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 私はRubyユーザーのためのメーリングリストであるruby-listをずっと購読しているのですが、あるあたりからみんなが盛んにWebアプリケーションフレームワークの「Ruby on Rails」(以下、Rails)を取り上げるようになりました。そこで2005年にRailsを使い始めました。まだRails 1.0が出ていない頃です。

 それまでSeasar 2やSpringといったJavaのフレームワークしか知らなかったので、Railsはなかなか衝撃的なフレームワークでした。仕事で試してみようと思い、会社でもいちはやくRailsでの開発を始めました。Railsは、自分の感覚では「いつの間にか当たり前のようにあった」という感じです。

 ただ、合併先の会社では、合併する元の会社のメンバーがぼろぼろと辞めていきました。しばらくして私も辞めました。

 転職先の会社はちょっと面白い会社でした。今でいうMOOC(Massive Open Online Courses、大規模でオープンなオンライン講義)をやろうとしていた会社です。意義のある取り組みをしていた良い会社でした。

 この会社は、もともとシステムをC#で開発していました。しかしコードベースがボロボロで、コードに1カ所の変更を加えると10個くらいのバグが出る状態でした。どうしようもなくなって、システムをRailsで書き換えました。

 この会社は頑張って営業すればMOOCの先駆けになれたのかもしれません。しかし、時代的に早すぎたのでしょう。事業がうまくいかず、2007年に倒産しました。私が在籍中のことです。

初期のスケールアウトに参加

 会社がなくなってしまったし、とりあえずフリーランスで仕事をぽつぽつ受けていました。Railsのアプリケーションを書く仕事です。

 そのかたわら、「初めてのRuby」という書籍を執筆しました。発行元のオライリー・ジャパンの慣例では、この本は米オライリー(O'Reilly)の「Learning Ruby」という書籍の翻訳になるのが自然で、実際に当初はそういう企画案もありました。しかし、いろんな事情があって私が日本語の書籍を書き下ろすことになったのです。