不正に取得されていたユーザー数が最大で8700万人にのぼると発表した。世界で20億人いるほとんどのユーザーの情報が悪用リスクにさらされていた可能性も公表。既に対応を始めたという。同社を巡ってはユーザー情報の管理や事業モデルへの批判が相次いでおり、苦境がさらに深まりそうだ。

ユーザー情報の管理を巡るフェイスブックへの批判の声がさらに強まるのは必至だ(ザッカーバーグCEO)

 同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は同日、電話による記者会見を開き、今回の情報流出や偽ニュースのまん延を防げなかった問題などを総括し「我々が負うべき責任について幅広く目配りできていなかった。私の過ちだ」と謝罪した。個人情報の不正取得は当初、5000万人とされていた。

 一方、投資家などから辞任を求める声が上がっていることには「この教訓を生かして前に進むべくこの仕事を続けていく」として否定的な見解を示した。同社は同日、外部組織によるユーザーデータの共有を厳しく制限する措置を発表しており「対応はもう始まっている」と話した。

 発表した対策には電話番号や電子メールアドレスを使ってユーザーの名前や顔写真、学歴などを検索できる機能の廃止を盛り込んだ。氏名から知人を探すことは引き続き可能だ。同社は「これまでに見つかった不正な情報取得の動きから判断すると、我々のユーザーの大半の人の基本プロフィルが検索を通じて抜き出されていたかもしれない状況にあった」と説明した。

 最大で8700万人に上る情報の不正流出については「保守的に見積もったものでもっと少ない可能性がある」と説明した。ユーザー情報で稼いでいるとの指摘には「我々はユーザー情報を売っているのではない」と反論し「むしろデータを生かして良いサービスを提供している」と述べた。

 大量のユーザー情報は英ケンブリッジ・アナリティカによって不正に取得された。同社は個人の行動データを人工知能(AI)で分析し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使って選挙時の投票行動に影響を与えるビジネスを運営。2016年の米大統領選ではトランプ陣営に有利になるように「情報戦」をしかけたとされている。

 ロシアの選挙介入を調べる米議会は昨年からフェイスブックのコンテンツ管理が緩かったとして厳しく追及する構えを示している。同社のザッカーバーグCEOは10、11日に米議会が開く公聴会に証人として出席し経緯を説明する。

春割実施中!日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報